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2021年1月19日の乾杯

2021年1月19日の乾杯。

非常事態宣言発令の中、Amazon Prime Videoから一本の映画を題材に感想を語り合いました。

Diner ダイナー (2019年 日本映画)
監督  :    蜷川実花
脚本  :  後藤ひろひと 杉山嘉一 蜷川実花
出演  :  藤原竜也 玉城ティナ 
                       窪田正孝 本郷奏多 武田真治 
                       斎藤工 佐藤江梨子 金子ノブアキ 
                       小栗旬 土屋アンナ 真矢ミキ 奥田瑛二
                       川栄李奈 コムアイ 木村佳乃 板野友美 
                       角替和枝 品川徹 他
原作  :     平山夢明 
上映時間:    117分

*** *** *** 

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。
👨こんばんは
👩こんばんは、よろしくお願いいたします。
👨いやぁ、コロナが収まらないですね。
👩そうですねぇ・・・様子を見るしかないというか、こう、できる限り人に会わないようにするしかないですね、暫くは。できる人がですけれど。仕事でどうしても出なければいけない人はいますから。社会を動かすためだったり生活のために。
👨私はYahooの乗換案内にも頼って。最近電車の混み具合が出るようになったじゃないですか、全部。
👩そうなんですね。知らなかったです。電車に乗るということがほぼなくて。
👨それはそれで素晴らしいのだけれど。
👩今日久しぶりに乗りましたけよ!
👨でもなんか、それほどすいているわけではないのでね、時間によっては・・。
👩そうですね。そこまで混んでいるというわけでもなかったです。
👨でも、やっぱりこれだと、ほら本当にロックダウンしているわけではないから、そんなにすぐには収まらないなって言う気はしますけれどね。
👩そうですねぇ。で、あれですよ。我々もいつまでもコロナの話をね、こうやってせっかくの時間に話すのもなあということで、今回は。
👨ちょっと企画を組みましてね。
👩はいはい。それぞれで同じ一本の映画を観てきました。 
👨Amazon Prime Videoというものにたまたま二人とも入っていたもので。その中からどの映画がよいかなぁというのを探して、
👩はい。で、もともとあれなんですよね?少し前。何年だったかな、2019年ですかね。去年、一昨年か。おととしに公開された、原作は小説の
『Diner』という映画を観ての、今日ですね。
👨はい、さようでございます。まあ、映画自体は劇場上映が始まる前に予告編を何度も観てはいたんですね、映画館で。それで、蜷川実花さんの監督ということで興味はすごくあったのですけれど、たまたまちょっと劇場で見逃してしまって、ずっと気にはなっていたんですよ。でも、観て、いやぁみたいな。
👩元々小説をね、読んでいたので、
👨私も同じく。
👩はい。お勧めしたんでしたっけ??
👨そうです。で、面白いって。
👩私も映画の予告から気になっていて、先に小説を読んでおきたいと思いまして。とても面白くて、で、今回は映画をみたのですけれど、小説と映画はそこそこ違ってましたね??
👨うふふふ、ちょっと違ってましたね。
👩蜷川実花さんの画は元々写真家さんなので、その強烈な色彩が、あのー、鮮やかな夢をみているみたいな映画だと思いました。
👨そうですね。蜷川実花さんて昔『さくらん』って言う映画があって、
👩はいはい。私あのマンガも凄く好きなので。観ましたよ、『さくらん』
👨えーと安野ももこ?
👩安野モヨコさん。
👨安野モヨコさんでしたっけ。私ね、あれ、もう数年前ですけれど石巻に行ったときに石ノ森漫画館でたまたま彼女の原画展をやっていて。それを観て一気に大好きになってしまって。
👩羨ましい!
