見出し画像

第10回|作家・たまねぎ図書さんインタビュー【前編】

こんばんは。
「大谷でできることを増やす場所」OHYA BASE管理人です。
6月…それは祝日のない月…うぅ…。
ですが、OHYA BASEでは、たまねぎ図書個展「くらしのゑ」があります。
会期中6/4(土)〜19(日)のオープンデイ(=木・金・土・日)にはどなたでもご覧いただけます。
ぜひお越しください。

というわけで、今回のインタビューはたまねぎ図書さんに。
OHYA BASEリピーター?準レギュラー?とでも言いましょうか。
ご自身の作家活動の中でたびたびOHYA BASEを利用してくれている人のひとりです。
では早速インタビュー【前編】どうぞ!


「絵、描いてるんですね?」は仕掛けられた罠だった…?

たまねぎ図書のたかはしです。
普段は会社員で、土日は運動をしたり絵を描いたりしています。

運動???

ランニングをもう6〜7年ぐらいしてます。
トレイルランニング(=山野などの舗装されていない道を走ること)をやってる中で、体幹が重要だなって去年あたりに思って。
ランニングの向上を目的に、最近キックボクシングで体幹を鍛え始めました、笑。

OHYA BASEにはどんな風に関わり始めたんでしたっけ?

ここに来たのも実はランニングきっかけ。
ランニングコースだからよく通ってたんだけど、汗びしょびしょで入るのはなぁ、って、毎回来られずじまいになってた。
でも、あの日は仲間と一緒だったし、帰りに寄ってみるか、と。

そうだそうだ。
その日にたまねぎさんがインスタでOHYA BASEをタグ付けしてくれて。
タグ付けから辿ったら、あ、この人、絵を描いてるんだ、って知って。
で、こちらからコンタクトした。
…正直気持ち悪くなかったですか、笑?

あぁ、えっとね。
実は僕はここのことはちょっと前にネットで知って見てて、すごくいいなと思ってたんです。
で、展示ができたらいいなぁ、ってイメージは先に勝手に持ってた、笑。

その頃インスタにあがっていた段ボールに描いた習作

じゃあ、こちらからの「絵、描いてるんですね?」っていうのは、まんまと引っかかったということか、笑!

そうなんですよね。
初めて来たときは話だけして。
「じゃあ、次は絵を持ってきてよ」ってなって。
で、次に来たときには、ちょうどここに来てたPunto大谷町食堂 ともやさんとかPoste de ble 麦倉さんとかも絵を見てくれて。
「いいじゃん!」ってなって、その場で麦倉さんがポスターを買ってくれるという、笑。
でも絵の活動は停止中というか、それほどやってない時期だった。
コロナがあって、自粛している期間にまたなんとなくぽつぽつ描いてみたり…ぐらい。
そのタイミングで大谷を走り、OHYA BASEに入ったのがきっかけで、リーフレットの依頼がきて。
それから、そのあと展示もしよう、って話になり、自分の活動がまたわっと盛り上がったという。
絵の活動、本格的にやりたいと思ってはいたんですけど、きっかけがなかった。
で、その勢いのまま今に至る。

OHYA BASEリーフレットに描き下ろしたイラスト

作家活動でここ最近取り組んだものは?

去年自費で絵本を作ったのがいちばん最近の作品、かな。

「口の中のジョーノ」(2021年)

依頼されて描いたものだと、一昨年にトクマルくんの7インチレコードのジャケを作った。
インスタにあげてたものを「これ、いいね」って言われて。
他のも描いてはみたんだけど、結局のところ最初にあがってたのがいいね、ってなって、それが採用された。

Mazume/Hora(2020年)

あとは大谷町界隈でちょこちょこと。
Puntoの周年記念CDジャケットとか、石切の唄(ライブイベント)フライヤーとか。
Lapis08の大谷石アートの看板絵とか。
OHYA FUN TABLEに飾ってある絵、とか。

OHYA FUN TABLEに展示している石工をイメージして描いた絵(2021)

なぜ大谷町/OHYA BASEで活動を?

そうだなぁ。
勢いのまま、かなぁ、笑。
すぐ隣の町に住んでて、大谷は地元にあるすごくいいところ、っていう気持ちがあるんですよね。
おもしろい人にもたくさん出会えるし、これから盛り上がっていきそうっていう勢いもあるし。
そういうのに関われたらいいな、っていう気持ちもすごくあるから通ってます。


インドアとアウトドア、どっちにも入ってるし、どっちにも入ってない。

絵を描く以外に何が好き?

やっぱりランニングかなぁ。
あ、でも夢中になってるのは筋トレですね、今の今は、笑。
やってる人みんなが言うんだけど、やればやるほど結果が見えてくるから、夢中になっちゃうんですよね。
数字で実績が出ちゃうからシンプルに楽しい。

そもそも、そのランニングも、家から森林公園まで、最初は歩いて散歩してみようって行ってみて。
そしたら途中まで走れるようになって、結果的に最後まで走れるように…って以前言ってましたよね?
じりじり積み上げてって、伸びていく、みたいな、そういうのが好きなんですかね?

