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纏っているオーラについて。

 話しかけるなオーラを纏っているよね、とよく言われる。
 それに加えて、飄々としているとも言われたり、感じ悪いと思われてもいると聞いたこともある。

 そこまで自分で意識したことはないのだけれど、確かに自分を他人として想像してみると、決して話しかけやすいタイプではないだろうなと思う。
 特段ニコニコもしていないし、ぼうっともしていない。オープンな雰囲気は微塵も感じさせない(だろう)し、むしろ印象としてはおそらくクローズドに近い。なぜかというと、雑談が苦手、ということがあると思う。

 仕事上、各種動画の撮影などもよくあるのだが、その拘束時間は大抵長い。かといって撮影現場においてはほぼ制作スタッフの方々の出番なので、企画・クライアント側のこちらとしては、正直あまりやることがない(むしろそこでバタバタしているとロクな撮影にならない)。
 やることがないとなると必然、生まれてくるのが雑談タイムだ。気の合うメンバーばかりであればそれも楽しいのだけれど、そうではない現場での雑談がとにかく苦手だ。どこにも着地しないふわふわした笑顔で交わされる会話。くだらない話なら、とことんくだらない話をしたいんだけれど、意味をなさない雑談というのは、もはや苦痛でしかない。となればもちろん、他の仕事をしたり(してるふりをしたり)、ネットをのぞいたり、ふらっと散歩に出かけたりして、その時間を凌ぐことになる。

 以前、女子校のような撮影現場があって、その雑談時のトークの槍玉になったことがあった。雑談テーマは他にもいろいろあった。近況報告やら仕事の愚痴やら、また現場には雑誌なども置いてあるから、その特集記事やファッションスナップから話題が振られることもある。天気や体調の話などは何も話すことがなくなったときによく出てくるテーマだ。

 そして、いよいよ話題がなくなりかけてきたとき、まあおそらくなんでもよかったのだろう、「岡本くん(仮名だが)って話しかけるなオーラあるよね」「わかるー」「もうちょっと開きなよー」「クールだよねー(笑)」エトセトラエトセトラ。大きなお世話である。いやほんとに。
 いま思い出してもゾッとするが、本当にその時間が苦痛でしかなかった。話したければこちらから話している。大して話したくないから話さないのだ。話しても盛り上がれない相手のことは、話す前からなんとなくわかったりするものだ。無駄に40年近く過ごしてきていない。

 こんな感じで、どちらかというと人を寄せ付けないオーラを纏っているらしいので、電車で両隣の席が空いたままのことがよくある。特段脚を広げてるわけでもなく、ガンをつけている(死語?)わけでもない。リュックを前に抱え、本を読んだりスマホを見たりしているだけだ。まああまり隣に座られて触れ合うのも少し気になるしこれはちょっと気楽でありがたいことだと思っている。

 にも関わらず、なのである。
 だいたいの場合、人を寄せ付けないはずなのに、空いているなと思って飲食店や喫茶店などに入ると、その後店が途端に混み出すことが多々ある。というか、ほとんどの場合そうなのだ。基本的に混んでいる場所が苦手なので、だいたい空いている店に着くまで、何軒か当たってみる。が、空いている店に入ると、決まったように店が混雑してしまうのだ。これにはちょっと辟易している。まるで磁石に引き寄せられた砂鉄のように、本当にそうなってしまうのだ。これでは空いている店を探した意味がなくなってしまう。けれども、まあ長いことずっとそんな感じだから、ある程度は慣れてしまったけれど。

 周囲を気にしすぎなのかもしれないけれど、こんな感じで、人を寄せ付けないのか、惹き寄せるのか、自分という人間がいまだによく掴みきれない。自分のことなんかどれほどわかっているか、それもわからないけれど。

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