岡安 賢一

(合)岡安映像デザイン代表。群馬県中之条町を拠点に映像やデザインをしています。日本映画…

岡安 賢一

(合)岡安映像デザイン代表。群馬県中之条町を拠点に映像やデザインをしています。日本映画学校15期。伊参スタジオ映画祭実行委員長。

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岡安映像デザインの仕事

合同会社岡安映像デザイン代表の岡安賢一です。群馬県中之条町に生まれ育ち、日本映画学校15期映像ジャーナルゼミ卒。映像・デザイン・文章を仕事としています。仕事をする上で大切に思うことをここに書きます。 1)内的必然性を共に探す、表現する 人や物事の内には、直観的に感動ができること、他では替えが効かないこと、つまりは内的必然性がある。それを共に探し、人の目に触れられるようにすることが、岡安映像デザインの仕事である。 2)映像・デザイン・文章を一貫して用いる 映像はその場の

    • 土地の人のにおい/北軽井沢と谷川俊太郎ー写真と詩展ー&谷川俊太郎の詩を歌う

      詩人・谷川俊太郎さんは、幼少期の夏の間、群馬県長野原町北軽井沢の別荘で過ごした。物心つき、詩人となってからもその別荘に滞在し、第一詩集「二十億光年の孤独」に続く詩集「62のソネット」は北軽井沢で綴った詩集だという。けれど谷川さんと北軽井沢が親密な関係にあるということは、まだそれほど知られていないのではないかと思う。 1963年、谷川さんは北軽井沢小学校の校歌を作詞した(作曲は、当時谷川さんと共に他の学校含め校歌を作っていた寺島尚彦さん)。今年、学校合併が行われたが、「浅間っ

      • あなたが見慣れたものは、誰かの新しいもの/GWマルシェ&ガレージセール in Serenite

        たった1件のカフェが、その土地の人の流れを変えることがある。群馬県東吾妻町の山間にある「Serenite」がそうである、ということを、もう言ってよいように思う。 店主の安田恵久さんとは、彼女が前橋で「Mom's cake」という店をやっていた時には接点がなかったのだが、何かの縁か「Serenite」をはじめるというタイミングで知り合い、店のリーフレットを作ったり、高崎まで一緒にビール調査に出たり、今年のGWに行われるイベントのフライヤーを作ったりと、半仕事のお付き合いをさせ

        • 山里とふれあうことは、未来とふれあうこと。/なかのじょう山里テーマパーク

          群馬県中之条町にはまだ、イナゴが飛び交う田んぼがある。「イナゴンピック」当日、田んぼには町外からの参加者も含む子どもたちと大人でいっぱいになる。笛の合図とともにイナゴ取りを開始。わしわしと畔を歩けばぴょんぴょんとイナゴは飛ぶので見つけはできるのだが、つまんで取るには技術がいる。逃げられて、ブーンと飛んでいくイナゴ。制限時間内に手にもったビニール袋いっぱいにイナゴを集める猛者もいる。また別競技では、開始位置に選りすぐりのイナゴをピットインさせ、その飛距離を競う競技も行われる。昔

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          優れた農家も、ワイルドである/スギちゃんの群馬りんご旅・うめ旅

          自分の仕事の種類としては珍しく、有名な方にレポーターになってもらい群馬の名産を巡る映像を、2年に渡り制作した。群馬県の農畜産物プロモーションの一環で、情報発信をTOKYO FMが担う。群馬での撮影ということでTOKYO FMの大畠順子さんに声かけしていいただき、僕が演出・編集を行い、撮影と録音は普段は映画制作をしている角洋介くん、渡邉玲さんに声かけをした。 昨年は、インフルエンサーである高山都さんをレポーターに、群馬の特産である「やよいひめ(いちご)」「ギンヒカリ(ニジマス

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          もつけとして生きられるか、否か/2024年1月、青森。

