見出し画像

「孤独な人でも観に来れるように。」B子 インタビュー

佐藤佐吉演劇祭実行委員会が、参加団体の魅力を紹介するため稽古中のお忙しい所にインタビューを敢行!第6弾はB子さんにお話を伺いました!

佐藤佐吉演劇祭2024参加団体インタビュー
ゲスト:B子
聞き手:内田倭史・前田隆成(佐藤佐吉演劇祭実行委員会)

頭空っぽで楽しめるチラシがいいな

内田:自己紹介をお願いします!
B子:B子という名前でひとりで活動しています。劇場でやらせてもらうのは初めてなので緊張してます。お願いします。
内田:B子さんのことは、折り込みに入っていたチラシがすごく素敵で印象に残っていました。
B子:結構いつも直前に慌てて作っています。
内田:もともと絵を描いたりするのはお好きなんですか?
B子:いや…そんなでもないです。チラシをつくるために勉強しました。引きこもってて暇だったので(笑)。
内田:イラストだったり、ナンプレが載っていたり、一般的な演劇のチラシとはだいぶ違いますよね?
B子:劇団を作ろうとしてうまくいかなかったことがあるので、集団で創作してらっしゃる方への劣等感があり、最初の方はチラシを見るのがものすごく辛かったので、そういうのを忘れて頭空っぽで楽しめるチラシがいいなと思って。孤独な人とかに寄り添いたいなって思って作っています。
内田:とくに2022年の「雨降る夜の京王井の頭線ランWS」のチラシが好きです。
B子:団体を作りたくて、でもコミュニケーションが苦手だから、走ったりしたほうが仲良くなれるかな、と思ってそういうワークショップをやりました。

「雨降る夜の京王井の頭線ランWS」チラシ

内田:普段はどういう風に創作をしていますか?
B子:今はまだ結構いろんな作風を試しています。劇研(早稲田大学演劇研究会)で学んだエチュードを鏡に向かって一人でやったりしています。
内田:劇研に入る前から演劇はされてたんですか?
B子:いや、演劇は劇研に入ってから始めました。祖父が新劇をやっていて、父はナンセンス系の劇団をやっているのもあって、演劇を観るのはちっちゃい頃から好きでした。
内田:お父さんも作家さんなんですね!
B子:はい。それで私も書いてみたら面白いかも、と思って。子供の頃好きだったのは大人計画さんとか少年王者館さんとかですね。すごく好きだったので、今でも迷った時に思い出したりしてます。
内田:創作をするなかで大切にしてることはありますか?
B子: なるべく溜めないようにしていますね。やりたいことができた時に、先に誰かにやられるのが怖くて(笑)。だから、すぐやっちゃおう!みたいな感じで、忙しくなって大変になっちゃうことがあります。

稽古風景

一人ぐらい、自分みたいに一人でやってる人がいてもいいかなと思っています。孤独な人でも観に来れるように。

内田:創作のなかで困った時、突破口をどう開けていますか?
B子:声を出していますね。一人でずっといると、自分がどんどん勝手に話し始めるんですよ。なんかリーダーみたいな人が降りてきて、「ちゃんと時間見て!」みたいな感じで仕切ってくれて、そのリーダー的な人がいろいろ決めてくれます。だから困ったら、声に出して喋ってみたらいいのかなって思います。
前田:僕も一人芝居をよくやっているんですけど、稽古してると何人か出てきますよね、自分の中から。
B子:この演劇祭に誘っていただいて、最初はつらかったかもしれないです。今まで活躍されてるのは知ってたけど、羨ましすぎて直視できない団体の方達がいっぱいいて、鉢合わせちゃった、みたいに思っていたので。でも、実際に公演期間がはじまって、公演を観に行ったりすると、集団でやっている人たちもそれはそれで大変そうだし、必死にやっていて、同じなんだなあと思って。元気をもらえました。参加してよかったなって思っています。集団でやっていくのはもう諦めてます。そういうのを観るのが辛かった時期があるので、今は、一人ぐらい、自分みたいに一人でやってる人がいてもいいかなと思っています。孤独な人でも観に来れるように。

