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土地の人のにおい/北軽井沢と谷川俊太郎ー写真と詩展ー&谷川俊太郎の詩を歌う

詩人・谷川俊太郎さんは、幼少期の夏の間、群馬県長野原町北軽井沢の別荘で過ごした。物心つき、詩人となってからもその別荘に滞在し、第一詩集「二十億光年の孤独」に続く詩集「62のソネット」は北軽井沢で綴った詩集だという。けれど谷川さんと北軽井沢が親密な関係にあるということは、まだそれほど知られていないのではないかと思う。

1963年、谷川さんは北軽井沢小学校の校歌を作詞した(作曲は、当時谷川さんと共に他の学校含め校歌を作っていた寺島尚彦さん)。今年、学校合併が行われたが、「浅間っ子」という歌詞が特徴的なその校歌は、合併後の浅間小学校の校歌として引き継がれた。そして、2023年開校の長野原中学校の校歌は、谷川俊太郎さん作詞、作曲を谷川さんの息子であり音楽家として活躍する谷川賢作さんのタッグで作られた。つまり、長野原町の子どものまわりは昔も今も、谷川さんの言葉で包まれているのだ。

長野原町の企画として、本日から北軽井沢ミュージックホールで【北軽井沢と谷川俊太郎ー写真と詩展ー】(入場無料/~5/6まで)、5/2には長野原町の子どもが集まり、賢作さん、声楽家の寺島夕紗子さん(寺島尚彦さんの娘さん)と共に校歌を歌うイベント(こちらは関係者のみ)、5/3には北軽井沢ミュージックホールで【谷川俊太郎の詩を歌う Diva ミュージックライブ】(入場無料)が開催される。

「写真と詩展」で展示され、「校歌イベント」で放映するインタビュー映像を担当させていただいた。その内容はズバリ「谷川俊太郎さんからのメッセージを伝える」というものだ。このイベントに関わっている絵本・さし絵作家の廣瀬弦さん、きたもっくの日月悠太くんと共に東京の谷川さんの御自宅を訪ねた。普段ほとんど詩を読まない僕とて、谷川さんの詩のいくつかは身近なものとしてある。緊張もしたが、谷川さんの温和なキャラクターもあり、終始リラックスした取材となった。2月の寒い時期であったが、庭に射すひだまりが暖かそうな良い日だった。

北軽井沢での想いでや校歌作詞に関するインタビューの内容については、ぜひミュージックホールで見ていただきたいと思うのだが、1つだけ。谷川さんがふとされた「北軽井沢の土地の人は、東京の人にはないにおいがした」という話がとても印象に残っている。北軽井沢は、長い歴史を持つ大地というよりは、浅間の噴火によりその都度そこに生きる人々が立て直しを行ってきた厳しい大地である。谷川さんが過ごされた幼少期は、今よりも、大地と向き合っていた人が多かったのではないかと思う。それを、におい、という一言で言い現わす谷川さんに、詩人性を感じたと言ったら言い過ぎだろうか。

これは映像上ではカットしてあるが、谷川さんはその話をした後、僕らを見まわして「(土地のにおいがするやつは)この中にはいないなぁー」と付け足した。皆、思わず笑ってしまった。このイベントに合わせ、ミュージックホールの駐車場となる近隣のグランドには大きな詩の黒板も誕生したらしい(僕はまだ見ていない)。5/3(金)のライブにはぜひとも足を運んでいただきたい。

追記:5/3のライブでは、北軽井沢在住の写真家・田淵三菜さん撮影による北軽井沢の四季を写した写真が音楽と共に楽しめる仕掛けを作りました。こちらもお楽しみに。

【北軽井沢と谷川俊太郎‐写真と詩 展‐】
開催日 令和6年4月27日(土)~5月6日(月祝)
会 場 北軽井沢ミュージックホール
開 館 10:00~16:00
入場料 無料

【谷川俊太郎の詩を歌う Diva ミュージックライブ】
開催日 令和6年5月3日(金祝)
会 場 北軽井沢ミュージックホール
演 奏 14:00(開場は13:30~)
入場料 無料

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