👨それで漫画も一応読んではいたんですけれど映画も観たくなって。で、それにしても、その時からの映画としての色彩感覚の片鱗が今回もたくさんあって。
👩もともと・・、もちろんその映画監督のという顔というかそちらでもがっつり有名になっていらっしゃいますし、ただ元々は写真家さんですよね。
👨フォトグラファーですよね。
👩素晴らしいんですよね。
👨うん
👩蜷川実花さんの作品・・すごく色気のある写真を撮られますよね。簡単に、色気って言って良いのかわからないですけど。被写体の方の見たことない表情がみられるというか。色気がすごくあるなぁと思っていまして、それがとても出てた。あの、もともとの、その、なんだろうな、蜷川実花さんのおとうさまは皆様ご存じの演出家蜷川幸雄さんなのでございますが、あの、舞台も取り入れられていましたね。小説だったら冒頭で説明できることを、映像にしたときにそれを全部説明すれば、それは長くなったりぱっとは頭にはいってこないので、きっと。それが舞台の形をとって、過去こんなことがあってみたいに、こんな女性でっていう、そのー、主人公の大場かなこさん、オオバカナコさんが出てくるっていう。テンポがよくて観やすかったです。入りやすかった。
👨そうですね。あの、で私、一番最初のあたりのシーンで、人の流れがこうダンスのように描かれていたじゃないですか、動きが。  
👩うんうん。
👨あれでもう一気に。なんだろ、こちら側のスイッチをカチャって変えられてしまった感じがするんですね。だからそういう、ある種、その語り口でやってくると、色使いなんかも単純にきれいというだけではなくてグラデーションがあって、たとえばこのシーンとこのシーンでは綺麗なのだけれどやっぱりその色の強さがちがうとかね。それで物語っていうのが語られていく感じがあって。
👩そうですね。
👨だからその、単純にその物語を追うっていうことが頭ではなく感覚で追える。あの、なんだろ、ロジックみたいなものとかとはまた別のところでちゃんとなにか動いているっていう感じがしたんですよね。あの、私は一応プロジェクターで映して観たのですけれど。
👩ほうほう。
👨そうすると安物のプロジェクターでも、映し出される画像の色やトーンって明るくて派手じゃないですか。するとやっぱりインパクトが強くて、あれって大きな映画館で本当に観たらもっと頭を使わないで体で感じるみたいな、そんな感じになったんじゃないかなぁっていう気がするんですよね。
👩いいなぁ。私は…小説って自分の希望というか自分の好みに寄っていくじゃないですか、どうしたって。私が小説を読んだのがちょっと前なのでどうだったのかなぁとおもったのですけれど、映画のね、最後というか、あの、まあまあここからネタバレもあるので観ていなくて観たいなぁと思うひとはお気をつけください。
👨
ああ、はい。
👩これはちょっと大文字で。
👨WARNINGね。
👩お気をつけください。・・で、こう、逃げろっていうじゃないですか、ボンベロが。
👨ああ、はい。
👩藤原竜也さん演じるそのダイナーの主人であるボンベロ。で、もう一人の主人公がオオバカナコっていう無理矢理ウェイトレスとして連れてこられたっ・・
👨玉城ティナさんが演じていらっしゃる。
👩そうですね。で、ざっくり言うともうどうしようもなーい!!状態になって、ボンベロもカナコも殺されそうになっているときに、ボンベロが戦うんですよ、カナコを庇って。で、最後もういよいよどうしようもないぞ終わりだ!!!ってなったときに、こう、唯一逃げられるところからオオバカナコを逃がすんですけれど、その逃がそうとした時に、原作はどうだったかなぁ・・・。キスをするんですよね、そのオオバカナコがボンベロに。あんなシーンってありましたっけ?
