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この20秒に命を賭けて〜乃木坂46 ミーグリレポ〜

タイトルにある「20秒」とは、僕が実際に参加した乃木坂46のミート&グリート(以下、ミーグリ)でメンバーと話すことのできる時間です。

ミーグリとはこのコロナ禍で生まれた、いわばオンライン握手会。乃木坂46の場合はチケット1枚につきメンバーと話す時間が10秒(諸説あり)与えられるという仕組みです。

ミーグリは時間ごと1日5部に分かれており、同じ部の中ではチケットをまとめて使うこともできます。つまり2枚なら20秒、3枚なら30秒というふうにメンバーと話せる時間が増えていくのです。

ここまで読んで、タイトルの意味を察した方もいるかもしれません。

僕は4期生の佐藤璃果ちゃんのチケットを2枚購入し、2枚まとめ出ししようと決めていました。ここから、この20秒に命を賭ける物語が始まるのです。

(個別ミーグリレポはこの記事の最後に載せています)

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前日

翌日にミーグリを控えた僕は何を話そうか考え始めます。正直、話したいことはたくさんありました。

初めてミーグリに参加したこと、璃果ちゃんが推しメンであること、数日前に試聴したオンラインライブのことなど。

さらに話のネタを拾ってこようとSちゃんの過去のブログを読み漁ります。

全部伝えようと思えば20秒では到底収まりません。

Twitterの検索欄に「乃木坂 ミーグリ レポ」と打ち込んでは過去にミーグリに参加した人のツイートを拝見し、何か参考になることはないかとスクロールを繰り返しました。

定期的に通っている歯医者で治療を受けている中、4月から入社する会社の書類を書いている中、シャワーを浴びている中、友達と旅行の計画を立てている中、就寝するための布団の中、僕の頭の中は翌日のミーグリのことで支配されていました。

たった20秒のために、です。

「そんなに話したいならもっとたくさん買えばよかったのに」

そう思う方もいらっしゃるかもしれません。現に、無事ミーグリを終えた今の僕も同じことを思っています。

しかしあの時の僕は買わなかった。いや、買えなかったのです。それはお金どうこうの問題ではありません。

コロナ禍になる前、何度か参加した握手会で頭が真っ白になりろくにメンバーと話すことができず、後悔した思い出があったのです。

そのためミーグリでも同じ失敗をしたくない、と、控えめに購入してしまったのです。

そのためこの20秒が、僕にとって全ての想いを、愛を、伝える場所になっていたのです。


当日

朝、10時ごろに目が覚めると同時に考えたのは璃果ちゃんとのミーグリのことでした。

「あと4時間半でミーグリ...!」

昨日と同じようにTwitterで「乃木坂 ミーグリ レポ」と検索しツイートを漁ります。しかし前日と違うのは、この日、すでにミーグリが始まっているということ。

つまり参加した人たちのほやほやのレポートが見れるということです。

みんなよくこんなに上手く喋れるなあなんて感心しながらレポートを見ていきます。

チケット1枚出しで全然話せなかったと絶望する人。8枚出しでちゃんと会話を楽しむ人。最大の20枚出しで友達かよ!とツッコミを入れたくなるくらいにたわいもない話をする人。

特に注意してみたのはこれから僕が行うのと同じくチケットを2枚出しした人のレポートでした。

人によって「意外と話せそうだなー」と思ったり、「そんなに話せないほど短い?!」と思う人まで様々です。

このレポートを見て、自分が璃果ちゃんと話すイメージを沸かせます。

会話のラリーを3往復くらいはできるはずだから、まずはこれを話して、これを話して、最後にこれを話して...いやでもこっちも伝えたいからここは削って、ここの言葉をもうちょっと短くして...

と、ああでもないこうでもないと言いながら原稿を作っていきます。

本当なら原稿など作らずに、その場で溢れた想いを言葉にするのがいいのでしょうが、そんなのは無理なんです。頭が真っ白になることは目に見えている。原稿を作ったとてそれすら忘却の彼方へ去ってしまうかもしれません。

自分のことがわかっているからこそ、原稿をしっかり作り込みました。

12時を過ぎた頃、スマホをセッティングしてカメラに向かって練習を始めました。スムーズに言えているか、表情はどうか、画角はどうか、手はどこに置こうか。そして何より、スムーズに話した時に何秒くらいで収まるのか。ここが一番大切です。

一応ビデオには撮るのですが、あまりにも恥ずかしいので一切見返すことはないままカメラロールから削除します。

こうして練習しているうちに時刻は13時半。残された時間は約1時間です。

ここで僕はシャワーを浴びに行きます。それが終わると髭を剃ったり化粧水を塗ったりコンシーラーで肌のムラを無くしたり、普段以上に顔面を綺麗に整えます。さらにワックスでしっかりと髪をセットし、スプレーでガッチリ固め、服もちゃんとおしゃれをし、自分が思う最高のビジュアルを完成させます。

