不自然に強含むウォン+KOSPI(韓国総合株式指数)- 拡大するドルプレミアムとの相関。

 前稿で「食傷気味」とは書いたものの、あまりにも不自然に強含む最近のウォン+KOSPI(韓国総合株式指数)について個人的な見立てを簡単に書いておこうと思う。どうもこの強さ、介入やPKOの類いだけではなさそうだ。

 8月26日投稿の「we'll see what happens with South Korea.」「マイナス金利国債」の謎、更に8月30日投稿の「朴前大統領の判決を破棄し2審に差し戻し」を合わせて考えてみよう。

 一つはっきりとした兆候が出ているのが「ドルプレミアム」だ。マイナス金利の国債の動きを見ると動向が掴める、と書いたが、期間の短い国債の方が如実に状況を表す場合が多い。日本国債2年物の金利推移を見てみよう。

 日韓の葛藤が激しくなった7月以降、マイナス金利が拡大しているのが見て取れる。本来日銀の政策金利、この場合は超過準備預金に課される金利は-0.10%であるから、それ以下のマイナス金利で国債を買うインセンティブはないはず。期間の短い国債ならなおさらである。日銀の口座に現金で置いておいた方が-0.10%のコストで済むのだから当然であろう。それがわずか2か月の間に-0.30%にまで達するのは、紛れもなくドルプレミアムが拡大している証拠だ(説明は「マイナス金利国債」の謎をご参照)。おそらく20BP=0.20%程度は拡大している。

 ではどこにドル資金の調達圧力がかかっているのか? この場合、様々な状況から判断して韓国と考えるのが妥当だ。表面には絶対に出てこないが、お金の関係で相当に圧力がかかっているのは間違いなさそうだ。事実、韓国の金融機関や企業の借入の相当な部分が日本、アメリカからの与信である。更に言えばドル建債券やサムライ債の発行もかなりの額である。

 お気付きの方も多いかと思うが、韓国関連のニュースが例のGSOMIA破棄の後からめっきり減っている(まあ、見ている方が飽きてきていることも事実)。そこへ裁判差し戻しや「タマネギ男」スキャンダル、更に今回のウォン、KOSPIの買い戻し。この一連の流れは一体何を意味するのか?

 お金の貸借りの話は絶対に表沙汰にはならないので裏取りは不可能なのだが、あえて推測でいうと、デフォルトと政権交代の2者択一を迫られているのではないか? 米国からの圧力が強まっている事は想像に難くない。

 市場の動きを素直に読めば政権交代近し、ということになるが...。それともKOREXITを実現してBREXIT級の大嵐を呼ぶのか。どちらにしてもひりひりとした展開である。さて。

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