👨いやぁ、覚えていない。なかったような気がする。
👩そう、私もなかったような気がして。あったら申し訳ないんですけど、でもね、なんかね、そう言うんじゃなかった気がしたのね、その、小説で読んだときに。それは私の頭の中でそうなっているんだけど、勝手に。
👨というか、あの辺になったときには、私、小説はもうどうでもよくなっちゃっていて、
👩ああぁ。
👨もう、完全に映画の世界での中での顛末しか追っていなくって。
👩ああ、なるほどなるほど。私はけっこう・・、映画は映画ですごく面白かったんですよ。ただ小説もやっぱり私にはけっこう強烈に、好きな気持ちが、こういう話だったっていう印象がすごいついていて。なんかね、あの、・・・あのー、絵にしたから余計かもしれないんだけれど、すごくさ、やっぱり綺麗でしょ、玉城さんも、藤原竜也さんも、お顔が素晴らしくきれいだから、なんかね、突然恋愛映画みたいになった瞬間のように思えてしまって。そうじゃないんだよ、そうじゃないのは分かっているの。でもなんかさ最後も出てくるじゃない。あれ、来なかったと思ったんですよ、私。最後。原作ね、一番最後。オオバカナコがお店をつくるじゃないですか、自分のお店。で、出てくるでしょ、ボンベロと菊千代。そうだったっけ?と思って。
👨いや、だからあれもね、私は最後のところがちょっとよく分からなくて。あれが本物なのか、リアルなものなのか、あるいは彼女の幻想なのかっていうところもよくわからなかったんだよね。
👩それは確かにね。なんか、どうなんだろうというところは確かに残しているみたいじゃないですか。
👨だから。記憶の中でそういうものが浮かんできたところで終わりなのか、あるいは本当に・・。
👩でもさ、あれはさ、ちょっとさ、来ている感じがするんよなぁ。そこにいる感じが。完全に個人の好みなんですけど・・・どうなる?どうなったんだろうっていう、生きているのか死んでいるのかみたいなのを原作を読んだときに思ったような気がして、でもこれ、本当にさ、原作が今ちょっと手元にないからあれなんだけれど、同じだったらねぇ。
👨あはは、ごめんなさいだけどね。
👩うん、同じだったらごめんなさい。それだけ、こう、すごく印象をもったシーンだったんだなと思うんだけれど。どちらにせよね。なんか、あの、これからそうなるにしてもというか、ある程度のボンベロとオオバカナコの心の・、心のとは言わん、なにかしらのつながりはあるわけですよ。その、映画を観ていても原作を読んでいても、思うの。
👨うん、次第に生まれてきていましたものね、
👩もちろん小説を、小説の内容を全て映画にはできないじゃないじゃない。
👨あ、はいはい。
👩小説の一本分を・・、薄くなかったからね、原作本。だったから、それを全部映画にしようと思ったら2時間なんかではちょっと足りないし、あはは、なんだけど、だからぎゅっとしているところもすごくあるんだけれど。それがしかも綺麗だったんだけど。でもなんか、なんだろうなぁ、なんかすごく綺麗だから、映像が。映像としてもうちょっと観ていたいなって思いましたね。短さとかまとめ方とかめちゃめちゃすっきりしていて。あれ以上になったら耐えられないってなっちゃうのかもしれないけれど。
👨いや、私が小説を読んだときの印象っていうのが最初のうちは残っていて、そうすると藤原竜也っていう印象はまったくないわけですよ。ボンベロはもっと強面のね、いかつい感じの人のイメージでずっと小説を読んでいたのね。それから、オオバカナコにしてももっと華がない感じの人を想像していたから。そこのところで一瞬戸惑ったのだけれど、すぐ慣れたんだけれどね、逆に塗り替えられたんだけれど。
👩うんうん
👨で、だいたいさ、最後のメキシコの街にしてもさ、本を読んでいた当時私はあそこのことを知らなかったんですよ、まったく。あるということすら。で、たまたまコロナ禍が始まってからNHK BSのドキュメンタリーをたくさん観るようになって、そのときにトラックバスで南アメリカを一周するっていうドキュメンタリーの再放送があって、その中に出てきたんですよ、あの街が。あの街の色ってすごく独特じゃないですか。
