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私は何者か、番外編 a dozen 短歌 44



桃色の花があなたの右手からタネも仕掛けもあるに決まってる

渡る度渡る旅とて失えるものの哀しさ鈍い錆色

そういえば滝はどんな音たてて落ちてきたのかさっぱりわからぬ

夜半より雨が雨でなくなって差し詰め雨は水のものいい

信じては背中が痛い信じねばこころが痛い何を信じよう

さくらさくらこのごろよけいに思うのよそんなに綺麗じゃ哀しすぎると

散る前にゆっくりしてはいけないのそんなに綺麗じゃ疲れるばかり

出会ったり別れたりって人は思うほんの瞬き風に攫われ

だからねー大切にしなきゃだめなんだ今日何度ほらキミは笑ったの

あれとこれそれとあっちをくっつけておったまげるような出来栄えかこれ

いつかいつかだから本気で花見しないだって酔っぱらって帰って来れない

知らぬ人知らぬ街知らぬ言葉耳鳴り語る風の言の葉


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