第3話(改定版)「JEROME EUGENE MORROWという名前の意味とは?」 ~『GATTACA(ガタカ)』徹底考察~
そういえば土星へ向かう主人公の名前「Vincent」とは「乗り越える・克服する」という意味よね。
生まれ持ってのハンデキャップを「克服する」というプラスイメージだけでなく、サトゥルヌスの「他者と一体化することでの克服」というマイナスイメージも込められていたんだわ…
実に面白いよね。
この映画は、登場人物の名前を見れば、その役割がわかるようになっている。
まあ名前というのは神話や聖書の時代から、だいたいそういうもんなんだけど。
せっかくだから主要人物の名前について話しておこうか。
その前に…
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まずはジュード・ロウ演じる「適正者:JEROME EUGENE MORROW」から…
めっちゃわかりやすいわ。
「JEROME」は初期キリスト教会における二大中心地「JERUSALEM(エルサレム)」と「ROME(ローマ)」のことやろ。
『スリー・ビルボード』にも「ジェロームさん」は出て来たよね。
意見広告のポスター製造&貼り付け担当の人。
「JEROME」は小説や映画でよく使われる名前だ。
特に聖書が元ネタになっているような物語では特にね。
そして「JEROME」というキャラクターには「聖ジェローム」が投影されることが多い。
『荒野の聖ジェローム』ピントゥリッキオ
誰?
しかも何で上半身裸?
聖ジェロームはこのように「上半身裸」で、しかも「苦悩した顔」で描かれることが多いんだ。
聖ジェロームはローマ帝国でキリスト教が認められた四世紀中頃から五世紀初めにかけて活躍した人物で、ヘブライ語・アラム語・ギリシャ語で書かれていた新旧約聖書をラテン語に翻訳し、キリスト教の普遍化に絶大なる貢献をした。
グーテンベルクの活版印刷で大量生産されたのも聖ジェロームが書いた標準ラテン語版の聖書だったし、なんと20世紀に入るまで聖ジェローム版聖書がカトリックの「公式聖書」とされていたんだ。
人類史上もっとも多くの人に読まれた本の著者ともいえるよね。
ちなみにその聖ジェロームのラテン語聖書を「VULGATA(ウルガタ/ヴルガータ)」と呼ぶ…
ウルガタ?
なんか『ガタカ』っぽい。
「ぽい」じゃなくて、ここから取られたんだと思うよ…
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