👩はい、とても。
👨あれを観ていたからあぁっていう風には思ったのだけれど。だけど、そうやってイメージというものが小説を読んだときとは違うから、だからこれは多分別物だなっていう風に私の中で分かれちゃったんだろうね、きっと。で、じゃぁ別物だからなんなんだって言われると、両方面白かったから2倍美味しいっていう話もあるんだけれど。
👩そうですね、なんかその、なんだろな?いろいろ思うんだけれど。その、なんかね、別物、『Diner』という作品なんだけど、もちろん。でも小説と映画は、ちょっと別の、別というかなんだろな、その、やっぱりさ、小説には小説を読んで自分の頭の中の世界でぶわぁあっと想像力を広げて遊ぶ!みたいにするのが私は楽しいし、今回映画を観て、夢みたいなその色彩の中で、なんだろな、絵本っていうのか、おとな絵本みたいな・・。
👨はいはい。
👩うん、世界の中で見えていくというか楽しめるというのは、やっぱり映画じゃないとできないというか、体験、この作品の、こういう映画じゃないと体験できないものだと思ったから。
👨まあ、やっぱり語り口がもう全然違うんで。さっきも言ったけれど色で表現するっていうかもらうものがものすごく多くあったので、
👩そうですね。
👨だからそうすると、読んで文字情報で頭に入ってくるのと全然違う入り口みたいな感じはしたんですよ。で、ひとりひとりキャラクターごとの色の使い方っていうのが観ているとものすごく実はよく作られていて
👩うんうん。
👨キャラクターごとに全部違う色の美しさなんだよね。
👩あー、そうでしたね。色が違う。そういえば、原作の無礼図は男性だったんですけど、映画は・・
👨うん。真矢みきさんだったよね。
👩贅沢でしたね。私あれ、すごく嬉しくなっちゃって。
👨うん。いや、あの宝塚的スタイリッシュさっていうのはすごいよね。
👩すごかった。しかもさ、あの、最後のあれで気がついたんだけど、えっ真琴つばささんも出ていらっしゃるなんて。あのね、あそこのシーン、ずっとお目々が幸せでした。視覚だけじゃないけれどもちろん。んはは。
👨いやぁ、お客さんを呼ぼうとすればやっぱりそうなんですよ。あの、彼女たちのそういう、なんていうの、美しさっていうのは間違いなくあるよね。
👩美しさは強い。世界観の構築、連れていってくれる感じがする。
👨うん。で、ひとりひとりに対してちゃんと描けてもいたしね。登場人物がみんなちゃんと、道具にならないで、そのニュアンスみたいなものをしっかりと絞り出されてた。あの旅行代理店の店員さん、川栄さんにしたってさ、ちゃんとその色みたいな物っていうのが、なんだろ、表現のなかであるから彼女がわかるみたいなそういう細かい作りっていうのが全然雑になっていなかったから。
👩うんうん、とても丁寧。あと個人的にはセットを見たいと思いました。あのセットすごく良かったですよね?
👨うん!
👩もうあのセットはねぇ、ほんとね、もうあれは、セット単体で見たい。あの、なに、こう部屋もいっこいっこそうだし、あのダイナーな入ってすぐのところ、一番広い客席とか、個室じゃなくて。一番でも笑っちゃったのは、あのディーバウォッカの見た目、ボトルの・・。えーってなった。あれだけはなったな。あれはけっこうじゃないですか?びっくりしちゃったんだけれど、私、あのディーバウォッカの外見。でも、でもね、あのくらいのビジュアルじゃないともう世界観に負けちゃうんだろうなと思って。ダイナーの中ってすごく華やかだったじゃないですか。物語のキーになるものだから、あれだけ。しかもずっと出てくる物ではないから。印象の中に残る、残らせるっていうか、残っていればいいから。うふふふ、なんか笑っちゃった。
👨いや、だからお酒はねぇ、他にもうん万、うん十万っていうのがごろごろある中で、それよりも一ランク、二ランク上っていったらやっぱりああなりますよ。
👩だって、だってさ、ダイヤモンドで・
👨濾過したっていってたね。
👩濾過して、中にもダイヤモンドが入っているっていうんだもの、一億を超えるお酒なんだもの。おもしろい。
👨ボトルだけでも充分価値があるみたいなね。
