『Lkyt.』プレイ感想

【ブランド】parade
【ジャンル】主人公総攻め和風ファンタジーADV
【プレイ時間】約16時間

http://pa-rade.jp/lkyt/

みんな待ってたparade新作だ〜〜〜!!!!!!!!!!!!
前作「Room No.9」から約4年、2020年8月末に発売後、どえらい大量のバグがあったとの情報を耳にし、最終パッチがくるまでプレイを控えていましたが……(若干間は空いたけれども)満を辞してプレイ開始…!
その重厚な世界観とparade節のストーリー展開に没頭し、寝る間も惜しんでサクサク進み、いつの間にやらフルコンプ。
前2作の「No,THANKYOU!!!」「Room No.9」同様、プレイヤーの精神を完膚なきまでに叩きのめしてくれるので、所謂「心を揺さぶられたい」タイプのブロマンス好きにはオススメ(※)したい…。
※エロ&グロ有、甘い展開ほぼ無………という注釈に寧ろ燃えてくる人は特に…
以下、目次以降はネタバレありなので要注意。

ストーリー雑感

《虚》(うつろ)と呼ばれる魔の物が巣くう国、《汀》(みぎわ)が本作の舞台。《汀》の国は《虚》の大量発生《冥刻》により、数千年に一度の単位で終末を繰り返している。
滅亡を余儀なくされている混沌とした世界で、戦士である主人公、与(たすく)は誰とどう過ごし、来たる戦いに立ち向かっていくのか……。

………いや、この前提条件…「遅かれ早かれ終末の到来が確定している世界」ってあまりにも絶望的じゃないですか?????
 
 「数千年に一度の《冥刻》で世界が滅びる」
 「少数の生き残りで国を再建」
 「数千年後の《冥刻》に備えて戦士を育成」
 「《冥刻》が来て滅ぶ」
 →以下無限ループ

…この恐ろしい流れ。聞いた瞬間に気が遠くなりましたよね。いや勿論《冥刻》に対峙する為、何千年に渡り色々と調査とかもしているんだろうけど、あまりにも《冥刻》の特性が「自然災害」すぎて、防げるものも防げないんだなと。
この前提を一度理解した時点で私の脳内によぎる「ハッピーエンド絶対無理」の文字。
OP終わった辺りからありとあらゆるネガティブな展開を想像しながら進めていましたが、フルコンプした今思うのは「それらの想像が合っていたかどうかについては、非常に瑣末な問題だった」ということ。
与を筆頭に長流様、ヤエルさん、按護様、永羽様それぞれの「正義」「信念」「愛」を貫いた結果である「ラストの展開」「Lkyt.」の意味に全振りしている思い切りの良さこそが、この作品の要であり肝なんだろうなと、私は理解しました(※個人の感想です!)

いや本当、「Lkyt.」の意味については完全ノーマークでした。逆にこれ予想できた人いるのか?
何かしら意味があるんだろうけど何だろう、くらいのふわっとした感覚でいたばかりに、初回長流様ルートラストで呆然としたままスタッフロール→タイトル画面で明かされるその真の意味を知った時には、もう。
「そういうことか」「してやられた」「まさかそんな」と頭を抱えてのたうち回った後、天を仰いだ…。
こういう脳内かき乱すタイプのサプライズ伏線回収、めちゃくちゃ好きなので、「paradeと雨宮さんへ一生ついていく(ノーサンから数えて3回目)」が更に確固たるものになりました。LOVEです。

攻略順ですが、私は長流様→按護様→ヤエルさん→永羽様の順でプレイ。
公式Twitterにも記載があった「初回攻略は1stインプレッションでピンときたキャラがオススメ!」はマジです。サプライズ伏線回収の絶望を味わえるのは1周目しかないので、絶対に「好きになりそう」なキャラからやった方がいい。
(※ただし永羽様は初回攻略不可)

