水蝸牛

沖縄の児童文学作家。沖縄の昔話や妖怪や平和をテーマに、絵本や児童書を書いています。児童…

水蝸牛

沖縄の児童文学作家。沖縄の昔話や妖怪や平和をテーマに、絵本や児童書を書いています。児童向けのファンタジー小説『球妖外伝 キジムナ物語』をnoteに公開しています。

マガジン

  • 作品づくりの過程

    作品づくりの過程や、作品に関わる沖縄の記事をマガジンにまとめました。

  • 球妖外伝キジムナ物語(2023年11月)

    2,023年11月5日、有料マガジンで販売していた「球妖外伝キジムナ物語」を無料公開します。 記事をあらためて作成し直したものになります。一つ一つをいっきょに公開するため、フォロー中の方はわずらわしく感じるかもしれません。申し訳ありません。 「球妖外伝キジムナ物語」は、沖縄が琉球とよばれていた、むかしむかしのお話です。人間たちからマジムンと呼ばれていた妖怪たちの物語を描きました。児童向けの作品です。

  • noteの魅力やクリエイターさんのご紹介

    noteで交流させていただいている、クリエイターさんたちを紹介する記事を、マガジンへまとめました。またnoteの魅力に関する記事をまとめました。

  • 沖縄異界散歩

    観光地ではない、ちょっと不思議な沖縄の場所や、作品に関わる沖縄の話を紹介します。

  • 語って聞かせる昔ばなし「かじりの化け物」

    「かじりの化け物」という創作昔ばなしを、クリエイターの皆さまに朗読していただきました❗どうぞお楽しみください💗😆

最近の記事

  • 固定された記事

はじめに~水蝸牛(沖縄の児童文学作家)~

こんにちは。 水蝸牛(みずかたつむり)と申します。 こちらの記事では、自己紹介とわたしの作品についてご紹介します。 (2023年11月7日更新) お知らせ ⭐️NEW⭐️2023年11月5日にAmazonのkindleインディーズマンガで「まんが球妖外伝」第一話クスケーを出版しました! 今後一話ずつエピソードを公開予定です。 電子書籍ですが0円ですので、ぜひダウンロードして読んでみてくださいね! ⭐️NEW⭐️2023年11月より有料で販売していた小説マガジン「

    • AIが作る【未来の商品】

      *見出しの画像は、デザインアプリ「Adobe Express」の画像生成AIで作成したものです。テキストから画像作成を選択し「未来の商品」と入力しました。 近ごろはyoutube動画を見て学んでいます。 AIを自在に使いこなす怖いもの知らずの若い人たち。 マーケティングリサーチやデジタルコンテンツの制作や商品の提供など、これまで苦労しながらコツコツやる必要があった作業が一瞬でできる。 ブログも絵本も小説も動画もあっという間に作られる。 AIが一人一人のWEB上の履歴

      • 【沖縄の美術館】南城美術館へ行ってみました

        *見出しの画像は、デザインアプリ「Adobe Express」上で画像生成AIで作成したものです。実際の美術館ではありません。 「Adobe Express」でテキストから画像作成を選択し「沖縄の美術館」と入力すると、見出しの画像が作成されました。 うん。なんとなく沖縄っぽいような?違うような? 2023年の6月に沖縄県南城市にある南城美術館へ行ってみたときの写真をご紹介します。 南城美術館のコンセプトは『美は生活の中、暮らしの中に存在する』だそうです。 美術品が好

        • Kindleインディーズマンガを作ってみた

          AmazonのKindleでインディーズマンガを作ってみました。 作ってみたい方は参考にしてください。 インディーズマンガに関するAmazonの公式サイトは以下の通りです。 ちなみにAmazonのKDP出版をまだやったことがないという方は、こちらをご参照ください。 2022年に投稿した「Kindleで絵本出版するまでの道のり」という記事です。 なぜかよく閲覧されています。 まだKDP出版をやったことがない方は参考にしてみてください。 ♢♢♢ Kindleインデ

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        はじめに~水蝸牛(沖縄の児童文学作家)~

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        • 作品づくりの過程
          12本
        • 球妖外伝キジムナ物語(2023年11月)
          23本
        • noteの魅力やクリエイターさんのご紹介
          12本
        • 沖縄異界散歩
          12本
        • 語って聞かせる昔ばなし「かじりの化け物」
          4本