👩あと、後半の抗争っていうか戦いのシーンがあるんですけれどね。そこのさ、店にあるお酒のふたをどんどん空けて、そこに布を突っ込んで火炎瓶を作るシーンがあるんですけれど、それ一本一体いくらの火炎瓶なんだろうって思って、それもけっこう気になって、すごーいって。
👨ひと投げうん十万円みたいなね。
👩おもしろかったなぁ。あと、個人的に蜷川実花さんてハッピーエンドが好きなのかしら、と感じました。
👨うーん。だからやっぱりどっかでロマンス、ただね・・。
👩『さくらん』もそうでしょ。
👨そうだね。
👩『さくらん』もさ、最後すごく、ハッピーだった。
👨ちゃんと解き放たれるんだよね、いっぺんぎゅっとその辛いこととかが凝縮されていても、ちゃんと最後に放してくれるからね。
👩安定するよね、エンタメとしてすごくいいよね。安心して観られる。
👨途中がもっと混沌としていると、最後のところがほっぱらかされてもわかるんだけれど、途中があそこまでくっきりくっきりがっさがさやっていたから、そうすると最後のところは放してもらわないとものすごくなんか残るよね、きっと。なんか変なものが。で、そもそもこの作品、脚本に後藤ひろひとさんが入っているでしょ。
👩あっ、そうなの、だからだ。
👨そう。
👩『パコと魔法の絵本』
👨うん。
👩パコ、パコ感!!舞台っていうか、いっしょにやっていらっしゃる方がいっぱいいるし。
👨そうそう、あの子供の頃の思い出のそういう風な作り方とかね、あれ多分大王(後藤ひろひと)だよ
👩道理で。あはは、道理でだよ。そりゃおもしろいよ。
👨で、結局ね、彼ってそういうふうなイマジネーションの凄さっていうのも当然にあるんだけれど、私昔からあの人の作品が大好きで、もうPiperって昔あったんですけれどね、後藤さんが主宰作演で川下大洋さんとか腹筋善之介さんとかもいらして、2003年から2005年くらいかな。そのPiperの公演とか、たとえば「Big Biz三部作]とかも全部観ていたし、でね、ところどころに出てくる度の過ぎたくだらなさとかっていうのも絶対彼のセンスだし。
👩んふふふ
👨でも、そうは言いながらも、彼ってその中にちゃんとそれぞれの人間の個性とかをちゃんと描くんですよ。で、今回の作品ですごく感心したのはひとりひとり、殺し屋にしてもまわりにしても、それこそKidについてくるおじいさんにしてもちゃんと個性というものを出させているじゃない。
👩うん、納得だな。すごく納得した。パコ、私大好きなんです。生では観れなかったけれど、舞台版初演、再演どっちも観ているし、映画も観ているんですけれど。そっかぁ・・・。でも、でもさ、よけいそのさ、最後は見え方なんだろうな。原作は私が、そういう、そのー、あんまりこうハッピーエンドとして覚えていなくて。
👨うん。
👩いずれそうなるかもしれないけれど、恋愛っていう風に覚えてなくて。実際原作はそうなのかもしれないからさぁ、覚えてないだけじゃんってなるかもしれないけれど。見返さなきゃ、後々。
👨だけど、少なくともその人生観みたいなもの。人が生きるとかそういうのっていうのは、やっぱり結構後藤ひろひとさんの人生観だよね、あれ。要所要所は。
👩そうですね。色が出てた。納得。
👨だから私、エンドロールを見ていて、「あっ」とか思わず声が上がったもの。
👩あぁ、そうかぁ。
👨この人がやったんだったらって。
👩大王。
👨大王ですよ。
👩大王か、そうか。もう一回観てみよ。
👨うふふふ。
👩いや、そうなの。なんかさ、安心して観てたのね、その。けっこうさぁ・・。
👨だからぶれないんですよ。
👩うんうん。
👨ひとりひとりのそういうキャラクターとかがぶれないじゃない。
👩うんうん。ともすればさ、ちょっと恥ずかしくなっちゃうとこがさ、ある。世界観が作り込まれているから、それをこう、実感をもってじゃないけど、共感しながら観ていくのに入れるかどうかって、けっこう人にもよるかもしれないなって思ってたの。小説もそうだし、映画はもっとね。そう思うと、それがすっと世界に入っていけて観られるのは・・・ちゃんと観客でずっと、・・・・あのー、私は共感性羞恥が激しい方なんですけど・・
👨えっ?
