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No.976 「シルバー川柳に『ほ』③」(2011年~2016年編)

「サラリーマン川柳」(第一生命保険)は、1988年(昭和63年)から現在まで毎年行われており、2023年からは「サラっと一句!わたしの川柳コンクール」に名称を変更されます。2001年から始まった「シルバー川柳」よりも先輩格ですが、こちらも優秀な句が多く、シルバーとサラリーマンの句が混同されているものもあるように思われます。ここでは、「シルバー川柳」の句のみを紹介させていただいています。

本日は、そのシルバー川柳の第11回(2011年)から第16回(2016年)までの入賞作のうち、私なりに紹介したい秀作を掲げます。酒と薬と男と女、老いの現実と理不尽さ、されども侮れぬ老人力、笑い飛ばして光齢期(?)を闊歩します。
 
第11回(2011年)秀作5句
「飲み代が酒から薬にかわる年」
(滋賀県 72歳 男性)
「『お年です』それが病気か田舎医者」
(千葉県 83歳 男性)
「聴力の検査で測れぬ地獄耳」
(新潟県 71歳 女性)
「少ないが満額払う散髪代」
(東京都 66歳 男性)
「入場料顔見て即座に割り引かれ」
(東京都 71歳 男性)
 
第12回(2012年)秀作5句
「紙とペン探してる間に句を忘れ」
(千葉県 73歳 男性)
「目覚ましのベルはまだかと起きて待つ」
(神奈川県 71歳 男性)
「起きたけど寝るまでとくに用もなし」
(埼玉県 73歳 男性)
「味のない煮物も嫁のおもいやり」
(茨城県 57歳 女性)
「年金の扶養に入れたい犬と猫」
(福岡県 68歳 男性)
 
第13回(2013年)秀作5句
「お医者様パソコン見ずにオレを診て」
(秋田県 74歳 男性)
「欲しかった自由と時間を持て余す」
(岩手県 77歳 女性)
「症状を言えば言うほど薬増え」
(奈良県 85歳 女性)
「白内障術後びっくりシミとシワ」
(大阪府 71歳 男性)
「暑いのでリモコン入れるとテレビつく」
(宮城県 75歳 女性)
 
第14回(2014年)秀作5句
「粗大ゴミそう言う妻は不燃物」
(長野県 71歳 男性)
「円満の秘訣は会話をしないこと」
(大分県 69歳 男性)
「素っぴんに隣の犬が後退さり」
(岐阜県 78歳 男性)
「糖尿病甘い生活記憶なし」
(岐阜県 73歳 男性)
「脳ボケにSTOP細胞ないかしら」
(埼玉県 65歳 男性)
 
第15回(2015年)秀作5句
「マイナンバー ナンマイダーと聴き違え」
(山梨県 67歳 男性)
「上向いて歩こう今では下向こう」
(埼玉県 69歳 男性)
「三度目は聞こえたふりの半笑い」
(大阪府 69歳 男性)
「脳トレで信じたくない老いを知り」
(愛媛県 67歳 女性)
「俺だって死ねば弔辞で褒められる」
(千葉県 72歳 男性)
 
第16回(2016年)秀作5句
「猫までが妻の真似して俺またぐ」
(東京都 69歳 男性)
「見栄と欲捨ててしまえば生き仏」
(静岡県 91歳 男性)
「金が要る息子の声だが電話切る」
(神奈川県 72歳 女性)
「飼犬が徘徊防止に付いて来る」
(東京都 63歳 男性)
「この歳で止めてどうする酒たばこ」
(岡山県 67歳 男性)
 
その昔、葬儀会場で「呵々大笑」の遺影で我々を迎えて下さった先輩教員のY先生は、
「男が一度始めたモンを、どうしち止めらるっかい!」
とスパスパ吸って逝かれました。豪放磊落、お幸せな方だったと思います。
私は吸いません。スイマセン…。


※画像は、クリエイター・にゃこぱんさんの、タイトル「気づいたら幸せだった」の1葉をかたじけなくしました。言われてみれば、その通りだと思うこともあります。お礼申します。