僕の宿毛高校物語 エピソード1【終わりは始まり】

13年前のちょうど今頃、僕はある病院の喫煙室にいました。

大切な友人のお見舞いです。

彼はガンでした。
余命宣告までされていた彼は、
誰が見ても弱っていく身体で、弱いところを絶対に見せない強い人間でした。

そんな彼が
タバコをくわえながら
その日最期に僕に言った言葉は

「生きたい」

でした。

絶対泣いてはいけない。
こらえきらない涙を必死でこらえながら
僕は彼に

「大丈夫」

と言ったような気がします。
本当は気が動転していて何を言ったのかはよく覚えてはいません。

でも、

こんなに本気の
「生きたい」という言葉を聞いたこと

こんなに辛い
「大丈夫」を言ったのは

この時だけかもしれません。

それから1週間後だったと思います。

彼はこの世を去りました。

このときちょうど僕は人事異動で
窪川高校定時制から宿毛高校への赴任が決まります。

まさしく
「終わりは始まり」
という言葉がぴったりでした。

そこで僕は、今の僕に繋がる男子バレー部に出会います。
部員が6人に満たず、試合にでたことのない男子バレー部がそこにありました。本当はバスケットボールの指導者として教員生活をスタートさせた僕は男子バレーを教えたことがありません。
当時女子バレー部の監督をしていた先生は僕に、
「女子バレー部を見る(教える)?」
と言ってくれました。
その頃、女子バレー部は強豪だったので
指導するには女子の方が楽だったかもしれません。
そして、結果も残せたかもしれません。

でもそこでぼくはなぜか
「いや、男子で」
と即答します。

きっと彼らに何かを感じたんでしょう。
そんな、お互いに0の状態の彼らとの出会いから僕の波乱万丈(?)の長い長い宿毛高校生活は始まります。

長くなったので今日はここまで。

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