          仕事も心も体も落ち着いていない1月半ば、青森を旅した。きっかけは、福嶋悠貴さんが親しくしている青森在住の木版画家・ふるさかはるかさんに会いに行くというので同行したというもの。ふるさかさんだけではなく、ふるさかさんが昨年出版した素晴らしい書籍「ことづての声/ソマの舟」(信陽堂)にも登場する山中泰彦さんにお会いするということも大きな目的だった。山中さんはたぶん自他共に認める“もつけ(津軽弁で、熱中する人の意)”であったのだが・・その話はもう少し後に。 比較的暖冬続く高崎駅を出て

          もつけとして生きられるか、否か/2024年1月、青森。

          富士山・・親しみの距離とサイズ/これは富士山である:登拝篇・遥拝篇

          日本画家を中心とし結成され、絵を描くことに縛られず美術に関するアクションを行っているパラレルモダンワークショップ(以下P.M.W.)。2021年には上野公園にて参加作家が各々にアクションを起こす(絵を描く作家もいれば、歌を詠む日本画家(!)や野球をするグループ(!)もいた)「たえて日本画のなかりせば:上野恩賜公園篇」を開催。主要メンバーである小金沢智さん(東北芸術工科大学専任講師)に声掛けいただき、僕はその様子を映画作家の仲間たち(國友勇吾さん、笹谷遼平さん、島田隆一くん)と

          富士山・・親しみの距離とサイズ/これは富士山である:登拝篇・遥拝篇

          4年後を、20年後を視野に入れる/広瀬智央 みかんの旅&タイムカプセルプロジェクト

          2024年の美術館初めは、長野県立美術館へ行った。北軽井沢へ通うようになってから群馬のお隣の長野県が身近になったということもあるし、何よりアーツ前橋の仕事で知り合った廣瀬智央さんの展示を今見てみたい気分だった(アーツ前橋の床一面がレモンの黄色で埋め尽くされた「地球はレモンのように青い」展を覚えている人は多いだろう)。 長野県立美術館は、初めての訪問だったがぴかぴかしていた。3年前にリニューアルされた建物は窓が大きく直線的で、常設作品の「霧の彫刻」は残念ながらメンテナンス中だ

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          ただいまぁ!いさまぁ!/第22回伊参スタジオ映画祭

          明日明後日、11/18(土)19(日)に、群馬県中之条町で「第22回伊参スタジオ映画祭」が開催される。1996年に伊参スタジオ(当時は廃校)を拠点に作られた映画『眠る男』(小栗康平監督)、『月とキャベツ』(篠原哲雄監督)を発端に始まった映画祭も22回開催という息の長い映画祭になった。近年はコロナ禍に対応するため町内の文化ホールでの開催が続いたが、今年<4年ぶりに>映画祭の原点である伊参スタジオでの開催となる。 2001年に開催された年はまだ日本映画学校の学生でいち観客に過ぎ

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          喰む(はむ)/秋、酒蔵にて2023

          今年も中之条町・旧廣盛酒造にて、県内モノづくり作家と料理人たちの共演「秋、酒蔵にて」が始まった(11/5まで)。今年もポスターやフライヤーのデザインを担当し、蔵一階の片隅では僕も六箇山工房の佐藤遥果さんの花器とコラボした映像を放映させていただいている。 「秋、酒蔵にて」通称アキサカは、2009年の開始以降、沼田の吉澤指物店の吉澤良一氏を代表にモノづくりたちが「ただ物を作って終わり、あとは問屋や店やお客さんにゆだねる」という受け身から攻めに転じ「作る人と使う人、まずは直接顔の

          喰む(はむ)/秋、酒蔵にて2023

          熱は、人生は、文化は伝わるか?/Serenite文化村

          群馬県東吾妻町岩島地区。渋川インターチェンジを降りて草津温泉に向かう途中、吾妻渓谷の少し手前のこの地域は、田畑が広がり、吾妻川の向こうには山の稜線が長く続く。そんな山の中にぽつんとある「Serenite」は、オープンからわずか2年半で、遠方の人までもがわざわざ足を運ぶ、支持される場所となった。 通常は、玄米プレートやサンドイッチ、コーヒーなどをいただくお店。不定期で様々なものづくり作家、アーティストによる展示会も行ってきた。近くにある浅間酒造にて価値ある出店者たちを集め多く

