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佐藤佐吉演劇祭2024 閉幕のご挨拶

2月21日から開催いたしました「佐藤佐吉演劇祭2024」が、3月31日をもって無事、閉幕いたしました。

ご支援、ご協力いただきました皆様、地域の皆様、参加団体の構成員・出演者・スタッフの皆様、そしてご来場いただきましたすべての皆様と、気にかけてくださったすべての皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。

「突破口」を掲げ、多種多様な演目を上演した演劇祭。苦境に立たされている演劇団体をこれから先も支援していくため、そして参加団体や演劇界の新たな道を切り開くために、関係者全員で走り抜けた1ヶ月半。
参加団体それぞれがやりたいことを実現するため邁進し、何かを打ち破ろうと真っ正面から創作にぶつかっていく姿は、実行委員会や王子小劇場、ひいては演劇界にとってかけがえのない財産になったと思っております。

同時に、この演劇祭を「突破口」と呼べるかどうかは、今後の私たち実行委員会と王子小劇場にかかっているのだなと、強く実感しています。あまりお伝えする機会もなかったので、着任の経緯も含めて少し書かせていただければと思います。


実行委員長に着任したのは、王子小劇場の前芸術監督が退任してからしばらく経った10月半ば頃のことです。それまでは王子小劇場芸術監督が実行委員長も兼任するというシステムで運営をしていたので、さて誰を実行委員長に置こうというところから話し合いが始まりました。まさにゼロからのスタートだったわけですが、王子小劇場自体も運営方針を見直そうと動きはじめており、その新しい運営体制を先導する役割をいただいていたこともあって、井上はどうかという声をいただきました。結構迷ったのですが、率直にやってみたいなと思ったし、"今やるべき、私が創作を続ける道はこの先にあるかもしれない"と直感が言っていたので、「やります!」と大見得を切りました。
とはいえ着任当初は、やりますって言っちゃったけど私が実行委員長で大丈夫かしら、演劇祭きちんと運営できるかな、そもそも誰だお前はとか思われたらどうしよう、などなど、不安でいっぱいだったなと思います。それでも、何とか今後の王子小劇場と演劇祭を繋ぎ、活路を見出さなければならないと燃えていました。

「突破口」というテーマも演劇祭参加団体も、私が実行委員長に着任する以前に、実行委員会全体で決めたものです。テーマの意味合いも、最初はもっと挑戦的というか、演劇界や王子小劇場自体に新しい風を吹きこもうという意図が強かったように思います。ただ、実行委員会の形や環境が変わっていく中で、改めてその意義を捉え直すべきだと思い、「突破口」というテーマを見つめ直しました。
いま私たちに必要なものは何だろう。2024年の1年間、そのあと数年、数十年に向けて、必要なものは何なんだろう。
結果、やはり自分が実行委員長として解釈するのであれば、着任した背景も含めて"続けていく"という何よりも長期的で難しい議題に取り組んでみたいという結論に至りました。そうして、参加団体が、私たちが"演劇を続けていくための"「突破口」という意義を新たに掲げ、演劇祭は再スタートしたのです。


閉幕を迎えた今、このテーマに改めて立ち返ってみると、本当に難しい解釈をしたなと思います(笑)。当たり前ですが、演劇祭が終わった翌日は普通に通常業務が始まって、目に見える形で状況が変わることはありませんでしたし、逆にものすごくバズったり成功したからと言って劇場や団体が続くとは限りません。続けるために必要なものは千差万別で、王子小劇場にとっても、ここから続けていくための新しい闘いがはじまります。
何よりも大きな財産をいただいたので、無駄にしないよう、参加団体の皆さんや関係者の皆さん、そしてお客様との縁を大切に。数年後、数十年後に、「あれが突破口だったのだ」とお互いが誇れるような演劇祭に「これから」していくんだと、決意を新たにしています。


長くなりましたが、改めて皆様、本当にありがとうございました。
またご挨拶差し上げますが、私はこれから王子小劇場の劇場プロデューサーとして、劇場を支えてまいります。精一杯尽力いたしますので、ぜひ今後の王子小劇場にもご期待ください。
そして、次回の佐藤佐吉演劇祭もお楽しみに!
劇場でまたお会いしましょう。

先日、後夜祭(出口祭)を開催しました! 関係者の皆様・支援会員、完食チケットご購入の皆様と閉幕を祝いました。
ご参加いただいた皆様も含めまして、関係各位、本当にありがとうございました!!

佐藤佐吉演劇祭実行委員長 井上瑠菜


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