以下、ネタバレありのキャラ雑感。

与、めちゃくちゃ「paradeの主人公」なんだよなぁ…。
前2作の主人公であるハルと大地もそうなんですが、paradeの主人公は軒並み、すこぶる健やかで明るくて真っ直ぐなんですよ。
与はそれらに加えて「汀の国のために戦う」意志が恐ろしく強い、圧倒的「光の戦士」タイプ。
かと言って、ただ明るいだけじゃなくて冷静で、ともすると危うい部分もあって…。前2作の例もある為に、いつ狂戦士モードになるのか、ダークサイドに堕ちるのか、身構えながらプレイしてしまったんですよね。
結局その心配は稀有に終わりましたが、長流様筆頭に全員が与の冷静な部分に着目していたのがすごく印象的でした。特に永羽様ルート終盤の、真仁との比較のくだり。
…終始一貫、真面目だった与。我儘な一面はカケラもなく、魂が驚くほど健全で、弱音も吐かず、人も憎まず。更には「彼ら」への想いも眩しいほど真っ直ぐで……ラストの展開も与が与であったがゆえの決断なんですよね…………せめてもっと役得ご褒美シーンがあってもよかった………。
「Lkyt.」がparade作品の中で一番「愛」に溢れたシナリオだったのは、与の存在がすごく大きいと思う。

長流様

たけるさま〜〜〜!!!(クソデカボイス)
精悍で誠実で高潔でクソ真面目でどこまでも優しい長流様…。
この恐ろしく男前な彼をどうやって組み敷くんだ????しかも相手が童貞だぞ?????そもそも与に恋愛感情とかあるの????
など、当初思っていたのですが、何のことはない、この世界における「強くなるため」「国を守るため」に「絆を結ぶ」その名も《結魂》(ケッコン)システムで性的な諸々は全てどうにかなりました…!大・解・決!!
長流様が己の行き場のない思いを胸に与と打ち合っていた末、ぶつかり稽古さながらに岩場で性的行為に及んだ一連の流れ、めちゃくちゃ笑顔になってしまった。武士感ある…。
仲良くなるには一緒に酒!風呂!な考え、初めての行為に及ぶ前、実兄に男同士のやり方を聞く直球さ、与が三日三晩寝ている間に性的知識を深めておくところ…など、要所で見せるその残念な可愛さは悶絶必至。
長流様ルートは、最後の最後で彼が使命を拒否するシーンがすごく好きですね…。初めて「汀の国を率いる皇子」ではなく1人の人間として葛藤をしているところに、めちゃくちゃ愛を感じました。
長流様、転生したら絶対剣道部で生徒会長。間違いない。

按護様

ガチムチ未亡人、按護様。
処刑シーン惨すぎんか????????
女性向けゲームでここまでエグいの初めて見た…兄ブランド(CLOCKUP)の世界に迷い込んでしまったのかと思ったよ…。
くろあぷといえば「Maggot baits」でも「死して尚再生する無間地獄」描写があったけど、まさにそれですよね…(脚本が同じ昏式龍也さんなので、そのデジャヴは正しかった)
毅然として処刑を命じる永羽様も、淡々と執行するヤエルさんも、あまりの凄惨さに止める長流様も、それぞれの役割と性格が如実に出ていて印象的なシーンですね…CGも描写もエグすぎて目を背けたくなるけど…。
按護様ルートは、拷問以外だとやっぱりそのガチムチボディを組み敷けるところ………を含め、按護様が終始ずっと寂しそうな姿だったのが印象的だった。
奥様と子供をあんな形で亡くした上、自分は戦いの末に身体欠損になるとか……汀の国で戦士でいられないことがどれだけのことか。
たとえ与と絆を結んでも、最終的に謀反に加担してしまうという、瀬戸際での心の弱さがものすごく「人間」らしいんだよなぁ。与の愛に包まれるラスト含め、全体的に物悲しいルートだった。
転生後(妄想)は柔道部主将で間違いないですね…。

