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帰省ラッシュに憧れて。

みんなのフォトギャラリーで気に入った画像から、エッセイを書いてみるテスト。
単純にネタがないので、画像からネタを捻り出すというテスト。

2回目になります。
第1回は下にリンクを貼っておきます。


私の住む地方に住む人は、県外に出たがらない。というか、他の地方に住みたくないのだ。
大学進学で東京や京阪地区に行った知り合いの多くが地元に戻ってくる。
何故なのだ?多分、住み慣れた地方だからなのだろう。

あとは工業が盛んな地方なので、それなりに実入りのいい職場があるというのも一つの要因なのだろう。

御多分に洩れず、私も転居は何度かしているが、同じ県内でウロウロと彷徨っている。

そんな訳で、盆暮正月にテレビでやっている、東京から地方に向かう帰省ラッシュというものに巻き込まれたことは殆ど無い。
けれども、帰省ラッシュというものに憧れはあるのだ。
何故か?それは東京に憧れて、夢破れて叶わなかった経験からなのだと思う。

高校時代、東京の美大に行った姉が「広告批評」という雑誌を数冊残していったのを発見し、何気なく読んでみた。

面白かった。

何が面白かったのかは分からないが、貪り読んだ。どこで買うんだ?と姉に聞くと、ヴィレバンに売ってるから自分で買えと言われ、ヴィレバンで毎月買っていた。
広告批評という雑誌によって、広告という世界に憧れてしまい「東京の美大に行って広告やCMを作る仕事をしたい!」という夢を持ってしまった。

結果だけ言うと、美大専用の予備校に行って周りの圧倒的な画力に打ちのめされるものの、映像学科なら画力は求められないという消極的判断で映像学科を志望し、補欠合格までいったものの、見事に合格通知は送られてこず、夢破れて地元の大学で4年間を過ごした。

今から考えると、高品質なスマホの普及、YouTubeという作品を公開するにはうってつけのサービスが出現して、才能のある素人がローコストで映像を作り、発表できる環境が揃っているので、美大卒じゃなくてもいいじゃないか?と思っている。

美大専用の予備校で言われたことは「広告業界で生き残るのは作品作りの才能も必要だけど、それ以上に美大ではコネ作りの方が重要視されるよ」と言われたのは覚えている。
今にして思えば、そんな世界で生き残れる自信は無いので、美大に進まなくて良かったのかもしれない。

けれども、である。
やはり東京の美大に行って、広告業界の本丸である東京で活躍していたらどうなっていただろう?という疑問は、今でも心の片隅に転がっている。

もしもその世界線が実現していたら、東京発の帰省ラッシュに巻き込まれながら、実家に帰って墓参りをして、また東京に戻るラッシュに巻き込まれていたのだろうか、と考えてしまった。

おそらく今後、東京で生活する可能性は限りなくゼロに近いので、東京発の帰省ラッシュに巻き込まれることはないだろう。
だからこそ、東京発の帰省ラッシュに憧れているのである。

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