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銀行が身近な相談相手となる時

かいぎんエコマガ(ecomaga) 2023年3月号 vol.216 掲載

 新型コロナ関連融資の返済が始まり、資材や原材料費、燃料費の高騰、さらには人手不足と人件費の値上がりで、中小企業や小規模事業者は厳しい経営環境が続きます。今こそ銀行が事業者の身近な相談相手となり地域経済を支える時です。

約1万件の返済開始を迎える

 2020年に始まった新型コロナ関連融資、いわゆるゼロゼロ融資等は既に返済が始まった事業者もいて、2023年4月から6月にかけて返済開始のピークを迎えます。県内では約1万件近い事業者が返済開始を迎えるとみられます。
 県内では観光客も増え始め、沖縄総合事務局も県内経済は持ち直しているとの見方を示しています(2023年1月管内経済情勢報告)。一方、よろず支援拠点へ相談にいらっしゃる中小企業・小規模事業者の多くが資材や原材料の高騰などで利益率が悪化している窮状を訴えています。
 金融機関への返済原資は事業の利益から捻出しなければなりません。ある飲食店経営者は「返済が始まるとすぐに資金繰りに行き詰ってしまうので廃業を考えている」と漏らしています。東京下町の公的経営相談所では、今年に入って、返済が始まった建築関係や飲食店など十数社の破産手続きと経営者の生活保護の相談に対応しているとのことです。沖縄も対岸の火事では済みません。

伴走型支援の重要性

 1月10日に国は「伴走支援型特別保証制度」の改正、県は「伴走支援型借換等対応資金」の施策をスタートさせました。新規融資だけでなくゼロゼロ融資等の借換が可能となっています。売上高減少だけでなく利益率の減少も利用要件に緩和されています。また「金融機関の責務および報告」が明記されており、計画書作成や実行、進捗管理に金融機関の関与が必須となります。

行員一人一人が真のリレバンを作る

 直面する経営危機に金融機関が真のビジネスパートナー(リレーションシップバンキング)として取引先への伴走支援を実行することが求められています。銀行員は財務状況だけでなく、計画で売上高や利益確保の方法までサポートしなければなりません。多忙な業務の中で負担が増すと思われるかもしれませんが、実は本業支援は金融機関本来の業務です。単なる金貸しではなく、企業が業績を伸ばすことで金融機関も利益を生む社会的関係なのです。
 昨年よりよろず支援拠点では、金融機関職員のOJT研修を行っています。すでにコザ信用金庫と沖縄海邦銀行の職員のべ11人にOJT研修を実施しました。よろず支援拠点の強みの一つである「売上拡大」の手法、それを引き出す事業者への傾聴と相談対応の姿勢を学んでいただきました。
 先日研修を終えた沖縄海邦銀行の3人は「相談対応の姿勢」や「専門家につなぐ前段階の相談の大切さ」「違う視点からの助言」等を学べたと感想を述べていました。
 この時期に事業者に伴走してサポートできる人材が金融機関に増えたことが、国・県の施策の効果を高め、より多くの破産や廃業を防ぐことになるものと期待しています。
【沖縄県よろず支援拠点 TEL:098-851-8460】

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