ヤエルさん

褐色碧眼色男。
めちゃくちゃかっこいい。
基本ぶっきらぼうで笑ってくれない&名前も呼んでくれない&常に斜に構えてるんだけど、言葉の端々に愛情とか優しさが見え隠れするんですよ……。
例えば、与の告白めいた発言に対しての「そのうち、気が向いたらな」とか、ラスト付近の「一緒に〇〇〇〇〇からよ」とか「一人きりで背負う必要なんかない」とか最後の「よう、〇〇〇に来たぜ」…とか…………これ好きにならない人いる?いないよね?みんなヤエルさんのこと好きだよね?そうだよね?(…と、ヤエルさん強化担になってしまう程の破壊力)
そしてヤエルさん、実は「Lkyt.」の中では唯一プレイヤー側な思考の持ち主なんですよね…。
汀の国の人が終末を迎える人類として妙に物分かりが良いところを、ズバッと「気持ち悪い」と評してくれたところとか、まさにプレイヤーの疑問を言葉にしてくれた感じで好感しかなかった。
そして彼の過去…サラッとモノローグで語られていたけどあまりにも波瀾万丈なので(特に拷問慣れ(する側)してるところとか…)いっそ彼視点のスピンオフを作ってほしい。お願いします。
学パロやるなら黒ギャルヤンキーしかないと思う。

永羽様

脱いだらすごい現人神
プレイ当初は長流様同様、高潔で清廉な天子様をどうやって組み敷くのか疑問だったけれど、按護様に媚薬入りローション渡したり、長流様に男同士のやり方を伝授したりと、結構ノリノリで与と彼らの関係を応援してくれるのがお茶目で可愛く、いつの間にやらごく自然にコトに及んでいましたね…。
「36歳が20歳に好きにさせてあげてる」感が強くて、特に与がリクエストしたあのポーズはマジで反則だった。与、アンタ最高だよ…。
………とはいえ、汀の実質最高権力者である天子様。エロ可愛い(…)だけの人ではなく、国の為なら驚くほど冷徹な選択をできるそのギャップに私はやられましたね…。あと髪切ってからの戦闘モードも、今までのイメージと180度変わってめちゃくちゃ格好良かった。
永羽様は産まれた時から天子であることが運命づけられていて、汀の国のために文字通り全身全霊注いできた結果のあのラストなわけで、彼視点で考えればまごうことなきハッピーエンドなんですよね。
後日談EPの「それから」含め、永羽様ルートは実質グランドエンドだったといっても過言ではないかと。
永羽様は学パロ転生したら……校長先生かなぁ…。

総評

ノベルゲーにおけるファンタジー設定があまり得意でない自分がここまで没頭できたのも、序盤~中盤まで、世界観の説明がものすごく丁寧でわかりやすかったからなんですよね。
更にはその世界観が「終末を繰り返す世界」という、自分好みだったところもだいぶ大きい。
キャラクターの魅力は勿論、BGMもCGも高品質で、システムも相変わらず異常に細かいカスタマイズが出来るノベルゲー業界最高レベル
シナリオ以外でも「僕の/私の考えた、残酷な死に方博覧会」か?」と思うほどの製作者の性癖詰め込みオンパレードなところとか、paradeの底力を感じましたね…。
「屈強で精悍な男がものすごいことになる」をスチル入りでバーン!と見せてくれるのが……心臓ヒュッとなって、個人的にはめちゃくちゃ良かったです。

前述の通り、悪いところはない……のですが、あえて個人的に残念だったところを1点上げるならば、終盤のアウトラインが全て同じ展開だったところ…。
初回の衝撃は凄まじいものの、2回目以降は終盤に同じテキストが続く為、どうしても既読スキップありきになり…、極端に言えば各キャラのラストを確認する流れ作業になってしまったのが、勿体なかったというか、もっと世界観に浸りたかったというか。
あのラストが変えられないのは重々周知なので、せめてもっと多様な展開が見たかったなぁというのが個人的な本音。

これは余談ですが、私が「Lkyt.」で一番泣いたのは、コンプ後に開放されるスタッフコメントで、原画家の二階堂さんによるコンプクリア記念の一枚絵を見た時です。あれはいけない。すごい可愛くてすごい幸せですごい切ない。

・・・数年ぶりにparade作品にどっぷり浸かり、とても満たされました。
「BOYSLOVE」というよりは「ガッツリ ブロマンス」な男同士の関係性、王道とはかけ離れたトガったシナリオ、何かしら仕込んでくる「サプライズ伏線回収」の演出を浴び、あらためて、paradeさんには今後もプレイヤーの脳髄に刺激を与えるようなゲームを作り続けてほしいと心から思いました。

以上!!!!つらつらと書き続けた感想文をここまで読んでくださってありがとうございました。ではまた、次回のゲーム感想で。

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