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風車に駆け寄る、ウマに乗った馬主たち

痩せウマ「ロシナンテ」にまたがり、槍をもって風車に突っ込んだのはドン・キホーテだ。日本には、洋上風力発電に挑もうとする肥ウマと馬主がいる。

日本風力開発の塚脇正幸社長(64歳)が秋元真利衆院議員(48歳)に3千万円を渡したのは認めている。が、これは共同管理するウマの餌代などの費用であって、洋上風力発電受注とは関係ないという。本当かね。特捜部の調べで日増しにグレーっぽさが濃くなっているようだ。

風力発電は日本が遅れをとっている。台風が襲う日本は、吹く風が安定せず風力発電に向いてない。とか、風車が回るときの低周波振動があるので狭い日本では立地に適さない。とか、景観が悪い。とか、マイナス面ばかりが誇張され、いまだ後進国だ。

切り札は洋上風力発電だ。北日本の海に吹く季節風がねらい目だ。地権者はいない。埋め立てず浮かせれば漁業への影響も少ない。なによりも、大きさを選ばないので発電量が大きく効率がよい。環境ビジネスの目玉になった。

世界最大の風車はGE社製で、直径220m、発電容量12MWにもなる。柱の上にあって、羽根を支え発電機がはいった「ナセル」は1000トンにもなるという。

こんな大きなものを日本でつくるところがない。いや、つくる工場はあったとしても、運べないのだ。新幹線をトラックで運ぶのだって、1両が25mあるから限界に近い。100mもある羽根は道路を曲がれない。そう、港に面した工場でないと船でも運べない。

採算はどうか。机上計算はされているようだ。1基あたりの発電コストは40円/kWhで初期費用は150億円という。でも、国の補助金なしでは、採算にあうとは思えない。

太陽光発電は、初期には電力買い取りの補助金で採算に合った。山林を伐採して発電ファームがいたるところにつくられた。補助金に魅力がなくなった今、新規建設どころか既設ファームも採算がとれないところが多いと聞く。補助金だのみは続かないのだ。

ドン・キホーテは騎士道物語に憧れ、現実と物語の区別がつかなくなっていた。洋上風車に挑む日本の馬主たちは、夢と現実の採算ギャップをどう埋めようとしているのだろうか。ウマの餌代くらいは、補助金で補填するとしても。