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No.953 変わらない巧さ、変わらない美味さ

今日も今日とて、旧聞に属するお話ですが、笑ってお許しいただきたく…。
 
四半世紀以上も前のある日のこと、新聞紙の切り抜きを生徒から見せられました。某ビール会社のCMのコピーで、タイトルは「ワイパーは消えず」。覚えている方は、おられますか?

「雨の日の運転。フロントガラスをワイパーが撫でる。進歩という言葉を忘れてしまったかのような原始的動き。しかし、自動車技術者は言う。あれ以上の仕組みは、まだないのだ。(以下、略)」

「原始的でありながら、それ以上の仕組みがない」という車のワイパーに着目し、このビール会社のコマーシャルは、「ビールの熟成の仕方もこれと同じで、これ以上の方法はないのだ」と続けて説明するのです。
 
一見、無縁と思われるものの本質にその共通性を見出し、論理的に帰納して行く手法に、生徒は強い興味関心を示したようでした。国語表現や文章表現のお手本として参考にするつもりで、その感動を伝えたいと思い、持って来たのでしょう。
 
2022年度から学習指導要領が改訂(新課程)されました。これまでの国語学習の要でもあった「読む」(読み解く)学習から、より「話す・聞く」や「書く」ことに重きを置いた学習へのシフトチェンジです。
 
新課程では、「論理的な文章」(評論)「文学的な文章」(小説)「実用的な文章」(法令文、報告書、企画書)と言った表現力が身につくことを期待しているようです。

社会に出たら、よく聞いて話し伝えるコミュニケーション能力も大いに必要とされるでしょうが、学校では、先の生徒のように「書くこと」への好奇心も活かされる取り組みが始まっています。


※画像は、クリエイター・万力春乃さんの、タイトル「正直になる訓練」の1葉をかたじけなくしました。「長野市にあるバーバラというお店の美味しいビール」という説明もされていました。お礼を申し上げます。