僕の宿毛高校物語 エピソード4.5【反骨精神】

愛媛県をはじめ、多くのチームと練習試合をして力をつけてきた三代目チーム。練習試合の結果はほぼほぼ負けてばかりでしたが、選手たちはめげずに立ち向かい続けました。

そして、迎えた最後の県体(インターハイ予選)。
前年度、初勝利を目指して挑戦した結果、相手チームの棄権、裏エースの捻挫による欠場という悲運が重なり未勝利に終わった大会です。(※エピソード3参照)

集大成とも言えるこの大会での勝利は、三代目チームの悲願でもありました。

ところが、ここで誤算が起こります。
当時、多くの練習試合を愛媛県で行っていた宿毛高校三代目チーム。
県内チームとの練習試合はほぼ皆無に等しい状況で相手チームの情報も皆無に等しかったのです。

相手の情報がほぼ無しという綱渡りのような状態で挑んだ予選。

なんと

あっさり勝利をおさめてしまいました。

待ちに待った県体初勝利だったので嬉しいは嬉しかったけれど、少し拍子抜け。

思った以上に彼らは力をつけていたのです。

誤算は誤算でも嬉しい誤算でした。

高知県の県体では予選全日程終了後、会場で決勝トーナメントの抽選会が行われます。
前回は相手チームの棄権により負けたにも関わらず参加した抽選会。
今回は勝って参加する初めての抽選会です。

全チームが見守る中、キャプテンがくじを引きます。早い段階でくじをひいた宿毛高校の対戦相手はなかなか決まりません。
そして、いよいよある学校が宿毛高校の対戦相手となるくじを引き当てました。

その時です。その相手チームのキャプテンは自分のチームの方を向いて小さくガッツポーズを送りました。

少し違和感はありましたが、たいして気にもせず抽選会が終了しました。

すると、その相手チームのキャプテンはチームメイトのところに駆け寄り、全員で大喜びしているのです。

そうです。弱小と認識している宿毛高校と対戦することになったので勝利を確信して喜んでいたのです。

これに三代目チームは奮起します。

「先生、明日勝ちましょう!」

迎えた決勝トーナメント1回戦、楽勝ムードが漂っていた相手チームの雰囲気は一変します。

これも嬉しい誤算。

持ち前の反骨精神に加えて昨日の出来事。
普段以上の力を彼らは発揮します。

結果は完勝。相手チームは決して弱くない、むしろ強豪チームだったので大金星です。

この勝利は宿毛高校男子バレー部が高知県内で知られる大きなきっかけとなりました。

次戦のシード校との闘いには奮闘するも敗れてしまいましたが大健闘といってもいい結果でした。

インターハイ予選で最高の結果を残してくれた彼らは、この後、春高予選でベスト4という宿毛高校史上最高結果も残すことになります。

一気にかけ上がった三代目の話はここまで。

次回 エピソード5【光と陰】

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