👩映画とかで主人公が恥ずかしい思いをするシーンとかがあると、恥ずかしくてみていられなくなってしまう。
👨ああ、共感性羞恥ね。
👩それがやや強めなんですが、それもなくてすっと。元々あの世界観も凄く好きだし、小説も好きだし、映画もやっぱり画から。あの、蜷川実花監督の作品って好きなんですよ。夢みたいだし、悪夢みたいでもあって。
👨あと『ヘルター・スケルター』なんかもそうだしね。
👩うん、いいよね。蜷川実花さんがそうっていうんじゃないですが!完成度が高いからそう思うのだと思うんだけれど、あのね、私の心の中二が喜ぶ。
👨蠢くんだ。
👩ぞわぁってなる。ぞわぁってする、映画だった。んはは。
👨後藤ひろひとさんの人の描き方って、時にはなんか物凄くこうしつこくえげつなかったりもするし、もともとあの人って遊気舎っていう関西の劇団から始まっているから、だからその、やっぱり笑いは取るわけですよ。で、それはPiperになろうが、王立劇場になろうがそうだっだし。多分私が一番最後に観た後藤ひろひとさんの作・演出(プラス出演)は、T-worksっていう丹下真寿美さんの団体の旗揚げだったんだけれど。あの、『源八橋西詰』っていう作品で、それは3人のそれぞれの物語のオムニバスで最後に源八橋西詰っていう交差点に浮かび上がるっていう趣向なんだけれど、その人物や周りが異なってえげつないくらいにしつこくてベタで強烈で笑わせてくれたりもするのよ。だけど、最後には、それぞれのその中の人生観や想いの風景を描き出すっていうのは、もう大王の一番の得意技だからね。で、それを思い出すと、この映画も、やっぱりどこかで、まあ原作があるからそれには従っているんだけれど、人を描くそういうのがぼこぼこ入ってきている気がするのね。
👩わかるなぁ。
👨その、ひとりひとりの狂気っていうのもどこかコミカルだし、でもコミカルなのだけれどその後ろっていうのは必ずあるのよ。たとえば私、その流れでの、スフレの中になにも入っていなかったときに完璧なものだっていって、満たされてしまって狂気に走るっていう、あれはものすごくわかるもの、その感じって。
👩うん、あれいいですよね。
👨スフレもすごく綺麗だったけれどね。あの白も。
👩綺麗だった。あれを視覚でも感じることができて贅沢でした。見てみたかったから。最近すごく思うんですけれど、物語の中の料理ってすごく惹かれるんですよね。それは、あの、どっかでわかっているじゃないですか、うそだって。それはわかっているじゃない。だけど、えーとね、嘘だと分かっているけれど、料理という直結するもの。自分の人生にの直結する物だから、そういうものが現実的に目の前に出てくるとすごく現実を感じる。その映画の中にいる人物の息を感じるっていうか。
👨鼓動をね、呼吸を。
👩生きているというか、現実感がすごくぐっと、ぐぐっと 寄ってくる感じがするのね。だから映画にかかわらず料理いろいろ好きなんですけれど。
👨映画の毒々しさにしても、ああいう白さにしても、ただ単純にそれが綺麗だとかそういうことだけじゃなくて、その後ろにちゃんと、その、実は受け取っているのはそれを食べたりする登場人物の個性だったりするわけじゃない。
👩うんうん。
👨で、そこのところでデフォルメしているものっていうのはたくさんあるんだけれど、色の使い方とかね、見せ方にしても結局そうなんだけれど、それっていうのは演劇なんかでもあるデフォルメとおんなじような力としてでの色使いでもあるような気がするんだよね。だから見飽きなかった。あれだけ色が溢れていても全然見飽きなかった。
👩そうですね。受け取るものが、コロナでずっと家にいるし、そこまでこう、私がそうかもしれないな、やっぱりね。最初さ、この話をおじおねでしましょ、乾杯でしましょっていう話をしていたので観たんですけれど。あのね、開始前、これはちょっと内容とは別の話なんだけれど、開始前にテレビの前に座ってここから2時間観るってなったときに・・・劇場で席に座る時間を思い出して。作品を集中してみるというのは、物凄く贅沢な時間でそれは必要なことなんだって。2時間さ、自宅でよ、自宅で2時間、体を同じところに置いて、集中をして、ほかのことに意識をそらさずに、なんかそれって、あのー、現実的にいろいろやらなければいけないことがあってとかじゃなく、その、心としてもね、なかなかできないと思うのよ、私はね。
👨うふふふ。
👩これは良い意味で、縛り付けられる贅沢というか、劇場だからこそ感じられる贅沢だと。ライブパフォーマンスの贅沢。舞台が恋しくなりました.
