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「あれはそういうことだったのか」と思い返して、今の自分を肯定してほしいのです:新刊『政治学者、PTA会長になる』(毎日新聞出版)

 先週末の新刊発売記念トークイベントにも、たくさんの「元PTA役員でした」といった経験者のみなさんが、対面、ズーム問わずたくさんお越しくださいました。

 トークをやった登壇者のお二人も各々の形でPTA(的なるものも含めて)の経験者で、かつどこかで「挫折」や「もやもや」や「後悔」と言った、「禍根」なのか「トラウマ」なのか、いずれにせよ「負の感情が心の古層に残っている気がする」という人です。

 この本を知った友人や、友人の友人のみなさんは(とりわけ僕の世代に近いと15年くらい前の経験者)、どこかで「もう過去の話だけど、あれはいったい何だったのかしら?」という気持ちをやはり抱えている方が多いのです。

 そんなみなさんには、僕は「あれはこういうことだったんだと思いますよ」と、僕の経験からサジェストしたつもりなのです。

 この本で。

 人は、モヤモヤしたオリモノのようなものを、あらためて言語化して、一つのフレームや視点で捉え返すことで、過去を再評価できると思うのです。

 「他人(ひと)と過去は変えられない」という、よくビジネス書などに引用される言葉がありますが、僕はそれをこういう風に再解釈しています。

 「過去に起こったことは、”あれは今の自分のこれを準備していたのだ”と解釈することで、変えられるのだ」と。

 「自分は、本当に子供と仲間のことを考えて、懸命にやった。でもそれは批判されたり、跳ね返されたり、きちんと伝わらず、何で?という気持ちだけが残り、自分の至らなさ、ダメさ加減ばかりが残ってしまった。もう思い出したくもない」ではなくて、

 「あの時のモヤモヤは当然のことであって、そしてそれをもたらした事や人も、私をモヤモヤさせようとしてやった事じゃなかったのだ。人間が協力しながら何かをやるときに、どうしても陥りがちの事があるのだ。私が感じたモヤモヤは、私がそれをきちんと認識していたという事だ。そして、その理解は今の生活や人生に必ず良きものとして活きている」と。

 頑張ってきた、ここまで走ってきた、歩んできた道、そして今ここに立っている自分を褒めて、肯定してほしいのです。

 そういうことを望む以上、僕はこの本を「成功ストーリー」などにできるはずもなく、必然的に「間抜けでダメダメな珍道中」として綴るしかなかったのだと思います。

 この本は、PTAのマニュアル本ではありません。

 だから、これからここに近づく人にも、今、渦中にある人にも、そして過去の記憶にある人にも、皆さんに届けたいメッセージなのです。

 引き続き、お友達などにお伝えください。そして、荷物を下ろしてほしいと思います。

 よろしくお願いします。

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