見出し画像

No.705 微笑みの菓子のふるまわれる日よ、来たれ!

3年前の令和元年10月31日、午前2時30分過ぎに、首里城内部から発生した火災により、正殿をはじめする9施設が焼失しました。火災は約11時間にわたり燃え続けた後に、鎮火されました。
 
首里城は、1453年・1660年・1709年・1945年に次いで、歴史上5度目の焼失だそうです。そのたびに沖縄の人々の努力と献身によって復興を遂げてきました。首里城は「復興」や「再建」のシンボルとして人々の心に希望の灯をともし続けているのでしょう。
 
その沖縄には、「砂糖天麩羅」(サーターアンダギー)という代表的な食べ物があります。「サーター(砂糖)アンダ(油)アギー(揚げる)」という意味から成るそうですが、揚げドーナツのような菓子で、少しパサパサ感があるので、口さがない人は「唾泥棒」などと呼んだりするようです。
 
その菓子の歴史は、琉球王朝時代(1429年~1879年)の頃まで遡るそうです。宮中の料理人たちが、技術を習得する為に中国の福州や鹿児島へ渡ったといい、500年近い歴史を有しています。
 
中国には「開口笑」(カイコウシャオ)と呼ばれる菓子があるそうで、中国に渡った料理人が琉球王朝時代に持ち帰ったか、伝わったものだろうと考えられています。「開口笑」とは、揚げる時に生じる割れ目が口を開けて笑うさまに似ている事からの命名だそうです。「微笑みの国」と言えばタイやブータンでしょうが、「微笑みの菓子」の親元は中国のようです。
 
縁起の良い菓子なので、結婚式などの祝い事でも振る舞われます。サーターアンダギーもまさに「微笑みのお菓子」であり、祝い事や慶事にぴったりの庶民的ソウルフードです。もう「唾泥棒」などとは言わせません。むしろ、唾をつけたいくらいの銘菓なのです。
 
3年前、不幸にして灰燼に帰した至宝・首里城ですが、今年の11月3日に首里城正殿復元整備工事起工式が開催され、2026年(令和8年)秋の完成を予定しているそうです。「笑みの零れるサーターアンダギー」がふるまわれる日の来たれと祈ります。

※画像は、クリエイター・りあこさんのタイトル「サーターアンダギー」をかたじけなくしました。微笑み集団の1葉です。お礼申します。