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大きな病院への通院

予約時間を1時間過ぎた頃、余りにお腹が空いたので、院内のイートインにてパンを食べる事にした。

パンを選ぶ際、アタイは左手首を現在固定している為にトレイとトングを一瞬どう持つか悩んだ。

するとレジに居た方はスっと近くに来てアタイの代わりにトレイとトングを持ってくださろうと動きを見せてくれた。

アタイはこの大きな病院でこんな動きをして下さる方は初めてだったのでとても驚居た。

そしてその方はアタイがトレイとトングを持てる事に気が付くと、何かあったら声掛けて下さいね、と、アタイに笑顔で言葉掛けしてレジに戻り、ちゃんとアタイにアタイの出来る事をさせて下さったのだ。

奪われない嬉しさがあった。

嬉しついででアタイはパンを2個購入した。

窓側のカウンターは何となく座れそうだったが、もっと周りに人が居ない眼下には病院の出入口が見下ろせるコンビニ脇で食べる事にした。

空気が重い。
味は美味しい。
カレーパンはちゃんとスパイシーで手間の味がする。
もう一つの方もトマトとチーズが絶妙だった。
でも、ひと口ひと口が重い。

この場所に元気な人間はほぼ居ない。
患者は基本、他院からの紹介で通院か入院、緊急にて入院の人間。
正直、状態のいい人は回復期でまた他院に戻る為あまり居ない(居てもBABYか小児)。

この出入口を通過出来ない人間は裏出口を通過する。
言わば命の灯火の消えた方だ。

医療従事者側はここで成績を残すと言うか、特に医師は手術や疾患に対するアプローチ等の論文を上げて自身の得意技と言うかを極めている。

この病院に紹介状が出て担当医が分かってその方を検索すれば大抵論文に名前が有るし、若くてもどの場所に対するエキスパートかが解る。

看護師は出入りが早い。
この病院に3年~5年も多分居ない。
ある程度で他院のトップ系で抜けて行く。
その為、助産師も含めて若い方が本当に多い。
以前ここに勤務していた方から、緊急の患者ばかりで長期的な患者との繋がりが持てず、心が綱渡りみたいで疲弊した。と言う話を伺った。

患者のほとんどが明るく退院するタイプでは無い。
COVID-19の蔓延した世界で、更に状況は悪い。

そしてどうやら医療制度がまた変わる。
高額医療負担金が廃止の模様。
この病院に来ている様な方々からすると、中々直結した話となる。
一気に検査や治療が必要となった場合に金額によっては治療を受けない、受けられない人間も出て来る予感がする。

アタイは働いて無いし、でも通院は多い。
忙しく動き回る制服姿の病院関連者を見ていると申し訳無さで満たされる。

あと何回、アタイはこの病院でこの暗い気持ちを味わうのかなぁ。
そんなこんなを考えながら、婦人科の待合場所へ戻った。

ひとりの患者さんが出て来た後に続いて医師と助産師が出て来た。
何やら医師に助産師が話しかけている。

最初、病棟の入院している子どもの事かと思って、この場所で話していい内容なのかとドキドキして居たら(皮膚科内容とはいえ)どうやら助産師の自身の子どもの事を医師に直接相談している事が分かって、ますますアタイは驚いた。

なんというか、医師を誘うサマがリアル過ぎて、なんというか生々しいのを目の当たりにして、この男を何としてでも落とそうとする感じは学生時代以来で、病院関連者はこーゆー事当たり前なの忘れてたー!
って、苦笑い状態だった。

しかし、場所が場所なだけに、そのやり取りの後の待合場は混乱をした。
産科と婦人科の前だ。
要は患者は子宮関連。
一応産科と婦人科の診察曜日は違うものの、婦人科疾患でも年代は様々。

アタイの後ろに若い方が親御さんと来ていた模様で、当人より親御さんが待ち時間含めた怒りの憤慨トークを始め、結局独りで来てない方以外は皆会話を始め、ちょっとしたカオスとなった。

そこに緊急と見られる車椅子の若い方のバタバタした登場で場は静まったが、アタイからすると、もう逃げ出したい位の情報提供にお腹いっぱいで、一刻も早く診察と言うか検査をしてこの場を後にしたい気持ちだった。

院内は携帯の電波が当たり前に悪いのでYouTubeやSpotifyは諦めが必要。
Kindleで萩原朔太郎の詩を読み時間を潰した。

合計2時間待った…と言う所で掲示板にアタイの番号が表示され、アタイはやっとこさ診察と検査に入り、サクサク10分程で終え、また検査結果を2週間後に来院と言う事で終了した。

相変わらずお股が先日の体調不良により自己申告した通り、検査しなくても処方の出るカンジタ罹患で、処方箋が出た。

膣錠剤が大きなミリ数だとあまり置いている薬局が無い為、苦手な病院脇の薬局に立ち寄った。
すると運悪く、話聞いてくれ~状態の方が居り永遠と自身の体調不良をここ数年の出来事を繰り返しトークしており、御手洗も混雑でアタイは30分待った所でリタイアした。

