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全世界が「ダイアモンド・プリンセス」乗船状態に。- 「不要不急」なリスクポジションは閉じる方向に。

 日本でも「緊急事態発動」が現実的になる中、世界中が「ダイアモンド・プリンセス号」に乗船しているかのような事態に陥っている。ここまで来ると、やれ株が上がったとか儲かった、損したとかという事は二の次になってしまう。実際こうなってしまっては「損切丸」でも”マーケットの理屈”で解説する意義を見つけにくい(もちろん損は最小限に留めて欲しいが...)

 銀行のトレーディング・ルームにいた経験から察するに、NYやロンドンなど欧米の主要都市が「ロック・ダウン」(Lock Down、都市封鎖)になった段階で、「不要不急」なリスクポジションは全部閉じるように指示が出ていたはず。そうすると最近の株価の急変動にも合点がいく。

 おそらくNYダウ先物などではショート(売り)のトレーダーが多く、強制的に*ポジション切りを迫られたのだろう。それが「市場最大の上げ幅」につながったと考えるのが合理的だ。大型予算が可決されるのは既定路線だったので、その可決で上がった、というのは多分後講釈。

 株価同様、上下に激しく動いた米国債に比べ、JGB(日本国債)が殆ど動かなかったのも合点がいく。市場の半分近くが日銀に買占められているため、ポジションを取っているトレーダーがあまりいなかったからだ。

 おそらく必要な現金化は株、為替、債券、果ては金やビットコインなどでも済んでいるはずなので、今の市場は「ポジション整理」が主体で動いていると考えられる。この局面、一発儲けようとか、売り買いの理屈を深追いするのは得策とは思えない**先行きが全く不透明な状況で手を出すのはリスクが高すぎる。

 **みんながダイアモンド・プリンセス号に乗船している状態なのだと思えば「あそこにお金が落ちている」と気がついても取りに行くのは危険だ。ウイルスが蔓延しているかもしれないのだから。まずは自分の命を守ることが最優先だろう。

 「損切丸」では、次の「パニック」は従来の「金融危機」ではなく「全市民型」のもの、おそらく「インフレ」「戦争」と想定していたが、ウイルスのパンデミック、しかも全世界レベルのものは考えていなかった。今回のパンデミック「戦争」になぞらえる向きもあるので、当りと言えば当りなのだが... 経験則が働かず戦い方がわからない。

 今回のパニック、起こってみて感じるのは、人類の活動、特に経済活動をこれほど抑え込んでしまうとは...。しかも活動を再開するとまた感染爆発が起こるという厄介さ。毎度、毎度パニックというのは違う顔を見せる物だが、今回は(自戒も込めて)正直恐れ入った。

 「損切丸」も例に漏れず「巣籠り」状態だが、市場が正常化するまで(いつになるかわからないが)まずは「不要不急」なリスクポジションは整理

 「金融危機」にお金(=経済対策)は有効だがウイルスには効かない”マーケットの理屈”で予断を持つのはやめようと思う。

 

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