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No.704 我は生きたし、加齢に?華麗に?

ちょうど3年前の今頃でした。朝、目覚めたら、いきなり強烈な眩暈がし始めました。布団から立ち上がることも叶わず、グルングルン天井が回り始め、奈落の底に引きずり込まれるような錯覚がします。すわ、一大事!「かーさーん!」
 
吐き気はするし、フラフラするし、支えられないでは歩くこともできません。とても遠くへは診てもらいに行けない状態です。カミさんに連れられ、朝一番に、とにかく近所の医院で診察してもらいました。
 
「専門医に診てもらった方が良いですよ。先ずは脳神経の診断が先決。遅れれば、それだけ具合が悪くなるかもしれないので…。」
と「胃腸内科乳腺クリニック」の先生は、すぐに紹介状を書いてくれました。カミさんが法定速度より2割増しのスピードでK脳神経外科病院に駆けつけてくれました。
 
院長のK先生は、問診と診察の後、
「良性突発性頭位眩暈症でしょうね。脳が原因の眩暈ではないでしょう。念のためMRIを撮っておきましょう。」
と即断しました。まっすぐに歩けず、吐き気は一層強まり、気分は「サイテー!」です。昨日までピンピンしていた自分は、どこへ行ってしまったのだろうかと摩訶不思議です。
 
K先生から撮影画像を見せられながら詳しい診断説明を受けましたが、脳内に気になる所見はないとのこと。めまいが起こる原因は、三半規管の中にたまった「耳石」(カルシウムの小さな粒)が剥がれて三半規管に入り込むことで発症するそうです。私は、K先生に、やんわりと
「顔や性格に、何か関係があるんでしょうか?」
と質問したら、ニヤッと笑って答えてくれませんでした。少し症状がひどかったので、その日は入院して、一晩中点滴を受けました。

悲しき者よ、汝の名は「加齢」?「華麗」に歳を取りたいのに…。
 
おかげで、翌朝、何とか退院できました。随分楽にはなりましたが、その日の授業では、壁伝いに牛歩で教室を往復しました。元気でいられた当たり前の生活が、何てすばらしいことなのかと、こんな時になってしか気づけない不出来な私です。
 
ただ悪いことばかりではありませんでした。皮肉にもたった1日で1,9kgの減量に成功。その上、妻の優しさにも気づかされました。フフン!
 
「めくられるキャベツのめまい闇動く」
 野ざらし延男(沖縄タイムス「タイムス俳壇」選者歴任)

※画像はクリエイター・ますのさんのタイトル、「みんなのフォトギャラリー14」をかたじけなくしました。三半規管にも似て。お礼申します。