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No.1065 心用いる季節かな

「火の用心 マッチ一本 火事の元」
は、1953年(昭和28年)に東京消防庁により選ばれ口ずさまれ続けている標語だと言います。今から70年も前の標語だったのですね。
 
1952年~1954年にかけて菊田一夫の『君の名は』がNHKラジオで放送されました。昭和28年の川柳に「この冬を暖かくいる真知子巻き」(田口麦彦)とあるくらい「真知子巻き」が流行したそうです。
 
さて、日本で初めてマッチが作られたのは1875年(明治8)年のことだそうです。一般社団法人 日本燐寸工業会のホームページによると、

マッチ誕生からの歴史を大きく5つの時代に区分すると、以下の通りになります。
明治 8年(1875)~明治20年(1887) 創業時代
明治21年(1888)~大正 9年(1920) 輸出を中心として活躍した時代
大正10年(1921)~昭和21年(1946) マッチ業界受難の時代
昭和22年(1947)~昭和50年(1975) 広告マッチを中心に躍進した時代
昭和51年(1976)~          多角化経営に進出

日本燐寸工業会のHPより

とありました。戦後、燐寸は一般に普及し、各家庭で利用されました。子供でも使いやすく、弄火の一因ともなったようですし、煙草を点ける火種でもあったでしょう。
 
ところで、「全国統一防火標語」は、1966年(昭和41年)度から消防庁と日本損害保険協会が共催で毎年防災事業の一環として行っているもので、防火意識の高揚を図ることを目的に、広く一般から募集しています。今年の最優秀作品と過年度(1955年まで)の一覧を掲げてみます。

令和5年度(2023)
「火を消して 不安を消して つなぐ未来」
 
令和4年度(2022)
「お出かけは マスク戸締り 火の用心」
 
令和3年度(2021)
「おうち時間 家族で点検 火の始末」
 
令和2年度(2020)
「その火事を 防ぐあなたに 金メダル」
 
令和元年度(2019)
「ひとつずつ いいね!で確認 火の用心」
 
平成30年度(2018)
「忘れてない? サイフにスマホに 火の確認」
 
平成29年度(2017)
「火の用心 ことばを形に 習慣に」
 
平成28年度(2016)
「消しましょう その火その時 その場所で」
 
平成27年度(2015)
「無防備な 心に火災が かくれんぼ」
 
平成26年度(2014)
「もういいかい 火を消すまでは まあだだよ」
 
平成25年度(2013)
「消すまでは 心の警報 ONのまま」
 
平成24年度(2012)
「消すまでは 出ない行かない 離れない」
 
平成23年度(2011)
「消したはず 決めつけないで もう一度」
 
平成22年度(2010)
「『消したかな』 あなたを守る 合言葉」
 
平成21年度(2009)
「消えるまで ゆっくり火の元 にらめっ子」
 
平成20年度(2008)
「火のしまつ 君がしなくて 誰がする」
 
平成19年度(2007)
「火は見てる あなたが離れる その時を」
 
平成18年度(2006)
「消さないで あなたの心の 注意の火」
 
平成17年度(2005)
「あなたです 火のあるくらしの 見はり役」
 
平成16年度(2004)
「火は消した? いつも心に きいてみて」
 
平成15年度(2003)
「その油断 火から炎へ 災いへ」
 
平成14年度(2002)
「消す心 置いてください 火のそばに」
 
平成13年度(2001)
「たしかめて。 火を消してから 次のこと」
 
平成12年度(2000)
「火をつけた あなたの責任 最後まで」
 
平成11年度(1999)
「あぶないよ ひとりぼっちにした その火」
 
平成10年度(1998)
「気をつけて はじめはすべて 小さな火」
 
平成9年度(1997)
「つけた火は ちゃんと消すまで あなたの火」
 
平成8年度(1996)
「便利さに 慣れて忘れる 火のこわさ」
 
平成7年度(1995)
「災害に 備えて日頃の 火の用心」
 
平成6年度(1994)
「安心の 暮らしの中心 火の用心」
 
平成5年度(1993)
「防火の輪 つなげて広げて なくす火事」
 
平成4年度(1992)
「点検を 重ねて築く ”火災ゼロ”」
 
平成3年度(1991)
「毎日が 火の元警報 発令中」
 
平成2年度(1990)
「まず消そう 火への鈍感 無関心」
 
平成元年度(1989)
「おとなりに あげる安心 火の始末」
 
昭和63年度(1988)
「その火 その時 すぐ始末」
 
昭和62年度(1987)
「消えたかな! 気になるあの火 もう一度」
 
昭和61年度(1986)
「防火の大役 あなたが主役」
 
昭和60年度(1985)
「怖いのは『消したつもり』と『消えたはず』」
 
昭和59年度(1984)
「”あとで”より”いま”が大切 火の始末」
 
昭和58年度(1983)
「点検は 防火のはじまり しめくくり」
 
昭和57年度(1982)
「火の用心 心で用心 目で用心」
 
昭和56年度(1981)
「毎日が 防火デーです ぼくの家」
 
昭和55年度(1980)
「あなたです! 火事を出すのも 防ぐのも」

「全国統一防火標語」より

どれも甲乙つけがたい優秀な作品であることは一目瞭然です。私は、特に、
平成9年度(1997)
「つけた火は ちゃんと消すまで あなたの火」
の「あなたの火」にやられました。最後まできちんと責任を持ちなさいと言う事でしょう。本当にその通りで、肝に銘じたいところです。
 
つい先日も、麦茶を作ろうと鍋に水を入れコンロの火をつけたまま、すっかり忘れてコロナワクチンの注射を打ちに出かけたという大失態を演じた当の本人です。幸い、自動的に消火するコンロだったので本当に助かりました。一つ間違っていたらと思うと寒気が走ります。
 
今や「マッチ一本」は「指一本」に代わりましたが、指だけではなく、心も用いなければいけないなと改めて感じた次第です。


※画像は、クリエイター・しょうさんの1葉をかたじけなくしました。マッチの小さな明かりでも、周りを照らし、温かみを届けてくれます。お礼申します。