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No.1076 さもあらん!

このところ小春日和の連日でしたが、先日、夜のうちに思い出したように小雨が街を潤しました。朝には上がり太陽が雲の合間から顔を覗かせました。

その日は、午前10時前に車で出勤しました。ある調剤薬局の前で、白衣を着た女性が玄関前のスロープに取り付けられた手すりを布で丁寧に拭いていました。老人たちが雨に濡れた手すりに手を滑らせたり、転んだりしてはいけないと思ってきれいに拭っていたのでしょう。後ろ姿に人柄が見えるような、何か良い邂逅いを感じました。

学校の1階の講師室には、中庭に通じる大きなガラス戸があり、外の様子が知られます。その中庭の溝に沿ったコンクリートの裂け目から「根性猫じゃらし」が伸びて実をたくわえています。今日の画像は、その根性主君です。

「大掃除の時にでも、あの草を引き抜いてやるか。」
そう考えていました。ところが、そ日の午後に、同僚のチィ先生が、
「あっ、スズメがエノコログサの実を食べてる!」
と少女のような声を上げました。

中庭を見ると、スズメが一羽、猫じゃらしの実を突っついては落ちた実を食べていました。私は、ただの草だと思って見ていたのですが、生き物の糧になっていたとは!この齢になって初めて知った次第で、「絶滅危惧種」に認定されそうです。

エノコログサの由来は「いぬころ草」(犬尾草・狗尾草)の意味であり、穂の形が子犬の尻尾に似ているからだそうです。その実は、粟(アワ)の原種だともありました。スズメが好むのも道理です。「猫じゃらし」と呼ばれ親しまれていますが、その花言葉には、「遊び」と「愛嬌」 がありました。
さもあらん!

なんだか、しみじみとした思いに触れた日でした。