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コメダ珈琲のモーニングを食べる条件は11時までに入店すること

先日、終日ひとりで過ごす休日があった。何をしようかなと考えていたら、カフェに行きたくなった。まったりと朝のカフェを楽しみたい。ついでにモーニングでも食べるか。そう考えていたら、急にコメダ珈琲のモーニングが食べたくなった。

モーニング発祥の地、名古屋で誕生したコメダ珈琲。朝に飲み物を注文すると、サービスでパンとゆで卵などのモーニングセットがついてくる。無料だ。

コメダに行きたいと思い立ったのが10時40分。調べると、近所のコメダのモーニングは11時までとのこと。急いで準備して自転車に乗り、出発したのが10時45分。そこで気づいた。自転車のタイヤの空気が減っている。しかし、駐輪場から家に戻って空気を入れている時間は無い。モーニングを食べるためにはやむを得ない。僕はペコペコタイヤの自転車を走らせ始めた。

ペコペコタイヤの足取りは重く、想像以上に時間がかかってしまった。コメダに到着したのはモーニング終了の約5分前。「間に合った」そう思ったのも束の間。コメダ入り口ドアを開いた僕は愕然とした。10人ほどが順番待ちをしている。一瞬、諦めようかと思った。しかし、ここまで来て引き返すわけにはいかない。サンクコストという名の悪魔に導かれて順番待ち名簿の最後尾に名を記した。

備考にはテーブル席とカウンター席の選択肢があった。もちろんどちらでも構わない。なぜなら、僕の目的はカフェでまったり過ごすことでもなく、「とにかくモーニングが食べたい」それだけになっていたからだ。テーブルとカウンターの両方にチェックを入れて待合席で待つことにした。

僕のほかにカウンター席にチェックを入れているのは、2組だけだった。モーニング終了まで残り5分。まだ希望は残されている。

店員さん「1名でお待ちの◯◯様〜。カウンター席でよろしかったでしょうか?どうぞー。」

店員さんの声が響いた。よし。1組掃けた。あと1組だ。そしてその次は僕のモーニングの番だ。本当にあと1組だったかどうか不安になってきた僕は、待合名簿を再確認しに行った。そして再び待合席に戻り座る。案内係の店員さんが戻ってこないか、キョロキョロと確認する。若干、不審者だ。そわそわする。まったりとお茶を楽しみに来た人が大勢の中、なぜ僕は頭の中をモーニングでいっぱいにしてそわそわしているのだろうか。

そんな事はどうでもいい。モーニングだ。モーニングが食べたい。そう思っていた僕のそばで待っていたおじさんが立ち上がり、待合名簿に何やら記入した。まさかの展開だ。テーブル席だけにチェックを入れていたおじさんが、カウンター席にもチェックを入れたのだ。カウンター席の方が早く呼ばれるということに気づいたおじさんが今までテーブル席にしかチェックを入れていなかったのに新たにカウンター席にチェックを入れたのだ。せっかく減った待ち人数が増えてしまった。モーニング終了までの時間は残り3分。僕の他に待っているのは2組。絶望的だ。だが、ここまできたら最後まで粘りたい。泣いても笑っても残り3分だ。

店員さん「1名でお待ちの◯◯様〜。カウンター席でよろしかったでしょうか?どうぞー。」

あと1組。モーニング終了までの残り時間は2分。

店員さん「1名でお待ちの◯◯様〜。カウンター席でよろしかったでしょうか?どうぞー。」

例のおじさんが呼ばれた。そして、ついに僕の他に待っているカウンター席の希望者がいなくなった。次は僕の番だ!再度、時刻を確認した。11時ジャストだった。モーニング終了の時間だ。「これまでか…。いや、待て。まだ希望は捨ててはいけない。11時をちょっと過ぎた位だったら許容範囲かもしれない。どうか融通を聞かしてくれ。」そんな心の葛藤している僕に店員さんが声をかけてくれた。

店員さん「1名でお待ちの◯◯様〜。カウンター席で」
僕「はい大丈夫です!」

全てを言い終わる前に返事をする。定型文は聞き飽きた。「とにかくモーニングを。」そう言いたい気持ちをグッと押し殺して席につき、間髪入れず僕は店員さんに尋ねた。

僕「モーニング、まだいけますか?」

店員さん「はい。大丈夫ですよ。店内に入っていただいた時間が11時より前でしたら大丈夫ですよ。」

なんということだ。店内に入って待ち始めた段階で僕の勝ちは決まっていたのか。あの10分ほどのそわそわ時間は何だったのか?いいんだ。いいんだ。とにかくモーニングが食べられる。店員さんは僕がモーニングのためにそわそわしていたことに感づいていたのだろうか。できるだけ動揺を隠していたはずなのに。店員さん来ないかな来ないかなと目で追ったり、待合名簿を確認したりしていただけなのに!

僕「じゃあ、パンとゆで卵とバターでお願いします。」

店員さん「かしこまりました」

店員さん「…。」

店員さん「お飲み物はいかがいたしましょうか?」

僕「あぁ!ええと、、コーヒー、コーヒーでお願いします!」

モーニング食べたさに飲み物を頼むのを忘れていた。モーニングは飲み物のおまけだ。飲み物を頼まずにおまけのモーニングだけ頼んで満足してしまっていた。いいんだ。どちらがおまけかなんて誰が決めたんだ?コメダだ。確かにモーニングはおまけだ。飲み物についてくる無料のオプションだ。しかし、ここに並んでいた大半の人はこのモーニングを目当てに来たに違いない。モーニングだけを頼んで飲み物を頼み忘れる人なんて沢山いるはずだ。

そんなことを考えている間に、コーヒーとモーニングセットが運ばれてきた。旨い。普通のパンと普通の茹で卵。そしてコーヒー。これが、妙に旨い。約30分の間、僕の頭を支配していたモーニングセット。コーヒーに無料でついてきます。

※当記事は、コメダ珈琲の宣伝ではございません。

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