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【復習】口裂け女・テケテケ

おはようございます。『オカルトエンタメ大学』運営の小柳です。月曜ですね。今週も1週間頑張りましょう!

今朝もオカルト朝活という事で授業の復習をやっていきます。昨晩は吉田悠軌先生による『テケテケや口裂け女などの裏に潜む黒幕の存在』についてでした。

口裂け女

・日本一メジャーな都市伝説の女怪人。数ある噂の中に口裂け女の本名はカシマレイコであるという説がある。

・実話怪談作家の福澤徹三氏の著書の中で氏が幼い時に子供の間で流行した怪談が掲載されている。

風呂に入っているとカシマさんという妖怪がくる。硫酸を顔にかけられ恐ろしい顔になった女性の霊で家々の風呂に現れては入浴している人に硫酸をかける。その際に「あたしきれい?」と聞いてくる。

・福澤氏の成年月日は62年。「幼いころ」とあるので現存するカシマさん最古の記録がある1972年頃に一致する可能性。ちなみに口裂け女が現れたのは諸説あるが1978年ころ。口裂け女の代名詞ともいえる「私、きれい?」は口裂け女よりも前にカシマさんが使っていた。

カシマさんの特徴の一つである「顔や半身に火傷を負った女性というパターン」。前述の硫酸で醜い顔をしているカシマさんもこのパターンに分類される。(詳しくは1日目の授業を参照)


・これ以外にも口裂け女登場以前に噂されていた類似女妖怪が「整形オバケ」。概要は以下の通り。

幽霊というより実在する変質者的存在。髪が無くて背が高いキレイな女だが、顔半分を前髪で隠している。その姿を見た人に「私、キレイ?」と問いかけ「きれいです」と答えると、「これでも?」と言って前髪で隠していたケロイド状の顔を見せてくる。逃げると追いかけてくるので、遭遇したら目を合わせない事。この女性は美容整形手術をした際、左右どちらかの顔の皮膚がうまく癒着せずに、醜いケロイド状になってしまったという。

・この噂は口裂け女が現れる78年の1~2年前に流れた。マスクではなく長い前髪、口裂けではなくケロイド、など 細かなディティールは違うがほぼ口裂け女。

・つまり、硫酸のカシマさん→整形オバケが結びつき、口裂け女という都市伝説が生まれた可能性がある。火傷等で醜い顔をしたパターンのカシマさんは口裂け女に変貌した。

テケテケ

・下半身が欠損した上半身だけの女妖怪で、地面に肘を付きながら、もの凄い速さでテケテケと音を鳴らし近づいてくる。欠損場所は両太股から下、腰から下、胸から下など様々。また空中を飛んでくるなどの移動方法もある。

・このテケテケ、カシマさんと同種である可能性が高い。80年代に沖縄が発祥の地とされるが不明。北海道も発祥の地とも言われ、カシマさんも北海道が最古の記録のためこちらが濃厚か?いずれにせよテケテケよりもカシマさんの方が古くから噂されている。

・類似点として、まず下半身が欠損した女性という点。またテケテケの正体は、真冬に踏切を渡る際、線路に足を取られて事故にあい、体を轢断された少女の霊であるという説がある。この踏切事故の都市伝説はカシマさんにも当てはまる。
 
・90年代に少年ジャンプで連載された『地獄先生ぬ~べ~』に列車事故で下半身を失った女子高生がテケテケとなり、話を聞いた人の元へ現れるという話がある。テケテケは「足いるか?」と問いかけ、正しい答えを言わないと足をもぎ取られてしまう。これは完全にカシマさんの噂から来ている。(『地獄先生ぬ~べ~』の文庫版あとがきに作者の幼少期に噂されていたカシマさんを、最新妖怪のテケテケに結び付けたという記述がある)

・現存の記録によればテケテケよりもカシマさんの方が歴史は古い。恐らくどこかのタイミングで2つが混じり合い、テケテケがメジャーになった事で、四肢のない女妖怪というカシマさんはテケテケに変貌したのではないかと考えられる。

・このようにメジャー女怪人の裏には常にカシマさんが見え隠れする。都市伝説の裏ボス的な存在であるが所以。


サっちゃん

・童謡「さっちゃん」には知られていない4番目がある。
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サッちゃんはね 電車で足をなくしたよ
だからおまえの足を もらいに行くよ
今夜だよ サッちゃん
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・この歌を歌ったり聞いたり知ったりすると、サッちゃんが夜中に枕元に現れてあの世に連れて行ったり、足をもぎ取ったりする。逃れるためには3時間以内に5人の人に4番目の歌詞を教えるか枕の下にバナナの絵を置いておく必要があるという都市伝説。