          熱は、人生は、文化は伝わるか?/Serenite文化村

          深呼吸をするには、それに適した村がある/ミニガイドbook「たからのやまたかやま」

          結構前の発行になりますが、中之条町のお隣、群馬県高山村のミニガイドbook「たからのやまたかやま」がリニューアルしました。僕は取材とデザインを担当しています(ディレクションは高山村で移住定住コーディネーターも務める飯塚咲季さん、写真は高山村を拠点とするフォトグラファーの丸山えりさん、イラストは高山村で暮らしたこともある根井美智さん)。 以前発行されたものが好評だったようで、在庫がなくなり増刷。であればせっかくだから更新しようと、以前の発行以後にオープンした「たかやま未来セン

          深呼吸をするには、それに適した村がある/ミニガイドbook「たからのやまたかやま」

          アートはすでに、ここにある/中之条ビエンナーレ2023

          国際芸術祭「中之条ビエンナーレ2023」が本日からスタートした。中之条町は僕が生まれ育った町であり、中之条ビエンナーレは2007年の第一回開始時に飛び込みで「もちろんボランティアで良いので映像記録させてください」と関わりを始めた長い付き合いのイベントである(当時は映像を仕事にできていなかった。後にアーツ前橋や太田市美術館・図書館の映像記録というアートに関わる仕事をするようになったのは、やはり中之条ビエンナーレがあったからだと思う)。 ビエンナーレは回ごとにテーマが定められて

          アートはすでに、ここにある/中之条ビエンナーレ2023

          人生は山をも背景とし、山の民は山に焦がれ続ける/『帰れない山』(フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、 シャルロッテ・ファンデルメールシュ)

          昨年、パオロ・コニェッティ著「帰れない山」を、浅間山の麓の北軽井沢で暮らす人から借りた。世界的なベストセラーになったというイタリアのその小説が彼女にとってとても大切なものだということは借りた時点でわかったが、読み進めるごとに、町で生まれ山に焦がれたピエトロと、山に生まれ山で生ききったブルーノの子ども時代から別れに至るまでの物語に魅了された。磨かれた文章は森の香りや川の瑞々しさ、人知及ばぬ山の慈悲無慈悲を書いており、個人的にはそれが過去噴火を繰り返し活火山との暮らしが日常となっ

          人生は山をも背景とし、山の民は山に焦がれ続ける/『帰れない山』(フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、 シャルロッテ・ファンデルメールシュ)

          どんづまりにだけ、文化は残る/中之条町「フクロコウジ」

          四万温泉を保有する群馬県中之条町のはしっこ、市城地区に「フクロコウジ」という妙ちくりんな名前をもった旅と本と人との接点を提唱する小さな店が出来る(2023年7/1オープン)。店のロゴは町在住のアーティスト・clemomoが担当。僕はショップカードや名刺のレイアウトを担当させていただいた。 敷地として、手工芸や雑貨の店「うた種」と併設した形となる。うた種店主の曽根原さんと、フクロコウジ店主の原沢さんはご夫婦。中之条町である程度暮らす人であれば、その顔が浮かぶ人もいるはずだ。

          どんづまりにだけ、文化は残る/中之条町「フクロコウジ」

          貼り合わされる穏やかさは、暮らしに寄り添う/前橋文学館『ちぎらまりこのはりえぐらし』

          6/17(土)より、前橋文学館で前橋在住の作家・ちぎらまりこさんによる展示「ちぎらまりこのはりえぐらし」が開催される。その会場に流れる貼り絵の制作映像を担当した。 ちぎらさんはchaiさんという名も持ち、かわいすぎない動物や親しみのある人物などの彼女の貼り絵を見たことがあるという群馬県民は多いのではないかと思う。前橋駅には彼女の貼り絵をマニアッカーズデザインがグラフィカルにデザインした壁画もあり、その壁画には赤城山の裾野に赤城神社や敷島公園、るなぱあくの木馬から朔太郎まで、

          貼り合わされる穏やかさは、暮らしに寄り添う/前橋文学館『ちぎらまりこのはりえぐらし』