        記事

          Kidleインディーズマンガ「まんが球妖外伝」第一話クスケー

          AmazonのKindleでインディーズマンガを始めてみました。 Kindleの電子書籍ですが、0円でダウンロードが可能なので、読んでいただけると嬉しいです。 シリーズのタイトルは「まんが球妖外伝」です。 今後、エピソードを一話ずつ公開していく予定です。 シリーズを通して、マジムンと呼ばれる沖縄の妖怪たちが登場します。 対象は少年向けですが、沖縄の風習や民俗学の内容もご紹介するので、大人の皆さまにも楽しんでもらえればと思います。 noteで公開している小説「球妖外

          Kidleインディーズマンガ「まんが球妖外伝」第一話クスケー

          第七章 キンマモン②終(球妖外伝 キジムナ物語)

          ブナガヤは火の玉と森の中をとぼとぼ歩いていました。 「おれが間違っていたのか……?」 ぼそりと言うと火の玉が答えました。 (何が正しいのか何が間違っているのか。本当のところは、だれにもわからないさ。おまえはおまえが正しいと思ったことをやったまでのことだよ) 「……」 ブナガヤは真剣な面持ちでしばらく考えてから、自分の気持ちを言葉にしました。 「でも……おれは独りよがりだった。何でもかんでも自分で決めて、ほかのやつらの意見は聞こうとしなかった。キジムナは、おれにまっすぐぶつか

          第七章 キンマモン②終(球妖外伝 キジムナ物語)

          第七章 キンマモン①(球妖外伝 キジムナ物語)

          東の空が明るい乳白色になっています。ガジュマルの木の下で待っていたアメ幽霊としゃれこうべとイナフク婆は、戻ってきたスーティーチャーとトゥイに会いました。 「キョキョ!うまくいったようだな」 トゥイは空っぽになったガジュマルの木を見て、飛びはねました。 スーティーチャーがアメ幽霊に聞きました。 「キジムナはどうしたんじゃ?」 「ブナガヤに追いかけられて逃げたわ。北の方角へ行ったけど……」 「キョキョ!おれたちも追いかけよう」 トゥイが叫ぶとイナフク婆が言いました。 「おま

          第七章 キンマモン①(球妖外伝 キジムナ物語)

          第六章 作戦をたてる③(球妖外伝 キジムナ物語)

          森の奥のガジュマルの木の下では、ブナガヤが顔を膝にうずめています。 (つらそうだな。大丈夫か?) 火の玉がブナガヤに心配そうに声をかけました。ブナガヤはゆっくり顔をあげました。 「……なあ、なぜキジムナにはお前の声が聞こえなかったんだ?」 (……) 火の玉は黙って何も言いませんでした。 「なぜ答えない?」 とつぜん闇夜の森をヤンバルクイナの声が切りさきました。 「キョキョ!ブナガヤ」 ブナガヤは怖い表情で、目の前にあらわれたトゥイをにらみました。 「キジムナの次はおまえか…

          第六章 作戦をたてる③(球妖外伝 キジムナ物語)

          第六章 作戦をたてる②(球妖外伝 キジムナ物語)

          暗いガジュマルの木の下で、ブナガヤ・ハベルは、じっとひざを抱えて座っています。青白い火の玉がブナガヤに話しかけました。 (あれで良かったのか?) 「なにが言いたい?」 ブナガヤは火の玉をキッとにらみつけました。 「おれが間違っているとでも……?」 (そうではなくて……) 「ブナガヤ!」 急に声をかけられて、ブナガヤは驚いて立ちあがりました。ふりむくとキジムナが立っています。 「ブナガヤ、だれと話していたんだ?」 「おまえ……また来たのか!」 ブナガヤはすごんでにらみつけまし

          第六章 作戦をたてる②(球妖外伝 キジムナ物語)

          第六章 作戦をたてる①(球妖外伝 キジムナ物語)

          木の葉が風にゆれて、さらさら音をたてました。色あざやかな赤い鳥が木と木の間を飛びうつって、キョロロロロとさえずっています。 「なんて名前の鳥かしら?」 アメ幽霊とイナフク婆は石に腰かけて楽しそうに鳥を観察していました。 「おーい」 森の中から声が聞こえました。 「キジムナとトゥイだわ」 キジョカへ戻ったキジムナ・ムムトゥとヤンバルクイナのトゥイが、手をふりながら駆けてきました。 「あれ?アメ幽霊とイナフク婆だけ?先生はどこにいったの?」 「それがね、あそこよ……」 アメ幽霊

          第六章 作戦をたてる①(球妖外伝 キジムナ物語)

          第五章 キジョカのブナガヤ③(球妖外伝 キジムナ物語)

