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大家のマーケティング戦略は他業種にも通じる?

先週、会社を辞めて自営業を始めた昔の同僚と何年か振りに会い、昼食を取りながら近況報告をし合いました。

同僚と言ってもまだアラフォーの現役世代です。

彼は今、キャンプファイヤーというクラウドファンディングで、彼が企画したオリジナルウォレット(革財布)への出資者を募るかたちで受注生産・販売をしています。

私も愛用していますが、良質なしっとりした牛革で他にはないアイデア満載の高機能性ウォレットは、使い込むほどに愛着が湧く一品です。

量産品ではない ”こだわりの一品” をお探しなら、ぜひ一度覗いてみてください。
種類も豊富なので、きっとあなただけの掘り出し物が見つかりますよ。
大切な人へのプレゼントとしてもオススメです。

インフルエンサーにも取り上げられたようです。



さて、昼食を取りながらの話の中で、私の方からは副業の大家業についていろいろ工夫している点を話しました。

特にこれを聞いてもらおうと力説したわけではないのですが、まったく違う業種にもかかわらず「マーケティングの参考になった」と感心しもらえたようなので、過去に記事にした内容も含めてまとめてみました。
これを読んで戴いた方の何かのヒントになれば嬉しいです。


1. 家賃設定

SUUMOやHOMESなどのポータルサイトでは「こだわり条件」として賃料設定ができます。大概0.5万円刻みになっているので、その検索フィルターに上手く引っかかるように設定します。

たとえば管理費込みで¥108,590の物件。
そのまま「管理費込¥108,590」として募集することもできますが、それでは「10.5万円~11.0万円」のフィルターでしか引っかかりません。

同じマンションの他の部屋の多くが家賃¥95,000+管理費で募集しているのであれば、横並びになるように「家賃¥95,000、管理費¥13,590」と分けて設定します。

他室よりも家賃総額を高くしたい場合やこっそり値上げしたい場合は、家賃側の金額は触らず管理費側で金額アップして調整するのがミソ。
世の区分マンション大家さんは、ご自身がマンション管理会社に毎月支払っている管理費と同額を募集時の管理費としているようですが、そうしなければならないという決まりはなく、自由に大家が設定できます。

また築年数が古くなってくると家賃を下げざるを得ないと考えがちですが、値下げは最後の最後まで取っておきます。

先ずは ①礼金を減額する、②フリーレントを提示する、③退去月の家賃を日割りにする、④退去時のクリーニング代や鍵交換代などをゼロにするなど、入居者にお得感を感じてもらえるプランを提示します。

家賃を安易に下げてはいけない理由は、将来売却する時に少しでも高値で売るためです。
なぜなら投資用物件の成約価格は利回りで決まるからです。


2. 内装

内見者がその部屋を気に入るかどうかは最初の5分で決まると言われています。つまり玄関ドアを開けた瞬間から試合開始です。

原状回復工事でよく行われるのはクロス貼り替えですが、部屋の印象を大きく左右するためこだわって選びます。
「どんな部屋にでも合う鉄板クロス」はホワイトですが、それでは他の物件との差別化ができないので、床や建具の色、質感とのバランスを考えながら、さらにシンプル、モダン、ナチュラルなど部屋のテイストも考慮しながら慎重にクロス選びをします。

注意すべきは決して大家の趣味の押し売りをしないことと、入居者がコーディネートを楽しめる余白を残しておくこと。

どんなクロスを選んだとしても、部屋全体の雰囲気が上品であるか、高見えしているか、自己主張していないか、トレンドを取り入れているかを入念にチェックします。


3. エアコン

私の物件はどれも1LDKですが、各部屋にエアコンを設置しています。 

同じマンションの他の部屋はリビングの1台のみ設置しているようですが、それだと入居者は自費で1台を設置しなければなりません。

そうでなくても引っ越し時は何かと物入りなので、エアコン設置費用が省けるだけでも他室より優位に立てます。

また入退去の度にエアコンの取り付け取り外しを繰り返されると壁に固定用の金具跡が残ってその都度補修が必要になるので、大家としても最初から設備として設置しておくメリットがあります。

メーカーは富士通ゼネラルかダイキンの二択。

快適な居住空間には0.5℃刻みの温度設定がベストですが、私が知る限り価格を抑えた廉価モデルでも0.5℃設定ができるのはこの2社の製品だけです。
こんなこだわりを持ってエアコン選びをしている大家はごく少数派だと思うので、POPにしてエアコンに貼っておくことで内見者にアピールできます。

室内側の配管化粧カバーも施します。一台当たり1〜2万円かりますが、新築物件以外ではまだまだ未施工の部屋が多いので、これによって差別化ができ、部屋の高級感がグッとアップするので費用対効果は抜群です。


4. シャワートイレ

必ず設置します。メーカーはリクシル製。
私が所有する物件の便器がたまたまリクシル製だったのでメーカーを合わせているのですが、便器がTOTOならばTOTOのウォシュレットにします。

私の経験上、家電メーカーや二流の陶器メーカーの製品はリクシルやTOTOと比べるとデザインや機能性、使い勝手が今一つです。にもかかわらず、実売の価格はそれほど変わりません。
それならケチらずネームバリューのある大手2社の製品にしておく方が、内見者のイメージも良く得策です。

無駄な機能は省いて温風乾燥無しを選択しますが、リモコンは本体一体型ではなくセパレート型にします。

本体一体型の場合、男性が立って使用すると操作盤部分に飛沫が飛び散って不衛生ですし、床掃除の際には邪魔になります。
それに対してセパレート型は衛生的で高級感もあるので、この点も内見時のアピールポイントになります。

本体一体型とセパレート型、ネットの実売価格差はわずか数千円なので、本体をネットで購入し自分で取り付け・取り替えすれば最大限のコスパを発揮できます。


5. 照明器具

関西エリアでは照明器具付き物件はまだまだ少ないですが、付いている物件の多くは簡易型ダクトレールを採用しています。

ダクトレールの利点は、大家が設置したスポットライトをそのまま使ってもいいし、入居者の好みでペンダントライトなどにも簡単に取り替えできるところです。レール上で位置の調整もできますしね。

市販されているダクトレールはホワイトかブラックで、サイズは1mか1.5mです。
インダストリアルテイストの部屋が流行っていることもあり圧倒的にブラックを採用している物件が多いですが、私は内装に溶け込むかどうかで色を選んでいます。
つまり床がホワイト系で明るければホワイトのダクトレールとスポットライトを、床がダーク系で落ち着いた色合いの部屋であればブラックと言った具合にです。目立たなく溶け込むことが第一優先。

ダクトレールのサイズにもこだわりがあり、広いリビングには1.5m+スポットライト6灯、寝室には1m+スポットライト4灯にしています。

新築物件では最初から丸形のシーリングライトを設置してあるケースが多いですが、これも部屋のタイプや家賃価格帯によりけりかなと感じます。
と言うのも、大阪市内で1LDK・10万円超の物件であれば高い家賃の部類に入り、そういう物件を好む入居者は内装やインテリアに敏感な人が多いからです。
コスパ優先の1Rや1Kなら喜ばれるでしょうが、1LDKではどうでしょうか? 私なら平凡な丸形シーリングライトは付けません。


いろいろ書きましたが、私の頭の中はいつもこんなことが渦巻いています。

結局のところ、究極のマーケティングとは徹底してターゲットとなる入居者目線を貫くことではないか、大家の好みや思い込みの押し売りではなく、本当に入居者が喜び価値を見出してくれることは何かを探り、物件に反映していくことではないかと思うのです。

業種は違えど、対消費者戦略は通じるところがあるのでしょうね。

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