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小説から伝わる「エンタメ」を信じる ベストセラー作家に聞く 沖縄の著者トーク 〜作家 / プロデュース 松永多佳倫〜レポート

「沖縄」をテーマにした沖縄県産本や小説、ガイドブックが出版、映像化される作品が増えています。とはいえ、作家視点からどのようにアイデアから本が生まれ、皆さんの手元へと届けられているのか……?

その過程での楽しさや作り手ならではの苦労など伺うべく、2016年に著書『沖縄を変えた男』が映像化されるなど、多数の本の出版、プロデュース業を行う松永多佳倫さんに、沖縄の著者トークをテーマにトークセッションを行いました。

東日本大震災で「エンターテインメントは必要だ」と信じられた

松永さんは、東京で出版社に勤めたあと、とある人物のことを書きたくて沖縄移住を決めました。東京在住からかぞえて、かれこれ15年以上文筆業、そしてインタビューを通して本を出版してきたなかで、過去に「もう、やめよう」と何度も思ったことがあるそう。

「何のために自分はやっているのか……?」と自問自答する日々。そんなとき、東日本大震災が起きました。松永さんは約1カ月間、被災地に足を運び、ボランティアを行っていくなかで、ふとした光景を出くわしました。

それは、集英社から被災地の子どもたちに届けられた『週刊少年ジャンプ』、『週刊少年チャンピオン』でした。漫画を無心で読む子どもたち、ときより見せる友達や家族とゲラゲラと笑いあう姿

そんな子どもたちをみて、松永さんは、エンターテインメントの力を信じようと決めました。

「ここまで書きやがったな!」 嫌味っぽい言葉をもらうために

続いて、松永さんを交えて著者トークに進めていきます。

おきなわダイアログから、「出版までに苦労したこと」「作家と編集者」「沖縄で出版するわけ」「作家の1日」「思い出の1冊」「プロデュースとしての顔」「出版までの道のり」「作家はどうなるの」「ここだけの裏話」のキーワードを挙げさせてもらいました。

会場にお越しの人からキーワードに付随して「取材相手にどう切り込むのか」と質問がありました。

栽弘義監督や遠藤保仁選手など……ノンフィクション作家としてインタビューしてきました。私は、もともとスポーツが大好きですが、提灯や本を作りたいわけではありません。

取材相手が好きだからとことん深掘りをしますし、選手から「よくここまで書きましたね!」と嫌味っぽく言われるのが最大の褒め言葉だと思っています。

だから、(取材相手の)心理状況や環境をふまえつつ、マスメディアで取り上げられたことをあえて聞くなど、私なりの工夫を行なっています。

また、松永さんと取材先へと同席するカメラマンがおきなわダイアログに来てくださり、こう語ります。

松永さんは最高のインタビュアーだと思います。取材中にみせてくれる取材相手のうれしそうな表情、真面目な表情。ついつい、300枚もシャッターを切っちゃうんですよね。こんなに使わないのに笑

「原作は子供だよね……」映画化へ思う気持ち

続いて、松永さん原作の『沖縄を変えた男』について。2016年に監督・岸本司さん、主演・ゴリ(照屋年之)さんにて映画が公開されました。著書の映像化について、松永さんの思いがあふれてきました。

単行本1冊を書き上げるのにだいたい約1カ月半ぐらいです。午前7時ごろから起きて、1日中ひたすら書き続ける日々。

大好きなお酒を断って、知人との交流をも控えて、ひたすらペンを進めていく。約2時間と尺が決まっている映画では表現しきれないのは当たり前なんです。

もちろん、原作の良さを表現している映画もあります。私は男性ですが、著作物は子どものようなもの、だからこそ、一緒に良い作品をつくろうという気概が大切だと思います。

編集記

冗談を挟みつつ、会場から笑いがつきない「ベストセラー作家に聞く 沖縄の著者トーク」を終えました。松永さんは、(会場の)お客さんにどう楽しんでもらおうか、と進行してくださったのは編集者として、またプロデュースーでの視点なんだろうと思います。

最後にポツンと「どうして作家たちは東京へいくんだろうね……」とこぼした言葉に、沖縄で作家として活動する気概が伝わってきました。

会場:おきなわダイアログ

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