やせ薬

おおっ、やせ薬の紹介?と思った方、残念です。
逆です。

「GLP-1受容体作動薬」という糖尿病の薬を使ってのダイエットが巷では流行っています。
有名人も結構こっそりやっている人がいるようですね。
オンライン診療や、あるいは「GLP-1作動薬」を使ったダイエット専門のクリニックができるほどです。
しかもその求人はかなり好待遇。
それだけ需要もあるし儲かるのでしょう。

一時期、実際に糖尿病の患者さんが薬が手に入りにくくなって困る可能性があるとか報道がありましたし、糖尿病学会も見解を表明しています。
書いてある内容は薄っぺらいですけど。

GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解

各製薬会社も適正使用に関してHPなどでアナウンスしています。

というか、そんなこというなら、そういうダイエット目的に販売しているクリニックに薬を卸さなければいいのにと思うのです。
製薬会社も卸も、そういうところに販売しなければいいだけの話。
でも薬は結構いい値段しますし儲かるから売り続けているだけ。

とか言っている自分も、ジュースばかり飲んでいてお腹がぽっちゃりしているので、「いつかは試そうかな」と誘惑に駆られたときもありました。
ちなみに太ってきたことを自虐的に話すと、大抵は「貫禄があっていいじゃない」と慰めの言葉が返ってきます。
逆にこちらが話す前に「先生、太ったんじゃない?」とストレートに言ってくる患者さんもいますが…。
余談でした。

「いつかは試そうかな」と思いながらも、結局は試していません。
やはり何か引っかかることがあったからです。

作用機序等を調べると、「癌になりやすくなるんじゃね?」と思っていたからです。

で、調べるとそういう情報が出てくるんですね。

https://www.npojip.org/chk_tip/No69-f04.pdf

上記PDFの4ページ目の下の方に出ています。
上記資料は記事の一部(概要)しか見れません。

この記事ではデュラグルチド(商品名はトルリシティ)についてのことですが、
「発がん性顕著なため危険 使用すべきでない」
と大きく書かれています。

「日本で実施された臨床試験のメタ解析をしたところ、デュラグルチド群の悪性腫瘍罹患率は10万人年あたり2,388人。これは、同年齢の糖尿病患者の870人/10万人年に比し2.7倍であり、統計学的に優位であった。推奨しない。」

と書かれています。

実は製薬会社が行った臨床試験では、プラセボ投与群の人数が少なすぎるために有意差として出てこないのですね。
そこでこの記事を書いた先生は同じ糖尿病患者さんのがん罹患率と比較したのです。

糖尿病患者さんのがん罹患率は、全人口に比較しておおむね30%増しと言われているようです。
(糖尿病と癌に関する委員会 糖尿病と癌に関する委員会報告, 糖尿病 56:374-390, 2013)

つまり、癌に罹患しやすい人と比較して2.7倍の罹患率になるということですから、健康な人と比較したらどれだけ癌になりやすくなってしまうのでしょうか
統計学的にはかなりの有意差となって出てくるはずです。

またこちらの資料も見てください。

https://www.npojip.org/chk_tip/No67-yoshi.pdf

2ページ目下の方です。

「また、膵がんの増加は、動物実験や他の臨床的、疫学的知見と総合して、発がん性を示唆する。」

と書かれています。
実際の記事の中には、FDAの害反応収集システム(FDA AERS)に報告された害反応例を用いた、報告オッズ比(ROR)の解析結果の具体的数字が記載されており、
『エキセナチド(商品名バイエッタ)では、他の薬剤に比べて、膵炎が10.7倍、膵癌は2.9倍、甲状腺癌は4.7倍報告されていた』
と書かれています。

そして、
『ヒトで「がん」が増加することは、疑いないといえよう』
とまで書かれています。

こんなニュースもあります。

DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬は胆管がんリスクを大幅増/BMJ

胆管癌リスクが「大幅増」ですからね。
胆管癌なんて、場所によっては最悪の場合、「膵頭十二指腸切除」というめちゃくちゃ大変な手術になる可能性があります。
食道癌の手術も嫌だけど、膵頭十二指腸切除も受けたくない手術の一つです。

ちなみに、「GLP-1受容体作動薬」は発癌性を上昇させないという論文もあるようですが、バックに製薬がいる可能性もあり、やはりそのような利害関係がない上記データが一番参考になるかと思われます。

「GLP-1受容体作動薬」を適応外使用した安易なダイエットはやめた方が良さそうですね。
こういうことをどれだけの人が知って、「GLP-1受容体作動薬」ダイエットを行っているのでしょう。
普通は医者がこういう危険性を考えて安易に提供しないことが大事なのですが、「自分が儲かれば患者が癌になったって知ったこっちゃない」と考えている医者が多いのでしょうね。
というか、ダイエット目的で自由診療やっている医者は、たぶんここまで勉強していません。
発癌性のデータだとか、臨床試験のいい加減さだとか(薬のチェックという雑誌に詳しく書いています)、そんなことは知らないのでしょう。
「頭を使わず楽に儲ける」ことしか考えていません。
本業をおろそかにしながら新型コロナワクチン接種で儲けまくっている医者にしろ、本当モラルのない医者が目立ちます。

頭使わずたいした苦労もせずボロ儲けできるのですから、医師免許最強ですね。
あの世があったとしたらどうなるか知りませんけど。
この世にいるうちにどうにかなっちゃうかもしれませんけどね。因果応報。

最近、ネット上にも「GLP-1受容体作動薬」と「自殺」に関するニュースが出ていますね。

「やせ薬」にも使われる糖尿病薬、自殺念慮の副作用か 欧州当局が調査

肥満治療薬「オゼンピック」、自殺念慮の報告受けEU当局が調査開始

EUの欧州医薬品庁(EMA)が調査に乗り出したということで、「GLP-1受容体作動薬」によって確実に自殺が増えると決まったことではありませんが、これだけニュースに出ているということは関連がある可能性があります。

ダイエット目的の人にとっては「夢の薬」でしょうが、癌にもなりやすくなるし、自殺もしやすくなるとなったら、ただの悪魔の薬です

人工的に作った化学物質で、副作用もなくいいとこ取りできるなんて、そんなおいしい話はありません。

ちなみに最近医療専用サイトにこんなニュースもありました。
(登録されていない方は記事は一部しか見れません)

GIP/GLP-1/グルカゴンの“トリプル作動薬”、体重24%減

3種類の受容体に作用する「トリプル受容体作動薬」の開発が進んでいるとのこと。
もはやここまできたらわけがわかりません。
こんな不自然なもの体に投与したら、絶対に不都合なことが出てくるのは素人でもわかりそうなことです。

「体重24%減」って、それってただ体が不健康になって体重減少が起きたんじゃないの?と思ってしまいます。

病的な肥満というものもありますがそれは極レアなケースです。
大抵はジュースの飲み過ぎとか原因があって太ってしまうのです。
自分のように。因果応報。

安易に薬剤に頼って痩せようとするのはお勧めできません。
原因を取り除けば結果は出るのですから。たぶん。

というか、見た目ぜんぜん太っていないのに、「痩せ」だけを目指してやっている人も多いのでしょうね。
もっと自分の体を大事にして欲しいです。
統計的には「ちょいメタ」が一番健康で長生きするといわれています。
ですから自分はまだもう少しこのまま様子をみたいと思います。
(ちゃんと定期的に採血してチェックしていますので)

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