稽古風景

内田:演劇をやっていて一番好きな瞬間って今どんな瞬間ですか?
B子:自分の書いた戯曲を読み返して、面白かったら嬉しいですね。私には団体をまとめるとかはできないけど、書くことはできるから、将来的には誰かに脚本を提供して上演してもらえたらなって思っています。
内田:じゃあ劇作家B子の見本市って感じですね!
B子:はい!観てくれた人に自由に好き勝手やってほしいなって思います。

内田:今回上演する作品について教えてもらえますか?
B子:4 つあるんですけど、 1 個目の「精神明晰サバナに没す」は自分の自己紹介みたいな感じです。自分の中にある手つかずの自然、みたいなもの、そういうのが、これからもずっと揺るがないから、安心してほしいなって思って書きました。

「さんぽハイ」は、自分のことは全然関係なくて、人類のこととか、 生物学とかいろんな、なんかものすごい時間をかけて、とんでもないものが出来上がって、っていうのを作品にしました。みんなで自由に楽しんで考えてみてほしいです。

「日めくりカレンダーAタイプ読み聞かせ」、「日めくりカレンダーBタイプ読み聞かせ」は、自分があんまりしゃべるのとかが上手じゃなくて、でもしゃべれなくても、なんかカレンダーにはすごく現れてる感じがして、それを元に、みんなと雑談するような気分です。

内田:今回は1日で12ステージ上演する、ということですが…!
B子12ステやらせていただけるの、すごい嬉しいです。なんか昔から思ってたんですよね。劇場を借りるにはお金がかかるから、せっかくやるなら沢山やった方がいいって。でも親から「劇場の方っていうのはすごい怖くて、ハラスメントとかもある」って聞いていて、私みたいなコミュニケーションが苦手な人間は絶対へし折られてると思ってたんですけど、王子小劇場の方と話していると、私の欠けているところとかも否定せずに面白がってくれて、のびのびやらせてもらえるなと感じました。
なので、勇気を出して「12ステやりたいんですけど…」って言ってみました。ちょっとびっくりはされたんですけど、やっていいってことになって、嬉しいです。いい時代だなって思います。
前田:たしかに。王子小劇場はステージ数で料金が変わらないから、いっぱいやった方がいいですもんね!
B子:好きな時に来て観てほしいなって思います。
内田:ありがとうございました!

「精神明晰サバナに没す」「さんぽハイ」「日めくりカレンダーAタイプ読み聞かせ」「日めくりカレンダーBタイプ読み聞かせ」チラシ

いまだ多くの謎に包まれているB子さん。一人芝居を4作品×3で12ステージと、聞いたことがないタイムスケジュールからも彼女の底知れなさが伺えます。彼女のことを知りたいなら、今回が絶好のチャンスです!3/11(月)は王子小劇場へ!

B子
B子(びーこ)は定期的に1人芝居を開催する女。携帯が常に通信制限のためSNSをやっておらず、現在非常にミステリアスな存在となってしまっている。お客様からは、「心配」「諸々大丈夫ですか?」「ちゃんと食べてちゃんと寝て下さい」等お気遣いのコメントを多数頂いている。また、このペーパーレスの時代に謎のチラシ、謎の新聞や謎の雑誌の発行など紙媒体にじられない程の熱量を注いでいる。今回作品を上演する王子小劇場には、二〇歳の頃に同劇場の戯曲ワークショップにてお世話になり、やみ・あがりシアター主宰であり同劇場職員でもある笠浦静花さんからは、「何か...死にそうになったら王子小劇場を頼って下さいね...?」という激励配慮コメントを頂いた。劇団設立失敗の経験多数有り。ドンキホーテで土下座した経験有り。体育祭に体育着を持って行かなかった経験有り。幼少期に合唱を10年やっていたにも関わらず歌声がガスガスである。

佐藤佐吉演劇祭2024参加作品
B子「精神明晰サバナに没す」「さんぽハイ」「日めくりカレンダーAタイプ読み聞かせ」「日めくりカレンダーBタイプ読み聞かせ」
〇会場:王子小劇場
〇作・演出・出演:B子
〇詳細はこちら
https://bko-hp.jimdofree.com/ (団体HP)
https://en-geki.com/sakichisai2024/bko.html (演劇祭特設サイト)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?