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未来へ託すHDD復旧記

HDDが壊れた。 外付けが、である。

PC使用歴も長いし、これまで数度経験した事象であり、バックアップもとっているからまあいいか。

なんて笑えなかったのはつまり、バックアップしていなかったからだ・・・なんでか? 買って間もなかったから。

HDDの寿命はおおよそ3、4年。 時折かすかな異音が鳴り出したら終わりが近いので、新しいHDDへデータを引っ越す。 ところが今回なんでこんなに短命だったのかといえば、思い当たるフシが無いわけでもなかった。

スマホからメールでデータをPCへ送り、それをHDDへと移管している時だ。 やや処理ががもたついたので、いったんキャンセルして仕切り直した所、「ギクッ」という音が外付けから響いた。 こちらも思わずギクリ。 あわてて外付内のファイルにアクセスしたら、まさかの巡回冗長エラー → 冷や汗。

でも今思い返せばそもそも処理がもたついた時点でそのHDDはどこか異変が起きていたのだろう。 短命だったのは、すなわちハズレを引いてしまったからなのかもしれない。 現に今、PCでなくテレビにつないでいるHDDは5年以上頑張ってるし。 機械モノ故個体差があるのだろう。

その後HDDは、PCから認識すらされなくなるのだが、せめてもの救いだったのが、幸い別のバックアップ用HDDに4年前までのデータが残っていた事だ。 つまりその先4年の各種データが今回消失の危機にあるというワケ。

4年分といえば中一が高二になるくらいの年月なのだ、膨大なデータ量になる。 中でもあきらめられないのが、家族の写真。 これだけは是が非でも救出しなければならぬ。

まず試したのが玄人志向のHDDスタンド。 新しいHDDを買ってきて「いざクローン!」 認識されなかった。

次にHDD復旧ソフト。 ハイ認識されません。 だが「高度な設定」という項目を使えば認識はされるものの、何日精査させてもデータがひとつも見つからない。 これではかえってHDDを痛めつけている事になるのではと使用を止めた。

どんどん遠くなってゆくデータ復旧。 わらにもすがる思いでウェブ検索してみるも、出てくるのはタイトルだけは一人前だけど内容に乏しい雑記ばかり(本文もしかり)。 腕組みしてアゴに梅干しをこしらえながらしばし考え込んでいたところ、ある事を思い出した。

HDDを冷凍庫に入れておくと直る

都市伝説のたぐいだ。 ばからしくてこれまで一度も試した事なんてない・・・でもやってみるしかない。 HDDをケースから取り出してジップロックへ入れてチャックし、いざ冷凍庫へ。 冷やす事3時間。 取り出せば氷以上に冷たい。

おもむろにPCへつないで電源を入れると・・・嘘だろ認識した。

高鳴る鼓動、明滅するHDDアクセスランプ。 すかさずフォルダを全選択し、ローカルへ向けてコピーィィィッ!とここで、いやな予感。 これほど時間がかかるものではない。 固唾を呑んで見守っていた所、「ガッ!」と音がして彼は働く事を止めた。 やっぱりこれ、物理的にブッ壊れているんだ。

せっかく悪あがきしたんだもの。 一抹の希望を胸にもう一度、今度は丸一日かけて冷凍してから試してみよう。 結果認識すらされなくなった。 もしかして病状悪化させた?

HDDを冷蔵

もはや恐れるもの無し。

今度は丸一日、冷凍ではなく冷蔵保存してからつないでみた。 すると認識してやんの。

さっそく全コピペしたいところだが、こんどは大事をとってフォルダ一個ずつチマチマコピーしてゆく作戦をとった、はやる気持ちをおさえながら。 なるだけHDDに負担をかけないよう、ゆっくりと。

コピーの準備がはじまった。 が、これほど時間がかかるわけはない(悪寒)。 息を殺して見守っていると、例の「ガッ」という音がして彼は考える事をやめた。 やはり物理的に壊れているのだ。


悪あがき

その後つなぎ直して手でグングンHDDをブン回し、回転の手助けをしてみると、単にジャイロ効果を体感して喜ぶだけに終わる。

長い三日間に渡るHDD復旧作戦はこうして幕を閉じた。 将来子供たちが大人になった時、何か画期的なHDD回復手段が生まれているかもしれない。 なんかSF小説の冷凍人間の話みたいだけど、このままこの、壊れた外付HDDドライヴを、子供達の手に託す。

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