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日々にこぼれ落ちてしまう、惹かれるものの記録1

日常のなかで時々出合う、なんだか無性に惹かれるもの。確かにその感覚はあるのに、あまりに些細なものだから、トイレットペーパーの在庫とか、土曜のランチの店選びとか、そんなことを考えているうちにこぼれていってしまうような、そんなものって、ありませんか。

例えば私は、比較的せっかちで雑なタイプの自分では到底できないような、キチンと畳まれて重ねて置かれた洗濯物が大好き。ホテルに置いてあるバスタオルとかも好きだけど、生活のなかで洗濯機で洗われ、乾かされたお洋服のそれが。

身の回りのものがキレイに整っていると気持ちいい、という感覚はもちろん、なんだか、温度、に近いものを感じる。とにかく畳まれていればいいよね、という“作業”になっていない、豊かさみたいなもの。そしてどこか“母”を感じる。それは多分、自分の母ではなくて、畳み手のお母さん。そんな風にお洋服を畳めるようになった背景には、紅茶の匂いが立つような、いい家庭のイメージが広がるから。

私の母も夫もざっくり畳むタイプなので、これをお目にかかれるのは、なにかしらのお泊りが発生する時になる。友人と旅に出た時など、畳むのが上手な人を見ると、おぉぉ〜、と静かに感心してしまう。だけど本当に1番好きなのは、おばあちゃん家に泊まりに行った時、脱ぎ捨てたパジャマを知らない間におばあちゃんがピシッと畳んで布団の上に置いておいてくれたもの。大抵、朝寝坊しているから、その頃には日も高く、洗濯物は窓からの日差しで温められている。おばあちゃんの、まぁまぁ仕方ないわねって顔と、お洋服を畳む皺のある手ひらが目に浮かぶ。

たまには、おばあちゃんに会いに行こう。いつまでも甘えてないで、お洗濯、手伝わなきゃな。


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