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新連載第一話のネームでけた。

11月13日


ふう・・・・・・・・・

長い長い時の彼方へ来てしまった。

「げんきの森日記」を描き上げて早くも4か月たっています。

その後もげんきのデータ修正、4か国版データ確認、台風2連発、ほてりとかのぼせとか天井がぐるぐる回る眩暈とか盛りだくさんな夏から秋が過ぎゆく中、ひたすらに新連載のプロット、ネームを作っていました。プロットしながら新世界の土台を固めるための勉強、資料読み込みして、延々と続く右往左往。  詳しいことはまだ申せませんが、歴史もの(というか歴史ファンタジー・・・?)の新連載・・・・

新連載といっていいものか。漫画雑誌で普通に始まる新連載なのかというとちょっと、事情のある新連載なんです。

事情があるので描き貯めなくてはなりません。2月いっぱいの時点で3話は進めなくては。

なのに、1話のネームを描き上げるだけで、4か月・・・・いや、春も初夏も結構こねくり回していたから5カ月近くかかっているっ!!

だが、これが正しいのだ!!

かつて私がまだムチムチぴちぴちしていたころ、月刊プリンセスでお仕事させていただいてました。当時は出版景気も上々で、長期連載が終わると2カ月明けて新連載が始まったものです。

信じられないぜ…。2カ月しか休みがないんだお。

正しくは、「連載完結後1週間は廃人、更に半月かけて社会復帰、やがて狂ったように遊びまわる、そして最終巻の制作(表紙カバー、裏カバーイラスト、自画像、コメント、後書き、おまけページ、加筆修正)などを五日くらいで無理やりこなし、読者さんからのお手紙のお返事を書いたり積読を来る日も来る日も消化したりしてですね、この時点で1カ月くらいシュッと消費されてしまうわけです。

そうなると、残り1カ月しかないんですよ・・・次回作の締め切りまでに!!なんも!考えていないのにっ!

1カ月で新連載の設定、キャラ、そこそこ先までの展開を考えるとか今なら自信をもって言えます、出来ねーよと!!

しかし既に本誌の巻末にはでっかく私の新連載予告が載っている…そしてそれが自宅に届いて、直視した時のすさまじい圧力と言ったら・・・・。

「ヒューマンストーリーの第一人者(誰がだよ)ヤマケイの灼熱のふんちゃらストーリー!!」「○○は○○を目指しナニしてアレされる人生をうんたらかんたら」と私が苦し紛れに半月前編集部に送った予告カットと担当さんとのスカスカ内容の打ち合わせをもとにしたアオリ文句が、唯一出来てるタイトルをばーんと載せて、さも「もう完璧に出来てまーす!先生ノリノリだね!」みたいな勢いでしれっと掲載されているんですよ。

この予告ページを冷静に直視できる作家がどれほどいるであろうか。

なんも、なんも出来てないのに!

短編読み切りならなんとかなるかもしれんが、長編は大変なのです…。

ファンタジーならどうか。世界を1から構成するのは大変に大変です。

学園漫画ならどうか。あふれかえる学園漫画の海から一馬身とびぬけるエッジの利いたキャラを生み出すのが大変です。つか学生時代コミュ障で一日も早く卒業してシャバに出たいと願っていた私的には学園漫画制作など地獄です。

スポーツ漫画ならどうか。たいていスポーツは大人数のチームか、シングルプレイヤー物でも必ず大観衆が背景にいますよね。あれも私が毎回描くんですかね。

歴史漫画ならどうか。 だから、歴史は!!調べないと何一つわかんないからー!

このようにですね、かなりの確率で私は次回作のことなど考えるゆとりもほぼゼロで現連載をこなし、完結させていたので、

「長年これを描こうと温め続けていました」とか「この時代が好きなんです。オタなんです」というような深みもスキルも無いもので、月刊プリンセスのハイスピード連載移行期間は毎回命がけでした。

時が流れてプリンセスGOLDでお仕事を始めることになりましたが、そのころは掲載枠が半年以上ぎっしり埋まっていて、1月に「じゃあ連載ということで」と決定した「戦国美姫伝 花修羅」の掲載は8カ月先でした。この時は本当に助かったなあ。じっくり調べて(それでも全然たりないのですが)取材にも行けて、タイトルも気が済むまで考えて。銀行口座残高は真っ赤な叫びでしたが・・・・。

その後学研の学習書籍やハーレクインコミカライズなども始め、私の仕事も多彩になっていきました。時間の調整も様々に自分で調整していくスキルがついたのは遅ればせながらその頃です。

そして今ここです。

新作が頭にふわあと浮かんだのは今年の1月、寒い朝関門海峡を渡る高速艇「がんりう」から唐戸の船着き場に降りて、整骨院への道をバス停へ向かっていた時です。嬉しくて胸がどきどきして、走り出しそうになったことを覚えています。

プロットも、ネームも進めば進むほど苦しくなるし、実際に何が足りないかどこがどう悪いのかがくっきり容赦なく浮かび上がってくるのですが、それでもそれは、「進んだ証」なので、苦しいけれど決して悪いことではありません。時間をかけすぎると漫画って勢いを失って腐っちゃうんですが、本当に本当に描きたいものはそうはならないと思います。そして、もうこれからは時間がないことに焦って血圧カーッってあげて徹夜漬けになることは年齢的に無理なので、じっくり少しづつ積み上げていく道を選びました。経済的問題ともこの先向き合わねばなりませんが。

もっと早く描き貯めて楽したかったけれど、やがて覚悟を決めて「早く描き貯めること」よりも「最善の、最高の第一話」を描くことのほうが絶対に優先されるべきだと思いなおし、気が済むまでネームを錬成していました。

そしてOKが出ましたので、明日再度打ち合わせの予定です。細部の調整、今後の構成、目的、仕事の進め方など具体的に正直に話し合ってきます。

いや、スカイプ会議なんでこの机から一歩も動かないんですけどね(あっはっは!!)

それから作画に入ります。いい絵が描きたいなあ。

時期が来たら具体的宣伝を始めますね。早くその日が来ますように。


山田圭子。




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