見出し画像

給食のカレーライス

小学校の理科教育のお手伝いをしている。朝9時から午後の2時すぎまで、週4日のアルバイトだ。仕事内容はともかく、これまで(民間会社の営業職)とは違い、45分単位でひとつの仕事を終えるというリズムにようやく馴染めるようになった。楽になったのは、昼食を何にしようかと毎日悩まなくても済むことだ。そう、給食があるのだ。

学校内に給食センターがあって、温かいごはんが食べられる。もちろん栄養バランスとカロリー計算がなされており、健康的でしかも、デザートがついているときもある。お米のごはんは大麦が混ざり、パンやナン、パスタもある。肉、さかな、野菜、昔の給食とは全然違うのだ。

ただ難点は、カレーライスや麻婆豆腐など、辛い料理が辛くないことだ。

小学生、しかも1年生などの小さい子どもは香辛料が苦手なのだろう。うちの子どもたちが小さいころは、甘口の「バーモントカレー」だった。しかも薄め。麻婆豆腐なんか家では出てこなかった。それを思い出して、辛くない「ふぬけ」のような給食カレーライスを食べている。

夏休みだから今日は家にいる。よし、辛いカレーをつくろう。スーパーで牛モモ肉とニンジン、マッシュルーム、ジャワカレー辛口のルーを買ってきた。ジャガイモとタマネギは自家菜園のがある。肉を入れ、タマネギとニンジンをよく炒める。昨夜準備した煮干しの水出汁を加えて煮る。ジャワカレールー3片に、バーモントカレールー1片で辛さを和らげた。とびっきり辛いのは苦手なのだ。

鍋を煮込んでいる間に新聞を開くと、「カレー」の文字があった。

1998年和歌山市の「毒カレー」事件から25年たつ。カレーにヒ素が混入され4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒になった。ひどい事件だった。夏祭り会場でのことだが、当時の在校生が犠牲になった小学校では、今でも給食にカレーを出さないという。

辛くなくてもいい。給食にカレーライスが食べられるのは、幸せなことなのだ。

で、「辛い」カレーは上出来だった。ウチの子どもが大きくなってもカレーは「甘口バーモント」そのままだったから、やっと念願がかなった。カレー当番がこちらに回ってきた。