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私は何者か、428


静かに積もる塵や澱を揺らさず、損なわず、それらをただそのままに。朝陽が射し、雲が流れ、わたしは前を向いたまま、それでも、誰かのために、振り返るあの阿弥陀のように、忘れてはいけないことがある。生きていることの普遍さと不便さと不憫さと不穏と不満と不埒な、いったいなんなのか。がんじがらめになりたくもないのに、その紐に躓いて、もつれて、解けず、ひっかかったまま。なのである。望んでいないところに、身を置いて。または、望むことなどひとつもないままに、私は、飯を食らい、汁を食らい、汁の中には芋、豆、青菜、海藻、味噌、出汁。それから、一菜、たとえば、卯の花。牛蒡、人参、ピーマン、ちくわ、鶏肉、椎茸、しめじ。なんでも、入れるがいい。のである。そんなふうに、暮れてゆく。人の生が暮れてゆく。人生とは、そんなものか。どんなものか。無量百千万億載阿僧祇。か。


ただ、見つめる。


そんなふうに、それでいい。


わたしは何者か。



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