自分で何かの実績を積み上げるのはたぶんすごく好きですね。
絵も、描けばだんだん増えていく、積み上がっていく。
けど、絵は、行き詰まるんですよ、考える仕事っていうのは。
でも体を動かすことって、動かせば実績ができる。

そこに行き詰まりはないんですか?

ない。(キッパリ!)

笑!

自分の中で「積み上げたい」っていう気持ちを満足させるのに、絵があまりうまく行かないときは、定期的に運動をしていると自分のモチベーションを保ち続けられるというか、バランスとれるというか。
絵の行き詰まりを補っている、みたいな。
昔はそんなこと思ってなかったですけど、どっちもやったほうが精神的に絶対いい。

そうそう。
たまねぎさんがここに来て「この人おもしろそうだから、何か一緒にやりたい」って思った理由として、インドアとアウトドアを行ったり来たりする人だと感じた、それは大きかった。
絵を描いて、トレイルランやって、そういうどっちの目線も持ってる。
子どもの頃から、絵も、運動も好きでした?

それ!(ビシィ!)
本当にね、振り返ってそうだったなぁ、って最近思った。
小学校の頃、サッカークラブに入ってたけど、カードゲームやって家で遊ぶグループにも入ってて。
お昼にサッカー行く日も、カードゲームやる日もあったり、絵を描いてる日もあったり、黒板の隅に自分のキャラクターを描いて消されなかったら勝ち、みたいなことやってる日も。

黒板の隅に描いていた自作キャラ「なまこのキャイキャイ」

どっちにも入ってるし、どっちにも入ってない、みたいなのは多分ずっと前からある。
どっちも入れるし、どっちにも逃げられる、とも言う、笑。
それで精神を保ってるところはあるかもしれない。
今も個人で動いて、やりたい方に動いてる、っていうのはずっと変わってないのかも。
好き勝手に、自由に、文化系と体育会系を動いてた感じはします。


絵を描くことの原体験は自分のおじいちゃん。

絵を描く活動を始めるきっかけが、父方のおじいちゃんにあると思ってるんです。
北海道に住んでて、炭鉱夫だった。
50で定年退職してから、絵を描き始めた人なんですよ、急に。
自分で、ベニヤ板みたいなのを買ってきて、それに山で拾ってきた枝とかを貼って、絵の具を塗って、風景画みたいなのを作ってたんですよね。
額も全部自分で作って。

おじいちゃんの作品

幼稚園入る前ぐらいかな。
おじいちゃんのうちに遊びに行って、絵を見て、ちょうど近くにあったカメラで写真を撮った。
実はそれはフィルムが入ってなくて撮れてないんだけど、自分の記憶の「写真を撮った」。
ちなみにおじいちゃんはもうずっと前に亡くなっているんですけど、作品はお葬式のときに僕が持って帰ってきて、今もうちに飾ってあったりします。
自分の家系に絵を描いてる人がいる、っていうのが自分の中で強烈にある。


個展「くらしのゑ」に込めた想い。

…あぁ、そろそろ一旦【前編】を閉じなきゃいけない文字数…。
目の間の個展のことは聞いておきたい。
せっかくですから。

「くらしのゑ」っていうタイトルなんですけど。
このタイトルは今年の初めに思ったテーマになってて。
この数年って結構今までなかったぐらい、非現実的な感じが日常を支配してるじゃないですか。
コロナ、戦争。
今までそんな経験したことなかったことが起きていて。
空想が、非現実が、現実になってる。
過去の日常が遠いところにいってしまった、という感じがしていて。
今まで空想で作品を描いてたけど、現実の方が刺激が強すぎて、あまりそれが意味を成さなくなっているような。
2、3年前の日常の生活の方が、非日常、というか。

現実の方がもはやSFの世界ですよね。
マスクをしてディスタンスをとって暮らす、って。

こんなこと想像できただろうか、ということが結構あって。
日常的なことが、結構特別なことなんじゃないかな、っていうのを今年の頭に考えていて。
そういうのを自分の中で注目して、形にすることで、表現できたらいいな、っていうのが今回の個展のテーマです。

動物とかあんまり出てこない、人が多い、ですね。

どんな作品が出てくる予定ですか?

鋭意製作中、です、笑。
「あぁ、こういうのあるな」っていうことを描いてるつもりなんですけど。
それでも、よくあるっていうことではなく、あまり描かれてなくて、あ、こういうことあるな、みたいな。

使い古されたものではなくて。
でも「あ。」って思うような、そんなのが出てくると。
わたしも当日を楽しみにしてます!

というわけで、たまねぎ図書個展「くらしのゑ」は明日6/4(土)から。
土日は作家・たまねぎさんも在店予定とのことです。

「大谷でできることを増やす場所」OHYA BASEでお待ちしております。

インタビュー【後編】は6月中旬に!

OHYA BASEの庭でゲリラ的にやったライブペインティング(2022)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?