村のはじっこの森の中に、赤くて、丸くて、小さいだるまが住んでいました。
だるまは甘いものが大好き。
特にドーナツ！ドーナツの穴にはまりながら食べるのが大好き！
今日もドーナツをもらいに村までやってきました。

あれあれ、悲しい顔したおじいさん。どうしたのでしょう？「あまい？」
「ああ、だるまか、すまないドーナツはないんだ。兵隊がみんな持っていってしまった。金平糖なら…」「あまい！」

だるまは兵隊が好きではありません。硬くて甘くないからです。
だるまはコロコロ転がり兵隊のいる城へと向かいます。

道すがら見かける人は、子供も、おばさんも、鍛冶屋も、みんな悲しい顔をしていました。
ほかのだるまたちもコロコロやってきて「あまい？」「「あまい！」」みんな怒っています。だるまたちは赤い津波のように進みます。

城の門の隙間から入りこみ、見張りの兵隊を弾き飛ばし、正面扉にみんなで体当たりをしました。「「あまい！」」金具が壊れ扉が開きました！

城に入ると手分けしてドーナツを探します。コロコロコロコロ。

あるだるまは、兵隊のポケットで飴玉を見つけました「あまい」
別のだるまは、メイドの部屋の机でクッキーを見つけました「あまい」
また別のだるまたちは、牢屋の見張りが食べようとしているケーキを見つけました「あまい」「あまい」
またまた別のだるまは、王さまの冠の宝石をなめてみました「あまくない」

そうしてようやく見つけました！宝物庫に集められたドーナツ、ケーキ、オレンジの砂糖漬け、チョコレート、マシュマロ、その他たくさん！！！

だるまたちは甘いものを食べ始めました。
ドーナツの穴に頭からすっぽりはまるもの。
ケーキのクリームの上に寝転がるもの。
飴玉と一緒にコロコロするもの。
満腹になって眠るもの。
思い思いにすごしています。

その様子を宝物庫の扉の隙間から宝物庫番が見ていました。
すっかり困っています。

今日はお姫さまの15歳の誕生日なのです。

【続く】