錠剤一錠の為に待つのに30分、しかもBGMは高齢者の体調不良内容のエンドレス不満。
どれだけ薬剤師が提案して合図値をうっても、その方の医師への不満と信用出来ない事から来る薬剤への適正に使う気の無い話?みたいなのを、アタイは流石に聞いて居る事が出来なかった。

何せ場の雰囲気えぐいんだもの。
その方に皆苛立って居るので、両隣からため息、目の前の方はチラチラ見てペットボトル落としたり、あまつ薬剤師は仕事をミスして調剤場から叱りの声が聞こえる…本日のカオスpart2.って感じだった。

アタイは駅近くの婦人科横の薬局か自宅近くの苦手な産婦人科脇の薬局なら錠剤がある事を知っていたので、取り敢えず頑張った自分ご褒美を食べようと駅方面へ歩き出した。

気温は30℃位。
ニット帽の頭がポカポカ気持ちよく、ビルとビルの僅かな場所から香る金木犀の甘い香りが秋を魅せる。

リーマンがお店のデッキ部分に溢れ、コンビニからは袋をさらりと持って足早に歩くスーツ姿の人々。

時折学生さんが携帯に視線を落としながら歩いて居る。

アパレルの方はしっかり秋冬アイテムに身を包み、日陰を選んで歩いて居たり、お休みの日を満喫している女子の手にはCHANELの小袋が有り、季節限定に走った若き日がそう昔でもない事がなんとなく不思議で、だのにもうアパレルにも季節限定にも関係ない生活の自分が違和感無くてアタイは無の境地と言うかで、薬局を通り越して駅の反対側迄歩ききった。

(  ・᷄д・᷅ )...ヤッチマッタナ-

ランチを楽しみにしていたのに、目の前にはモスとかおうどん、ラーメン等の駅メニューしか選択肢が無い。

実際には駅隣の家電屋7階に行けば食事のフロアあるし、駅の6階にも同様のフロアがある。
何なら、ちょっと更に歩けばお料理のお店は点在しているし。

でも、流石に自宅を出て4時間経過していたので、アタイは薬も切れて頭痛と目のチカチカ、耳鳴りも始まって居たので適当に済ませたくて仕方なかった。

体調不良は難儀だ。

昔のその昔、祖父が通院の度にありがとうと、通院に付き添う幼稚園児のアタイにご飯を選ぶ選択肢をくれて、帰り道に母が切れたのが、なんとなく今なら解る。

車を運転して祖父宅へ2時間掛けて行き、祖父と共に大きな病院でアタイと妹を連れて数時間待ち、食事にも行き、祖父宅へ戻り、また2時間掛けて自宅へ戻る、この1日かかる大仕事を母は40歳ちょっとでこなしていたのだ。

疲れもあって、食事内容一つ選ばせて貰えない自分に母もご褒美が欲しかったのかな、そんな風に勝手に今更解釈する。

アタイは最近モスに来ていなかったのと、テイクアウトするならモスだな、と、思ってモスの商品を選び待った。

待つ時間、ほんの一瞬座った間で目の前のおいちゃんはラーメンとチャーハンをかき込んで席を立った。
職人技に感動していると待つカードみたいなのが鳴り、商品を受け取り、アタイは自宅にようやく戻れた。

相変わらずモスシェイクは美味しくて、モスの商品は美味しいにハズレが無くてイイネ~と、満喫。

しかし、アタイは食べてる途中で疲労がMAXとなり、ちょっと横になるつもりが気付いたら日が暮れていた。

シェイクが溶けて、バーガーとオニポテは冷めていた。
なんとなく勿体ないし食べれるので、アタイはそれをお夕飯にし、服薬。
処方箋は3日以内なので、明日か明後日、受け取りに行く事とした。

あっという間の1日だった。
人にのまれた1日にも感じた。
自分はただ問診と触診と細胞診に通院とご褒美の往復を歩いただけ。
歩行時間も行き10分、帰り30分って位。

しかし、大きな病院ってだけで精神的に疲弊する。
緊張したし。
大きな悪化は無さそうだったけども、悪ければがーんだし。
がーん、なら入院になる。

取り敢えず2週間後、幸いなのは、今回の結果が良ければ、確か次回は半年より来院スパンは長いはずな事。
できるだけ病院にはお世話になりとうない。
できるだけ心身健やかに居たいのだ。

週末はまた季節がぐっと深まりそうなお天気模様。
明日と明後日の晴れ間以降は軽いコートの時期な感じ。
そろそろニット類も本格的にしっかり用意を始めねばだ。


今日もここまでお読み下さり有難う御座いました。
あなた様は秋冬のご用意、バッチリでしょうか。
どうぞ食の進む季節入ですので、健やかに美味しく幸いな時を過ごされますように祈ります。

満月が近いですね、冷える夜程月夜は美しさが増す感じ。
素敵な夜をお楽しみ下さい。

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