👨ましてや私はそれをプロジェクターで観ているから。ちんけなものでもプロジェクターの力って意外とすごいんですよ。
👩ああー!特別感出ますか?
👨あの、没入感があるの、物語に対する。
👩ほう、それはうらやましいな。
👨パソコンとかテレビでみているのと光がやっぱり違うんだよね、投影して観るものって。そうすると色とかでもやっぱり、なんていうの、パソコンでもちょっと観たんだけれど、パソコンでも当然に綺麗なんだけれど、なんかその内に秘めたるパワーが違う感じがするんだよね、寧ろ粗いんだけれど。
👩あれよ、あれよ。なんか私はやっぱそれを感じることでさ!もちろんね、プロジェクターを手に入れたりする素晴らしさ、ある。めちゃめちゃうらやましいです、それ。でも、強烈に舞台を観たくなるんですよ、そういうときに。
👨いや、舞台はまた全然別腹だからね。
👩でもね、最上位というかね、まあ映画館もそうだけれどさ、映画もね映画館に行けばいいけれど、なんかこうライブでしか、舞台でしか感じられないものをものすごくね、求めているなぁって思いながら観てた。うふふ。面白かったですよね。
👨うん、ほんとに面白かった。
👩ただ私たちがさ、ほら舞台はよく観ているけれど映画のプロではないからさ、なんかちょっと勉強がいるなとも思いましたね。
👨ああ、そうそう。
👩感想がね、夏休みの感想文みたいになっていた気がします。あははは。
👨それと映画の人が観るときには観ているものをたぶん観ていないような気もするんだよね。
👩ほうほう。
👨物語の構築はどうだとかね、あとキャスティングはこの人だと間違っているんじゃないかとかね、何にも考えなかったものね、私。
👩私もなにも考えなかった。御飯がきれいだなぁ
👨あはは、そうそう。
👩この花、綺麗だなぁとか。んふふ。
👨あの、ストックルームの雑然とした感じがまた私好きだったりするのね、私。
👩世界観がすごく作り込まれていたから贅沢な空間と時間ですものね。
👨うん。
👩映画をみて喋ってみようの回。またやりましょう。・・・・舞台を観ての話もしたいですね・・
👨もう、それはもう当然そうなのですけれどね
👩次は漫画とかいいんじゃないですか?
👨漫画もいいし、アニメでもいいですよね。
👩ああ、いいですね。最近ほら『呪術廻戦』が面白そうです。ちょっとだけ観ましたけど。
👨私はもう嵌まりつつあります。6話くらいまで観ました。
👩ああ、そうなんですね。
👨あと私は、『はたらく細胞』大好きですから。
👩ああ!
👨知ってます?今『はたらく細胞』にBLACKってできてるの。
👩え!知らないです、新作??
👨あれすごいよ。あの、あれだから。若い人の身体じゃないから。
👩BLACKってそういうこと?!!
👨ストレス抱えながら働いているただの不摂生なおっちゃんの身体だから、あれ。
👩面白そうじゃないですかー!
👨たまたま昨日の夜に放送があって、Amazon Primeなんかでも観てるんですが、テレビで観てたら、テーマが「淋病」ですからね。
👩マジかぁ。
👨うん。
👩いやぁ、じゃあ、そのへんも観て話してみますか。
👨そうですね。
👩コロナの様子も伺いつつね。
👨そうそう。まあコロナがあったとしてもそれは関係なく楽しめる世界だから。 
👩そうですね。
👨楽しめるものを楽しみましょ。 
👩はい、そうしましょう。
👨じゃあまた次回もこんなお話でやっていきましょうか。
👩はい。また次回はあれですね。もうちょっとコロナがどうなっているかっていう話も話題になってくるかもしれませんね。
👨1月7日から非常事態宣言だから、そろそろ効き目が本来だったら出てこなければいけないんだよね。
👩そうですね。だけどあんまり人が・・。まだまだ人がいるからねぇ、外に。しょうがないけど。様子を見ましょう。
👨そうですね。
👩はい。
👨では、そういうことで。また次をお楽しみにということで。
👩はい。
👨演劇のおじさんと、
👩おねえさんでした。
👨おやすみなさい。
👩おやすみなさいませ。


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