画面越しとはいえ、好きな人と会う時の自分は一番自信を持てる姿でいたいものです。

女心なんてこれっぽっちもわからない僕ですが、この時ばかりは恋する女子の気持ちがわかったような気持ちになります。

そうこうしているうちにミーグリの受付が始まります。そこで僕がとった行動は、30分間でもう一度準備をしっかり行い、その後で受付を行うというものでした。

受付開始後すぐに受付をして、すぐに璃果ちゃんと顔を合わせる勇気が僕にはなかったんです。心の準備を行う必要がありました。

受付開始後30分が経ち、ようやく受付しようと決心しました。本人確認やマイクテストなど一通りの操作が終わると画面には「自分の順番まであと何人いるか」と「回ってくるまでの時間」が表示されています。

「現在:58番目 待ち時間:44分」

30分間かけてようやく心の準備をしたのですが、ここからさらに44分かかるというのを見て、さっさと受付済ませておけば良かったと思い返します。

しかしせっかく与えられた44分の時間。再び話す練習を始めます。気分は面接前の就活生です。話すと決めていた同じフレーズを数回、数十回繰り返し口に出します。

人数と待ち時間のカウントが1減るたびに心臓の鼓動が速くなるのを感じます。残り10分、9分、8分といよいよ自分の番が近づいてくるとやばいやばいと呟き始めたり、緊張を紛らわすために無意味な声を上げ始めると言った症状も出てきます。第三者目線から見れば完全ないかれ野郎です。

しかし話すことを復唱することは忘れません。

そしてとうとう画面に現れた「次はあなたの番です」の文字。3、2、1のカウントの後で画面がパッと切り替わります。

そこに現れたのは僕の女神。

一瞬頭が真っ白になりかけましたが握手会の時と比べるとまだ正気を保つことができました。

そこで、何度も何度も復唱した言葉を璃果ちゃんに届けます。

「はじめまして、よしたかって言います!」

あれ、返事が来ないなと思っていると1秒ほど遅れて璃果ちゃんのやっほ〜という声が返ってきました。どうやら少しラグがあるようです。

でもラグなんて関係ありません。僕は僕の用意してきた原稿に沿って想いを伝えるだけです。

5秒、10秒、15秒、自分では話しながらどれだけ時間が経ったのかよくわかりません。気づけば画面の右上にそろそろお時間ですの文字が浮かび、最後にたたみかけるように想いを伝えて璃果ちゃんは白い靄の中に消えていきました。

こうして、多少のラグはありながらも、それ以外はほぼ想定通りに会話を進めることができました。噂通り大体20秒くらいだったように思います。

正直、緊張しすぎて髪型や服装は頭に入ってきていませんでしたが、終わってみて思い返してみると、そういえばツインテールで茶色っぽい服を着てたなーというのが頭に浮かんできます。

そしてこの時の会話や気持ちを忘れてしまわないように、すぐにメモ帳のアプリを開き文字に起こします。それをさらに詳しく記述しているのがこのnoteというわけです。

兎にも角にもこうして、何時間も準備して命を賭けて臨んだ20秒は、ほんの一瞬であっけなく過ぎていったのです。


この経験を通して

たった20秒のためにこれだけ準備して、練習して、緊張して、一見コスパはものすごく悪いように見えます。こんなに時間をかける20秒はおそらく他では経験しないのではないでしょうか。少なくとも僕は、今まで経験したことがありません。

しかしこの20秒のために僕がかけた時間は決して無駄ではなく、すごく楽しいものでした。気持ちがふわふわしてまるで雲の上にいるような気分でした。

それだけ僕にとってこの20秒は価値のあるものだったのです。

いや、こうして璃果ちゃんと何を話そうかと相手を想像して考える時間すらもミーグリの醍醐味だとすれば、たった2000円で購入したこの2枚のチケットは20秒どころか、数時間分、数日間分の価値があったのかもしれません。

このミーグリを通して思ったことは、もっとチケットを買えば良かったということです。30秒だったらもう少し掘り下げて話せたなあとか、20秒2回だったら別の話題話せるなぁとか、こう考え始めるともう沼です。

Twitterで6枚出しとか10枚出しとかしてるようなファンの方を見ると羨ましくも思えてきます。

今まで握手会やミーグリにハマるとお金が無限に溶けてしまうだろうという懸念からあまり手を出さずにきたのですが、そうは言っても参加してみるとやっぱいいもんです。

ですが今まで参加を控えてきたからこそ今回の初ミーグリでもこれだけワクワクした気持ちで臨むことができたのだろうという気持ちもあります。

それらを踏まえて、今後握手会やミーグリとどう関わっていくのかは自分でも楽しみなところです。

このnote本来は空き時間でパパッと書き上げるつもりが書いているうちに色々思い出して結局長々と書いてしまいました。

最後に璃果ちゃんとのレポートをのせて締めたいと思います。


2/27 個別ミーグリ 佐藤璃果 3部2枚 レポ

私「はじめまして〜、よしたかって言います!」

璃果ちゃん「やっほ〜、はじめまして!」

私「Sちゃんのことは加入した時に一目惚れだったので、こうやってお話しできて幸せです!」

璃果ちゃん「ほんとに?嬉しい〜」

私「この前のバスラも最高で、Sちゃんも可愛くて、本当に楽しかったです!」

璃果ちゃん「え〜嬉しい!ありがとう!」


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こんにちは。岡田義隆です。趣味で多くの時間映画やドラマを見ているうちに僕は思いました。この時間を何かの形で活用したい。ただ見て満足するだけではもったいない。ってことでブログ始めました。