僕の宿毛高校物語 エピソード4【開拓】

最高の1勝(※エピソード3、3.5参照)をあげた宿毛高校三代目男子バレー部。

少しずつ力はついてきたものの、高知県内の近隣高校に練習試合の相手がいないという現実は変わっていません。

そこで、視点を変えてみることにしました。高知県にこだわるからダメなんじゃないか?実は宿毛高校は高知県の西の端にあり、愛媛県との県境に存在しています。なら、愛媛県に練習試合に行けばいいじゃないか。

当時男子バレー部の指導経験の浅い僕は人脈もありません。愛媛県のどこにどんなバレー部があるかなんて知る由もありません。

しかし、そんなの当時の僕には関係ありません。ダメ元で最も近いところに位置する愛媛県南宇和高校という学校に電話をかけてみることにしました。

当然のことながら、南宇和高校に男子バレー部があるかどうかなんて分かりません。

電話に出た方に恐る恐る言いました。

「男子バレー部の先生をお願いします」
(※バレー部があるかどうかをまず聞け!)

ドキドキしながら伝えると

「お待ちください」

どうやら男子バレー部はあるらしい。

ほっとしたのもつかの間、
次の難題は練習試合を受けてくれるかどうかです。
こんな得体の知れないチームの練習試合を受けてくれるのだろうか。
再び心臓が高鳴ります。

結果、二つ返事でOKでした。
南宇和高校も愛媛県の端に位置しています。後に聞いた話、南宇和高校も練習試合の相手に困っていたそうです。

そして迎えた練習試合当日。

ボコボコにされました。

中学校に男子バレー部がある南宇和高校。相手になりません。きっともう、練習試合は受けてくれないだろう。そう思いました。

ところが、当時南宇和高校の監督の田中先生はこの後、宿毛高校をことあるごとに練習試合に誘ってくれます。それどころか、愛媛県各地で行われる合宿や練習試合に連れて行ってくれるようになったのです。

高知県のネットワークよりも先に愛媛県のネットワークがひろがっていきます。

人脈のない僕にとってこの経験は大きな宝物となり、そして転機となります。
田中先生との出会いは今でも土台となって自分を支えてくれており、あの頃の無礼極まりない無鉄砲な自分をほめてあげたいです。
(※普通無理)

愛媛県での練習試合は、バレーボールというものを知る、いや、知りたいと思う大きな転機となりました。
そして何より大きいのは、愛媛県でビーチバレーに出会ったこと。ビーチバレーの魅力にとりつかれた僕は、この後全国大会、国体へと選手を連れていくことになります。(※その話はまた今度。)

まさに新たな土地を開拓していくように、宿毛高校男子バレー部は各方面に進出していきます。

今までとは比べ物にならないくらい多くのチームとの練習試合。自然と基礎固めとなったビーチバレー。

こうして三代目バレー部はメキメキと力をつけ、最後の県体を迎えることになりました。

今日はここまで。

次回、エピソード4.5【反骨精神(むかつく)】

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