・また、この噂はチェーンメールにもなる。下校途中の桐谷佐知子ちゃんが踏切の中で雪に隠れていた線路の溝に足がハマり、そのまま列車に轢かれてしまう。(踏切事故の都市伝説と同様のパターン)

・この事故から数年後、クラスの男子達が面白がって4番目の歌詞を創作。周りにどんどん広めていくと、数日後、男子2名は足のない死体で発見。このメールを受け取った人は3時間以内に5人の人にメールを回す必要が。回さないとサッちゃんが現れる、という都市伝説。

・もはや説明が不要なくらい完全にカシマさん。テケテケの要素もブレンドされている。


足とり美奈子さん

・美奈子ちゃんという少女が交通事故で死亡。以来、美奈子ちゃんの友達の夢に美奈子ちゃんが現れて「右足はいらないの?」としつこく聞いてくる。最初は無視していたが毎晩現れるため、ある日「いらない」と答えてしまった。翌日、その子は交通事故に合い右足を失った。この話を聞くと、夢の中に美奈子ちゃんが現れる、という都市伝説。

・これもカシマさん以外の何物でもない。

『リング』『シライサン』

・カシマさんは創作の世界にも影響を与えている。『リング』の呪いのビデオは、見たら1週間以内に死ぬという設定。助かる方法はダビングして他人に見せる事。カシマさんの基本パターンをビデオという最新機器に取り入れた内容と言える。

・2020年に公開された『シライサン』。シライサンという怪談を聞くと数日以内にシライサンが現れて呪い殺される。助かるには別の誰かにその怪談を話さなくはならない、という内容。これも完全にカシマさん。

・様々な都市伝説・Jホラーのスターの裏には常にカシマさんがいる。この世界を暗躍するボスかのように。ではそんなカシマさんを筆頭にした女怪人たちの更なるルーツはどこにあるのか?(続く)

授業を通じて思った事

とにかく「面白い!」の一言に尽きます。都市伝説やホラー映画を見ていくと「これ、どこかで聞いた事ある設定だな~」とボンヤリ思う事があります。そういった類似の点と点が繋がれて進化したり、派生したりして新たな時代の都市伝説キャラクターが生まれているのですね。

今回の授業で触れませんでしたがJホラーブーム全盛期に公開された『着信アリ』という作品。(以下、映画.comからの転載)

この世に恨みを残して死んだ女の霊が携帯電話を通じて伝播し、その死の予告メッセージを受けた者が怪死する事件が発生。そうして親友・なつみを亡くした女子大生・由美にも、死の予告メッセージが届いた。呪いの連鎖を食い止めるべく、同様にして妹を亡くしていた葬儀屋の山下と共に事件の真相を追うことにした由美は、やがて幼い娘を虐待死させた水沼マリエと言う母親の存在を知る。そして、廃病院で彼女の遺体を発見し霊を慰めた彼女は、死を免れた――かに見えたが、実は呪いの発信源はマリエの娘・美々子であったことが判明する。呪いは終わっていなかった! 

まずは着信=死の予告であり、この着信を受けた人は数日以内に死ぬという設定。これは不幸の手紙やカシマさんから永遠と続くスタイル。また、『リング』におけるビデオテープの携帯版と言ったところでしょう。 

そして、死から逃れる方法があるという点。本作では携帯の所有者ではない別の人に死の予告である着信に出てもらう事で死から回避される。ただ、受けた人は変わりに死ぬ。これは「死からの回避」と「死の伝染」がイコールであるという事。『リング』はビデオをダビングして他人に見せれば助かり、カシマさんも他人に話せば助かる、というルールがありました。不幸の手紙やチェーンメールはもはや説明不要ですよね。

そしてこれら呪いの元凶を探ると、一人の元人間(女性である場合が多い)による世の中全体を呪いたくなるような壮絶な過去が明らかになります。『着信アリ』の元凶である水沼美々子には、「虐待」と「過不足な親の愛」という過去が。カシマさん伝説の背景にも様々なパターンが。口裂け女の場合は「整形手術の失敗」、足取り美奈子さんは「交通事故によりバレリーナを夢を破壊された」など。

このように、過去のトラウマから派生し自分以外の全員を呪い無差別に被害を拡大させていくというパターンは、恐ろしいけども非常に人間的でどこか共感を覚えてしまう要素なのかもしれません。それこそ幽霊の古典である『四谷怪談』のお岩さんも個人への恨みと復讐ですもんね。

嫉妬、妬み、怨み・・・。こういった負の要素を都市伝説やホラー映画、怪談などでエンタメ的に昇華する事で、自分が持つ負のオーラを見直すキッカケになればいいなと思います。


以上。

今夜も吉田先生の授業の続きです。哀しくも恐ろしい、そんな女怪人たちの新しいタイプと、ルーツを教えて頂きます。

19時から教室でお待ちしています。

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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