落ち葉の迷宮【奥入瀬 23/11/19】
いよいよ冬を迎えようとしている奥入瀬渓流の森の足元に目をやると、ブナの渋い光沢や、もみじの鮮やかな色彩など、個性豊かな落ち葉が分厚い敷布団を作っています。
そんなお布団の中に、美しいレース模様が隠れていました。
肉眼では捉えられないような小さな生物達が葉っぱの美味しい所だけを食べ進めた結果、葉脈だけが残ります。
この葉脈もやがては菌類などに分解されて跡形も無くなっていくでしょう。
絶妙なタイミングに出逢わないと、なかなか見ることができません。
人工的に葉肉の部分を溶かして作る、スケルトンリーフというものがありますが、やはり天然の手業には敵わないと思うのです。
スケルトンリーフは溶かすという工程の都合上、元々がしっかりした構造の照葉樹(ミカンやヒイラギなど)の葉っぱでないと上手くいかないものが多いです。
森の中では、人の手では加工が難しい薄い構造をした、落葉樹の葉っぱのスケルトンリーフを見つけることができます。
幸運にも、ほとんどそのまま形を残したもみじのスケルトンリーフを見つけました。
葉脈の入り方は不規則なんですが、葉っぱ全体に満遍なく水分が行き渡るように作られていることがよく分かります。
数日前のテレビ番組で、日本の切り絵の文化が
特集されていたことを思い出しました。
晩秋の落ち葉には切り絵の文化を垣間見ることができるし、春の若葉からは折り紙の文化を感じることもできます。
葉っぱ1枚の中に色々な世界観が隠れていて、きっとまだ気付いていない素敵な世界があるはず。
色んな世界を知る為に自然を観る目を養うことも大切ですが、芸術や文学などの素養も身に付けていかなければ…と思ったのでした。
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