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性犯罪の法廷に走る傍聴人はいても、児童ポルノの法廷に走る傍聴人はいない 傍聴小景 #100(強制性交等、児童買春)

100件目の裁判事例の紹介のようでございます。
読者様がいていただけるおかげで、ここまで続けることができました。本当にありがとうございます。

100件目ということで今回の記事、どれにしようかなと思ったのですが、最近動画にしても、ちょっとハートウォーミングなものが多いと言われたので、胸糞系といいましょうか、被告人へ同情を向けるのがなかなか難儀な話をセレクトしました。

僕なりのクリスマスプレゼントです。


はじめに ~性犯罪は男性の好奇の目にさらされる?~

罪名 :強制性交等
    児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
被告人:30代の男性
傍聴席:平均14人(全5回)

被告人は僕の一つ下の男性。黙っていれば、普通にもてそうな感じなのに、性犯罪、しかも児童ポルノ系で捕まってしまうだなんて。

定期的に性犯罪の裁判は、男性傍聴人がダッシュで法廷へ走るといった、男性の好奇の目に晒される的な話題があがります。それについては、私は肯定もせず、否定もせずといった感じです。ただし、児童ポルノってなると、性犯罪の中でも少し男性の関心は大人しめな感じはします。

やはり被害児童の将来を考えたり、そういった事件の酷さを聞きたくないという思いがあるのでしょうか。さすがに児童ポルノ系の法廷に走っている人がいたら、それはもう予備群と言っていい気すらします。


事件の概要(起訴状の要約)

被告人は12歳の女児と知り合い
①ホテルや被告人宅で、複数回性交等を行った
②①の様子などをスマートフォンにて撮影し、合計53本の児童ポルノファイルを作成した
③②の動画をもとにした児童ポルノ静止画を21点知人にLINEにて送信した

起訴されている性行為に至ったとされているのは4日程。いずれも撮影しています。そしてそれらが1ヶ月以内に連続していることからも、発覚していなかったらどうなっていたことか。
また知人に送信ってのもヤバいですね。自慢なのか、なんなのかわかりませんが。そういえば、児童ポルノって所持もアウトだと思うのですが、この送られた人がなにかしらの刑事罰に問われたのかは、この裁判ではわかりませんでした。


採用された証拠類 ~前科が懲役7年?~

検察官証拠
被害者のことは家電量販店見かけて可愛いと思い、インスタグラムのアカウントを教えてもらう。小中学生に性的な興味があると、自分の性癖は認識しており、一時期はクリニックにも通っていた。

LINEで画像を送った人物はネット上で知り合った人物で、自分も画像を送ってもらったりもしていた。「12歳の子をナンパした」などのやりとりもしており、送った相手もその画像が児童ポルノに該当するものと認識していた。

20代のときに前科が1犯ある。計10名に対する強制わいせつの罪で、懲役7年の実刑を受けていた。

強制わいせつで懲役7年って相当です。10名への犯行ということで、それも納得ではありますが。その期間の矯正教育は被告人の性癖の更生には至らなかったようです。
というか、その7年をどう過ごしていたのかも気になります。そもそも受刑者の自己の性処理事情って知らないです。ココリコの遠藤氏が、野球部の厳しい寮生活の中で、スポーツ雑誌に掲載されていた大石大二郎選手の鍛えられた太ももを見て、悶々と想像を働かせて、いたしたということは聞いたことがありますが、受刑者の方はどうされているのでしょうか。

出所後、クリニックには行っていたようですが、「一時期は」と言っているので、継続しなかったのでしょうね。

本人の自業自得といえばそうなのですが、多くは仕事を解雇され、周囲から冷たい視線を浴びせさせられるのに、決して安くないであろうクリニックに通い続けることも求められるって、なかなか厳しいかなとは一応は思うのです。とは言え、当然お医者さんも慈善事業やっているわけでないですし。

そういうことからも、多くの場合、初犯であれば罰金や執行猶予など立ち直りのチャンスが与えられますが、それは法律上の話であって、実際問題の立ち直りのための信頼回復やかかるコストなどを考えると、当然ながら一度も道を外さないという強い意志が必要なわけで。


弁護人からは3点の証拠の請求がありましたが、1点は検察官が意見を留保しました。
事件発覚後に通院している医師の意見書のようなのですが、「今回の事件に関わるLINEのやり取りを知っててこの意見なのか」など憤りを見せていました。すごく楽観的な意見でも述べたのでしょうか。それならそれで僕にだけこっそり見せてくれないものか。
最終的に採用はされませんでした。

採用されたのは、被告人が書いた反省文2通でした。


被告人質問 ~検察官の怒涛の質問ラッシュ~

2度目の公判からは保釈されている被告人。法廷外ではどうかは知りませんが、法廷の中で静かに下を向いている時間が長く、喋っても小声が多く聞いてる側も困ります。傍聴席が聞こえないだけならいいですが、裁判官も何度か聞き返すほどでした。

なんとか証言台のマイクの音量の上げ下げが柔軟にできるようになることを願います。文字では小声が伝わらないのがもどかしいですが、皆さんの脳内で小声でボソボソ喋っている風に変換してください。

そんな被告人質問です。

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