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オークランドとワイヘキ島と、ライアンの悲劇

22年前にインターンシッププログラムで9ヶ月だけ暮らしたニュージーランドを10年ぶりに訪ねる旅。今回の旅のはじめはニュープリマスから。常夏から来たオンナには思いのほか寒くて、とりあえず服を買うという事態になったのですが、買ったセーターを着込んで旅の後半はニュープリマスからオークランドに移動しました。

じつははじめてのスカイタワー

今回はオークランドに2泊してからカンボジアに帰ることにしました。3日間でやりたいことは、①スカイタワーにのぼる、②フィッシュマーケットでサクサクのフィッシュ&チップスを食べる、③ワイヘキ島を訪ねる、の3つ。2泊したアパートの窓からスカイタワーがどーんと見えました。タワーから徒歩3分程度のところに宿をとったのは偶然ですが、じつはまだのぼったことがなかったのです。スカイタワーはオークランドのシンボルで、南半球で一番高い建物なんだそうです。バカと煙とおかっぱは高いところが好き。ということでてっぺんまでエレベーターでひゅいっと。幸い晴天で、美しいオークランドの街が一望できました。ぐるっと回って、おしまい。案外あっさりした訪問。やっぱりいい景色を見るのは、ひとりだとすぐに終わっちゃうな、というのと、眺めるならば街ではなく自然がいいな、というのがわたし自身の感想です。経験としては、行っておいてよかったですよ。

カモメとのにらみ合い

次なる目的のフィッシュ&チップス。タワーから降りて、海風に当たりながらハーバー沿いをフィッシュマーケットまでてくてく。さすが風の街オークランド、マーケットに到着するころにはわたしのおかっぱはもじゃもじゃになっていました。マーケットの外におしゃれなレストランやバーが並んでいるので、とりあえずのチェック。フィッシュ&チップスったら、28から30NZドルもするシロモノになっているじゃないですか。22年前に「ニュージーランドで一番おいしいフィッシュ&チップス」ってのをファンガレイあたりで食べたのが忘れられず、あの頃は10ドルもしなかった記憶があるのですが、インフレの波はファストフードにも容赦なく。あちこち覗き見をしたあげく、マーケットの中で”これは間違いないだろう”というものに出会い注文しました。18ドル、それからビールが8ドル、なかなかいい感じのランチです。運ばれてきたフィッシュは(チップスが見えないくらいどーんと上にカラっとフライされた魚がいた)ご立派。口に運ぶと、じゅわ〜っと塩辛さが染み込んだ衣の中からプリッとした弾力のある白身魚が登場。「これは、やばい!!!」チップスそっちのけでフィッシュに夢中。ファンガレイのやつを超えたかもしれない! そんなわたしの目の前に、小さな目玉が二つ。ん? この気味の悪い目玉は、、、カモメでした。こやつ、わたしのフィッシュを狙っておるな、ぜったい渡さんぞ! カモメ対おかっぱ、いつ赤いクチバシに突かれるかという恐怖もありましたが、こちらもにらみ返し、なんとか死守。わたしの皿にお目当てのものがなくなったと悟ったら、さっさと隣のテーブルへ。となりのおっちゃんは、まんまとフィッシュのかけらを奪われておりました。どんまい。

40分のフェリーの旅、ワイヘキ島

カモメからフィッシュ&チップスを死守した翌日、Downtown portから40分ほどフェリーに乗って、ワイヘキ島へ渡ることにしました。明けた深夜には飛行機に乗らないといけないので半日ほどの滞在ですが、この島には知ったる友人がいるのです。22年前、最初にホームステイしたパーマストンノースの家族、の長女Kちゃんが、いまご主人と5歳と4歳の子どもと暮らしているというのです。当時9歳だった彼女ももう32歳になるというからまぁびっくり。そりゃわたしもこうなるさ。Kちゃんは結婚する前に一度日本に遊びにきてくれたことがあって、それ以来ぶり。フェリーが港に着くと、家族みんなで迎えに来てくれて、まずはワイヘキ島のビーチに連れて行ってくれました。ビーチ・・・、いまが夏だったらどんなに素敵だったか。夢と妄想の広がる素敵な島でした。Kちゃんの家に着くと、5歳女児と4歳男児に彼らの遊び部屋に招かれ、人形だの恐竜だのを見せられたのち、庭で飼っているニワトリのえさやりなどをやるハメに。キュートな子どもたちが遊びに飽きたころに夕食。例によって夏は夜8時を過ぎても明るいニュージーランドの夕食は、まるでランチの気分です。わたしはKちゃんがいたのでワイヘキ島に来たのだけど、観光客にも人気の島なんだそうです。ここにはワイナリーが複数あって、世界中のワイン好きがワイナリー巡りを楽しみにくるとか。”オークランドの至宝”という別名のあるこの島、今度はぜったいゆっくり滞在したいと思いました。

わたしがニュージーランドに残した爪痕

Kちゃんのご主人が、カクテルを作るのが得意と言って、コーヒーとカルアミルクでなんちゃらかんちゃらを作ってくれました(おしゃれなカクテル飲み慣れていないからうとくてごめん)。ゆっくりお酒を飲みながらいろいろ話すなかで、日本人にとっての英語についての話になりました。このブログでもよく書いていますが、わたしは若いころ英語がぜんぜんできなくて痛い目に遭い、ガリ勉して習得したのです。ガリ勉のきっかけは、まさに22年前のニュージーランド。日本語では「L」と「R」の発音を分けないんだという話になり、「むかしKちゃんちにホームステイしていたとき、弟のライアンのことを”らいあん”とわたしが呼んだことで、彼がライオンって呼ばれて気の毒だったよね」という思い出を語りました。すると、ご主人が大笑いをしたのです。「あ! だからなの??? 自分もRyanのことLionってふざけて呼んでるよ。お義母さんがそう呼ぶから真似していただけなんだけど、笑」だって。そう、Ryanは、22年を経て立派な青年に成長したいまも、Lionというニックネームで呼ばれているのでした。これ、ぜんぶ、わたしのせい。「L」と「R」の発音がまともにできなかった22年前のわたしの、せい。まさか、あの悲劇が続いていたとは・・・。姉であるKちゃんに盛大に謝ってきたのですが、どうやらRyanもLionと呼ばれることはまんざらいやでもないようなので、わたしがニュージーランドに残した爪痕として残しておきましょう。

船とお酒には酔う自分、今回ワイヘキ島までフェリーで40分、大丈夫かしら、と思ったのですが、乗り込んでしまえばこっちのもの。オークランドの海は穏やかで、さほど揺れもせず、40分はぼーっとするに適する時間でした。短時間だったけど、行ってきてよかった、と帰ってきて振り返りながら思います。いろいろありましたが、あっという間の2泊3日オークランドでした。

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