          そのころスーティーチャーとアメ幽霊とイナフク婆は、キジョカで森を探索していました。やぶをかき分けてザクザク歩いていると、スーティーチャーが立ちどまります。 「ふむ。ここは自然豊かな森じゃが、みょうな違和感があるのう」 アメ幽霊がうなずきます。 「そうね、どこかおかしい気がするわ」 「いったいなぜ、ここで龍脈が乱れているのじゃろうか……?」 スーティーチャーがあれこれ考えていると、さーっと風がふいて森の木の葉がざわめきました。風がやむと、どこからともなく小さな声が聞こえてき

          第五章 キジョカのブナガヤ③(球妖外伝 キジムナ物語)

          第五章 キジョカのブナガヤ②(球妖外伝 キジムナ物語)

          キジョカの七滝に戻ったキジムナは、みんなにヤンバルクイナのトゥイを紹介しました。 「トゥイ!スーティーチャーにアメ幽霊にイナフク婆だよ」 トゥイは目を丸くしました。 「おまえの友だちは変わったやつばかりだなー。ソテツに幽霊に人間の婆さんか!」 スーティーチャーが笑いました。 「ふぉふぉふぉ。分けへだてなく付きあえるのがムムトゥの良いところじゃ」 アメ幽霊が聞きました。 「あなたは鳥なのに地面を歩いているの?」 トゥイは急に怒りだしました。 「キョキョ!しっけいな。鳥が歩い

          第五章 キジョカのブナガヤ②(球妖外伝 キジムナ物語)

          第五章 キジョカのブナガヤ①(球妖外伝 キジムナ物語)

          すみわたる青空には真っ白な雲がうかび、緑の高い山々がありました。山のすそには白い道が南北に走り、エメラルドグリーンの海が涼しい風を送っています。白くあわだつ波打ちぎわには、板を敷いたような岩がかさなりあっていました。 気がつくとキジムナ・ムムトゥ、スーティーチャー、アメ幽霊、イナフク婆は海岸に立っていました。 「ここはどこ?」 キジムナがイナフク婆にたずねると 「わかりませぬ」 と言われたので 「えーっ!?」 っと思わず叫んでしまいました。 「わたくしは導かれるまま、ここへ

          第五章 キジョカのブナガヤ①(球妖外伝 キジムナ物語)

          第四章 タナバルのイナフク婆③(球妖外伝 キジムナ物語)

          タナバルの村はニシハラの高台にあります。山の南がわの斜面には、段々畑とかやぶき屋根の家々がありました。 寝静まった暗い家の中をひとつずつこっそりのぞいて、3人のマジムンはイナフク婆を探していました。 「いたよ!」 キジムナ・ムムトゥが小声で叫びました。小さな部屋に一人寝ているイナフク婆の姿があります。 「どれどれ?」 スーティーチャーとアメ幽霊も中をのぞきました。 「ちゃんと村に帰れたんだね。よかった」 キジムナは、ほっとして胸をなでおろしましたが、アメ幽霊は身動きせずに

          第四章 タナバルのイナフク婆③(球妖外伝 キジムナ物語)

          第四章 タナバルのイナフク婆②(球妖外伝 キジムナ物語)

          運玉森(うんたまもり)は森と呼ばれていますが、じっさいのところは、かたちのよい三角形の小さな山です。 森の中は木がこんもりと茂って、ぬれた落ち葉や土の匂いが鼻をつきました。早起きの鳥たちがあくびをしながら、さえずりはじめています。キジムナ・ムムトゥとスーティーチャーとアメ幽霊は、草木をかき分けながら森の奥へ向かって歩いていました。 「おい!動くな!」 いきなり、後ろからドスのきいた声がしました。キジムナとスーティーチャーがふり向くと、がっちりとした体格の男がアメ幽霊の口を

          第四章 タナバルのイナフク婆②(球妖外伝 キジムナ物語)

          第四章 タナバルのイナフク婆①(球妖外伝 キジムナ物語)

          ぬめっとした潮風がふく、うす気味悪い夜です。ニシハラのガジャという海岸に、釣りをするふたりの影があります。村人がならんで腰かけて、何やら話をしていました。 「おまえが見つけたのは、あのあたりか?」 男が海の沖を指さしました。 「そうだよ。舟をこいでいたら、何かにぶつかってからよ。海を見たら婆さんがプカプカ浮いていたわけ。とてもおどろいたよ」 「生きてる人間で良かったな」 「まあな。でも婆さんを引きあげたら、またびっくりしたよ。なにせ身体中に貝やフジツボがくっついていたからな

          第四章 タナバルのイナフク婆①(球妖外伝 キジムナ物語)