バイキンゲーム

世界中を巻き込んだバイキンゲーム。そろそろ皆飽きてきたのに日本君だけまだ抜けられないようです。

子供の時、割と誰しもバイキンゲームの経験があるのでは。バッチい子に触ったらバッチいのが感染る、というアレです。

もちろん、他愛のない遊びですが、それでも度が過ぎると、自分がバッチい側にならないよう、必死で誰かを標的にしたもんです。余りこの言葉は使いたくないが、まあいわゆるイジメの雛形ですね。

ウルトラマンばりに「バリヤー!」とかいいながら身体の前に四角形を描いて、タッチされる前にこの行為を完了していたらセーフ。そして、その何の根拠もない出来立てのルールが、さも昔から決まっていたかのように通用し始めるのです。馬鹿馬鹿しくて「バリヤー!」しない子は、次の標的です。ルールを決めた子は、なんだか得意げです。

バッチいとされた子は、その不条理に戸惑いつつも、多勢に無勢、逆らうとエスカレートするので時が過ぎるのをじっと待つのです。

もちろん、ただの昔話です昔話。

口を隠す布(阻止目的物は布目より遥かに小さいので無意味としても)や、バイキンを殺す液体噴霧(無害な常在菌や手の保湿も奪うとしても)や、体内に直接入れる急拵えの液体(今までのと違ってほとんどの人が痛いとか発熱とかもっと大変なことがあるのにこりゃヤバいとなぜか思わない不思議な液体)とか、要するに、全部「バリヤー!」なんですね。

いや失礼。もう少し真面目に表現せねば。
「マジナイ」かなあ。

「多勢に無勢」の「多勢」にいるには、何も考えずマジナイを続けないとね。そのうちそれが当たり前になるのです。いや全く。

そして予言しても良い。バイキンゲームが終わり、身体の前に長方形を必死で描いてたお友達も、そんなことあったっけと本気で忘れてしまいます。

なんだかなあ。

ただ一つだけ、柄にもなく真面目なことを言わせて下さい。

このところ、明らかに不自然な同世代(50代)の突然死やそれに近いことが起こっています。頑強で、とてもそうなるとは思えない知人ばかりです。彼らは皆、最強バリヤーとされる、中世の免罪符を彷彿とさせるあの物質を体内に入れていました。確固たる証拠はないものの、あまりに不自然で、内心は、これだと確信しています。バリヤーのせいと。
そして実は、働き盛りの彼らの人生を奪った一連の流れと何もできない自分に激しい憤りを感じている今日この頃です。

「同調圧力」みたいな小難しい言い方もされているし、まあ、もちろんそうなのですが、それよりこれって、ただの幼稚なバイキンゲームですよね。死ぬほど悪質な。

情けない。