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人と動物の関係を考える【畜産動物に思いを馳せる】

おはようございます。”おこめさん”です。


昨日は、ぼくたちの健康を下支えしてくれている、実験動物についてまとめました。


今日は、人と動物の関係を考える第二弾として【畜産動物】についてまとめてみます。

効率重視だったこれまでの畜産業(一部除く)が今アニマルウェルフェアを問われつつあり、ぼくたち消費者も一緒に考えていかないといけない問題です。


ということで、学校では教わらない「畜産動物について思いを馳せる」編です。

参考

人と動物の関係を考える

おこめさん→教員10年の後、4月から独立、6月からオンライン塾を開校予定。2021年3月末まで半年間の育休取得の2児のパパ。

※ここでいう学校では教えてくれないというのは、公教育の土台の中にこのカリキュラムが組まれていない(そんな隙間がない)ということで、熱心な先生の中には個人的に伝えている方もいらっしゃいます。ただ、仕組みとしてはそうなっていないよね という問題提起も含めてです。


畜産動物の今

日本で育てられている畜産動物の数は

ウシ383万頭、ブタ931万頭、ニワトリ3億1013万羽だといいます。さらに畜産物の重量自給率は50%程度なので、これらの数の倍の畜産動物によって、ぼくたちの食生活は支えられています。

実際ぼくたちは、ほとんど毎日畜産食品を食べています。

牛乳、チーズ、ソーセージ、卵焼き、とんかつ、焼き肉、ハンバーグ、唐揚げ…

あげだしたらきりがないほどあります。

これらはスーパーにいくと、パック詰めされ、トレイに並べられたりしています。すべて元をたどればウシやブタ、ニワトリにいきつきます。

実際にはどのように育てられているのでしょうか。価格の変化と共に見てみましょう。


例えばニワトリ

戦後すぐの昭和25年の鶏卵は1パック(10個入り)99円で、コメ5キロと同じ値段であったといいます。

60年後、平成22年には、コメ5キロの値段は1739円に対して、鶏卵は219円にしかなっておらず、コメの18倍に対して、鶏卵は2.2倍ほどであるということです。

この実現には官民挙げでの努力があったといいます。

それは

▼育種理論の実践により

年間の産卵数 200個→300個へ

▼試料・栄養学より

必要な栄養素を過不足なく満たす餌の供給へ(無駄な餌も減少)

▼家畜管理学より

1羽あたりB5サイズの床面積になるケージに7、8羽入れて積み上げて飼育することで飼育環境が一様になり、土地代も究極まで安くなる。


まとめると飼育面積を狭くしそこに多羽数を入れ、穀物中心の栄養濃度の高い餌を給与し、それをエネルギーを使わせないで食べさせる方式を開発してきた、というわけです。


これらにより、今の鶏卵の価格が維持されているといいます。


同様にウシやブタも育種選抜、栄養管理、飼育方式の改良の結果、ぼくたちの食を安価に潤沢に支えてくれているといいます。(乳牛からの年間泌乳量は昭和35年4121キロ→平成24年8154キロへ)


しかし、このように畜産動物の潜在能力を最大限引き出すための改善の過程でいつしか、動物の生活の質はどんどん低下してきたのです。

そして、今まさにその動物福祉について考え直すべきときがきているといいます。

畜産動物とアニマルウェルフェア

東京オリンピックでは持続可能性に配慮した運営を目指しています。

その中の飲食サービスについて調達基準が作られたそうです。

それは①食材の安全 ②環境保全 ③労働安全 ④アニマルウェルフェア

です。

①~③は比較的想像しやすいものですが、④に関してはまだピンとこない人が多いようです。

実際に「アニマルウェルフェアという言葉を知っていますか?」

という質問に対して88%の人が知らないと答えているそうです(NPO法人アニマルライツセンター 2017年)

さらに生産者に「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針を知っていますか?」と聞いた際も、

乳用牛22%
肉用牛26%
ブタ51%
ブロイラー35%
産卵鶏59%

という結果だったそうです。(畜産技術協会2015)

そもそもアニマルウェルフェアとは「動物が望み通りに生活する」という意味で、「食、住、社会生活を動物の情動、ストレス、自然性から評価し改善する」と考えられています。

このアニマルウェルフェアを大切にする流れは世界中ですすんでおり、OIE(世界動物保健機関)という組織が中心となり、動物福祉規約の整備がすすんでいるようです。

また、EUではリスボン条約本文に動物福祉条項を加筆することで、動物福祉の要件に十分に配慮する、というかたちをつくっています。

日本でも国際規約の成立に対応するため、2005年から検討会や勉強会を始め、2008年から「アニマルウェルフェアに対応した畜産の飼養管理指針」を作成してきたようです。


消費者が問われる未来

こうしてアニマルウェルフェアを重視する流れをうけて畜産の方法が変わりつつあります。

特に実行したがっている自然な行動をさせてやれるようにする「正常行動発現への自由」を大切にするべく、ケージ飼育などの閉じ込め型飼育からの開放などがすすんでいくと、その生産コストは上昇します。(だからといって収益性は上がらない)

この状態でも産業として成立させるためには、どうしてもその差を埋める必要がでてきて、そのための技術革新や補助金、生産者のインセンティブ、プレミアム価格が必要です。


ここで消費者に問われるのはプレミアム価格の受け入れの部分です。

動物福祉をどこまで大切にするか、それに伴う価格の上昇をどの程度受け入れるか、ここのバランスがこれからの時代に問われることになるのでしょう。


おわりに

どうしてもスーパーに並ぶ食品をみると、その元となる畜産現場のようすを想像するところまで至りません。

だけど、そこには必ず1つ1つの命があり、今も様々な環境で畜産が行われています。

少しでも動物にとって過ごしやすい環境での畜産を求める

この流れが世界的におきていることは間違いありませんが、それに対する対価をどこまでぼくたち消費者が許容できるのかが問題になるのでしょうね。


味がいい、肉質がいい、

そういった価値に加えて、

アニマルウェルフェアに配慮した食品であるかどうか

がこれからの基準の一つになるのかもしれませんね。


これからも考えていきたい問題です。



今日もここまで読んでくださってありがとうございました。


ブログ こめたか

オンライン塾 おはこや


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