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40のトモダチ その②

実はこのカナちゃん誕生日ライブを週末に控えた火曜日の朝のこと。
化粧水を両手でつける時に右側の耳下、耳裏あたりが腫れているのに気づいた。
髪をめくり鏡に近づいてみると明らかに右側のそこが腫れていた。びっくりして焦ったものの痛みも熱もないのでとりあえず出社することにした。

会社に着いてお茶を飲みしばらくすると、
みるみる顎と首の境目がわからなくなるくらいまで膨らんだ。
顔の腫れが不安で仕事も手につかずお昼休みに耳鼻科で診てもらうことにした。

医師から「小さい頃おたふくはしました?」と確認がはいり、母にLINEで聞いたら
「ともちゃんおたふくも予防注射もしてない」
との即レスで、医師におたふくの可能性ありとみなされ直ちに隔離部屋へ通された。

待ち時間の間、39歳おたふくの可能性ありは
家族LINEで会議となり、小さい頃兄弟の誰が何の病気をしてる?してない、予防注射してる?してない(何故)を家族で確認した。

私の小さい頃の話をする時、母はちょっと興奮ぎみになる。当時のことはいつ聞いても、ついさっきそこで見た事件のように必死に喋る。LINEならばカタコト誤字早口になり、明らかに母のハートにボッと火がつくようだ。

新生児の私に対して医師に言われた
「この子は大変」「身体の全部の粘膜が弱い」「お母さん苦労しますよ」といった内容が
「ズバリあんた背中に大蛇がついてるわよ」くらいのパンチ力があったのか、当時の母に大変なショックを与えたようだった。

その危機迫る当時の話を聞かされるたびに、
生まれて間もない小さな私を今も腕に抱き、この子が心配だどうしよう、と訴えかけているように思えた。

母の記憶の中の小さな私と、その隣ですっかり健康、元気な怠け者に育った私とでは、
どうも勘定があわないような気まづさがあり、
受験を控えた三者面談や母親同士の我が子の雑談などの会話で、成績の悪さや運動力のなさその諸悪の根源は全部「この子は身体が弱いから」せやから先生堪忍やでうちの子堪忍な〜奥さん。と派手にかばわれているような気分になり、
思春期の私にはどうも気恥ずかしかった。


その感覚をじんわり思いだしながら
LINEで幼児期の話題でひと騒ぎした後、
ひとり狭い隔離部屋で思うのはただひとつ。


これ、おたふくなら土曜日のライブでれんやん。どーーーーーおおわーわわーわーするよ。。




(続きます)

【写真:母からの40歳お誕生日メロディカード】


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