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第4話 家族ってなんだろうね?

「私たち夫婦は里親になり子どもを迎えよう。」

時間をかけて話し合いを重ねた結論だ。

・里親(養育家庭)が不足していて、多くの子どもに必要とされている事。

・養子縁組は希望者が多く倍率がとても高い事。

この2点が、特に大きな理由だった。

全国に4万人以上も支援を必要としている子どもがいる事実。
一方で多くの不妊に悩む夫婦がいる事。

調べるほどにもどかしく
それでも、この問題の解決は難しい事も、当事者として理解できる。

私たちにとって家族の定義とは何か?

結婚して当たり前に子どもが出来て、家族が増えると思っていた。

血の繋がり、縛りが苦しみを生みだす事があることにも気が付いた。

自宅のリビングでコーヒーを飲みながら、しっかりを時間をかけて話し合いをした。
いろいろと話すうちに、長く連れ添う夫婦でも、家族の価値観に違いがあった。
血の繋がりの有無がどれくらいの問題なのか。
身の回りの友人で血縁があっても不仲な家族が思い当たる。

そして、子どもがいたら、どんな大人に成って欲しいか、そんな未来を話す事が嬉しく感じた。

もし普通に子どもを授かっていたら考えもしなかった事、思いもしなかった事が多くあった。
家族について考える機会をくれた事に感謝しよう、そんな気持ちにもなった。

不妊に悩んでいた頃には考えられないくらい、子どもについて考えて、
意見を出し合い、現実的な金銭の使い方も話し合えた。
「価値観が似ているからの夫婦だね」と笑いつつ、私たちが育てる子どもは
間違いなく家族になれる、そんな自信に近い確信も共有できた。

信頼という関係で成り立った家庭という組織。
悩みも不安も、一緒に向かい合う。
迎える子どもにしてあげられるのは、私たちにとって当たり前の事なのだと思う。
大切な事は、身近にあり過ぎて気が付かないものだな、と。

子どもは親を選べないという事。家族ごとに幸せの定義は異なる。
大切なのは、自分たちも含め、幸せだと思える事。

時間をかけた回り道、たどり着いた答えはシンプルだし、やっとスタートラインに立てたと思う。

街で子ども連れの家族を見る事に、後ろめたさが無くなったのもこの時期だったのを覚えている。

心の準備が終わってしまえば、後は児童相談所に電話を掛け、必要書類と実地研修などをこなし
晴れて 里親 として登録が完了した。

その約半年後、里子の委託依頼の電話が鳴ります。
里子の養育奮闘記はまた別の機会に綴りたいと思います。

散らかったリビング、溜まる洗濯物、増えるオモチャ、、、
ゆっくりコーヒーを飲む事も、二人で街を歩くことも無くなりました。

以前より表情が忙しい日々、思い通りにいかない子育て。
でもなんて充実した日なんだろう、何でもない日常が嬉しく楽しくてたまらない。

最後まで読んで頂き有難うございました。

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変わりゆく時代に合わせるべく、法制度も日々変わってゆきます。
私たちは里親として歩み始めましたが、児童相談所の職員さんの話では
実親の元に帰れない里子を一定の養育期間の後、養子に移行できるように
法改正に向け協議が進んでいるそうです。

いずれ養子として、、、

どうしても大人の都合で考えてしまいがちですが
子どもの幸福の為に、だそうです。

もちろん、子どもによって状況は様々ですし、実親の元に戻る事が幸せになるなら
越したことはないと思います。

私たちはこの子との縁に感謝をし、残りの人生を捧げるほどに
愛情を注いでいこうと思います。

あなたの幸せは、私たちの幸せになる。
これが親の気持ちなんだと、、、


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