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滋賀県立大学工学部電子システム工学科3年次編入学試験合格体験記(+その後)

はじめに

こんにちは.LINEオープンチャット「大学編入生の会」の運営を行っている,おじぱん.(@ojipan_n)です.編入学基礎のサービスがいつの間にか終了していたので,このnoteにて編入後の内容も含めて一部修正を加え,再掲することにしました!

四大→四大への理系編入の体験記は少ないので,以後はこのような体験記を増やせるといいなと(密かに)思っています.理系はほぼ院進するので,編入ではなく院で大学を変える人が多いです

もう一昨年(令和でなく平成)の話ですが,私は2019年度の滋賀県立大学工学部電子システム工学科の3年次編入試験に合格し,今年無事に卒業しました!

今年の4月からは院進学せずに,とある企業の技術開発職(回路・ソフトウェア設計)に就きます.職務上院卒が優勢で,同期の半分が院生でレベチだと身構えています...学生時代には経験し得なかった一人暮らしも始めます!

自己紹介

・関西の中堅4年制私立大学から編入(お察しください)

・大学のサークルでチームを組み,ロボットコンテスト(=ロボコン)を約2年間やっていました.一応それなりに実績も残せたので,就活やインターンのガクチカとしては強力だと感じました.私は主にロボットの回路基板をCAD(=PCで描く図面)で設計したり,マイコンと呼ばれる小さなコンピュータのプログラムを書く担当で,その傍ら編入の勉強をしていました(想像以上に多忙で,サークルでは周りの士気を下げないようにギリギリまで編入のことは伝えませんでした).

・私は昔からモノづくりやコンピュータにとても興味があり,かねてから将来はその分野で活躍したいと考えていました(自作PCを組み立てたり,おもちゃを特殊ドライバーで分解したり...)

・その影響で高校では科学系の部活に所属し,モノに関する色々な活動をしてきました(科学実験,フィールドワーク,HSP言語でのゲーム作成など...)

編入へのきっかけ

・先述のロボコンの活動の影響により自分が研究したい内容が変わってしまい,当時自分の学科にはそのような研究ができる研究室がありませんでした(編入前の学科は半導体と通信に偏ってソフトが弱い?)

知的信号処理(画像処理や音声処理など)を研究したいと強く感じました.

・大学での特待奨学金が取れませんでした(私大は競争が激しい).

・国公立大学は研究力が(早慶以外の)私大に比べて高く,学費が安いことは既知であり,滋賀県大では1つの学科で電気電子と情報が学べ,産学連携も含めて幅広く研究ができます(電気電子と情報はそれぞれ別学科 or 1つの学科でコース分けしていることが多いです).

・私大なので単純に学費を抑えたい(お金は大事).

・妥協せずに合格することで自己実現を達成し,自分に自信をつけたかった(今までの人生で成功体験が少なかったため)

・もし学部卒で就活したとき,ロボコンのことをアピールする以前に学歴で出鼻を挫かれるのではないか?と懸念しました.(小学校時代の友人にはこの大学をバカにされ,悔しい思いも募っていました)

そこで,編入の勉強や情報収集を始めたのは1年の後期ぐらい(9~10月)からでした.編入予備校には行かず(行けず),ほぼ独学でした.

併願校

・大阪府立大学工学域電気電子系学類電気電子システム工学課程

・京都工芸繊維大学工芸科学部設計工学域電子システム工学課程

…どちらも落ちてましたw(試験慣れ用のため想定内です)

過去問

・郵送:大阪府大はこれ

・大学HPのPDF:京都工芸繊維はこれ

・現地に見に行って写真を撮る(著作権的にあれですが):滋賀県大までお金を掛けて,見に行きました(過去問を約10年分記録した).

試験について

・試験は7月上旬(ロボコンの大会前でかなり忙しかったです)

・TOEICスコア提出(575点)→もう少し取れたらと後悔しています.

・総合問題(数学,専門) :120分

※2019年度から数学と専門に分けられていた問題が総合問題となったそうです(同じ試験時間)

・試験は私1人で,化学系学科の人も受験者は1人だけですが,彼も合格していました.編入生イベントが無かったため,彼とは入学後しばらく経ってから話せるようになりました.

総合問題の内訳

数学:微積の極値と広義積分,行列の対角化

電磁気:アンペアの周回積分と点電荷の電位

電気電子回路:キルヒホッフの法則,交流ブリッジ,オペアンプ回路

情報基礎:進数変換(10進,2進,16進),ド・モルガンの法則,カルノー図による簡単化,C言語により書かれたプログラム(関数による再帰アルゴリズム)の説明

面接(面接官は3人):学科の志望動機,好きな科目,試験の手応え,就職したい業界,院進するか否か

特に個人的に聞かれたことは次の2つです.

・通えるか否か(実家からはかなり遠方のため)

・提出した成績証明書で1つだけあったD(=可)の科目(しかも試験内容にある)

使った参考書:英語(TOEIC)

金フレなど特急シリーズ.パート3,4が苦手だったので集中的に勉強しました.

使った参考書:数学

(定番である)編入数学徹底研究,編入数学徹底演習

使った参考書:物理および専門科目

物理;大学1・2年生のためのすぐわかる物理/演習物理,基礎物理学演習

専門:大学の授業のレジュメやノートなどが中心ですが,個人的に良いと感じた参考書を一部紹介します.

電気回路:電気回路教本,単位が取れる電気回路ノート

電子回路:アナログ電子回路の基礎

電磁気:単位が取れる電磁気学ノート

情報基礎:コンピュータアーキテクチャの基礎,明快入門C スーパービギナー編

合格後〜退学

編入先に合うように後期の時間割を組み直し,編入するまでに取りたい科目を入れました(認定の有無に関わらず)

・ロボコンの活動も残っていたので,それも完遂しました(大会,引き継ぎ,後輩の教育,学祭の準備,ロボットへの技術開発etc...)

・大学1年の時からアルバイトをしていた飲食店が合格後2ヶ月後に閉店し,次のアルバイトが始まるまでに2ヶ月間のブランクができました.

→部屋の模様替えなどや掃除をしました.

・成人式やその夜の同窓会で編入のことを言うと「なにそれ?」となって理解してもらえませんでした.(地元は大学に進学しない人も多かったので仕方がないが)

・退学の際は学科の教員と研究室で個人面談して了承を得なければならず,受付が始まるのが後期のテスト直前でスケジュールの調整が面倒でした.

編入後の単位認定

104→74単位!!!
(まあまあ認定された方かと?)

・実験も認定されました(内容は少し違う)

・編入前の大学では2つにまたがる科目だったが,編入先では1つの科目に相当するため単位が半減したものもありました.

例)電気回路Ⅰ,Ⅱで4単位→電気回路で2単位

・なぜか般教の心理学(臨床系ではなく認知系)が認定されませんでした.

・そのほか置き換えられない選択科目も認定できませんでした.

・GPAや評定(A,B,C,D,F)は計算方法が異なるため,引き継ぎなし.

・第二外国語,アルゴリズムとデータ構造,確率統計が前の大学と違い必修に.

→3年では他の必修の授業と被り,4年まで必修が残ってしまいました…(卒研の合間に授業を受けて無事卒業しました)編入前に同じ科目を履修しようとしましたが,CAP制による履修制限が掛かり,見送りに(「アルゴリズムとデータ構造」は編入前の大学では廃講

編入〜卒業

・学科の人数が半減したため,学科の殆どの人の顔と名前は覚えることができましたが,やはり編入学のため人間関係の構築には大変苦労しました…

・評定がA,B,C,D,F→秀,優,良,可,不可と変わり,なぜか不慣れでした.

・通学時間が著しく長くなり,心身ともに毎日が大変辛かったです.下宿することも考えましたが,親に反対されたりお金が無かったりしたので断念しました.

・ちょうど3年の夏休み頃にLINEのオープンチャットがスタートしたので、全国の編入生のコミュニティとして真っ先に「大学編入生の会」を立ち上げました!

大学生活の半分を編入の勉強とロボコンに費やしたため,かなりの(論理的)思考力がついたと実感しました.就活やインターンのESも充実し,内定も沢山取れました.

・今まではロボコン活動のために行くことが出来なかった技術系の勉強会(ライトニングトーク:LT)にもいくつか参加できました.関西圏の(意識高い系?)学生や現役のエンジニアとの交流には絶好の機会でした.

特にエンジニアは社会人でもあるため,企業の人事が声を大にして言えないドロドロしたウラ事情を聞き出せたりもします(もちろん内緒ですよ)LTの懇親会では一緒に飲みに行ったり,菓子パをしたりと刺激的でした(飲みサーのノリよりも高い心理的安全性

・都心(郊外?)から田舎に移ったので,(私よりは地頭が良いが)大人しくて世間知らずな人が多いと感じました.そのため逆に自分が一層アクティブな人に見えたかもしれません.

せかせかせずにのんびり過ごす

こういう世界もあるのだな,とふと思いました.

そんな中,昨年の3月には4年に進級が確定し希望通り知的信号処理の研究室に配属できました!(GPA的には不利なので嬉しかったです)

この頃までは院進学のつもりでしたが,昨年から流行している新型コロナウイルスの影響により生じた空白期間を活用し,再度自己分析を行いました.

その結果,自身が研究開発に不向きで,技術開発に向いていることが判明したため,急遽就職に切り替えました.

当時の講義や就活は,政府の緊急事態宣言の最中オンラインであったことが奏功し,4月から就活してESや履歴書を作成し,5月にはオンラインでの説明会や面接をこなし,6月にはようやく内定が取れ,なんとか就活を終えました.

その後,7月からは研究も徐々に再開されたので大学の授業や就職内定先からの課題をこなしつつ,対面と在宅(リモート?)で研究を進め,2月には無事卒業論文を提出し,卒業することができました!(1月には再度緊急事態宣言が発出され,4年後期の一部の科目がテストからレポートになり助かりました…)

おわりに

編入試験は大学受験の延長線上にあるので,慢心せずに取り組みましょう.

募集要項

滋賀県立大学工学部3年次編入学募集要項(令和3年度)

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