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自分の事②少年野球との出会い~超一流の三流人生

そうして少年野球を始めたお好み少年

当時テレビですら全く興味を示さなかった野球をやると言った時の両親の驚き振りと言ったらなかったなぁ。

両親は凄く喜んでたけど。
当の本人は野球自体には全く興味もなく、ただあのカッコイイキャップを被れる事の為に行ってたって感じ。

………

ある日学校帰りに家の前で父親のバットを取り出して素振りをしてたんですね。
何を考えてたのか全く分かりませんが、本当に気まぐれで。

そうしたらどこかのおばさんが何か言いたそうにジッと私の事を見て、去って行きました。

「?」
「危ないって文句言いたいのかな」

そろそろ飽きたしやめようかと思った瞬間
さっきのおばさんが戻って来て声をかけてきました。
「監督さんが呼んでるからおいで」

わけも分からずついて行きました。
監督の奥さんでした。

うちのすぐ裏に20坪程の空き地があったのです。
住宅⇒空き地⇒工具屋と並ぶ真裏の土地

そこに連れていかれると工具屋さんから少年野球の監督さんが現れ
「ちょっと振ってみろ」

あぁ。監督さんって裏の人だったんだ…

あっ。はい。
 
ブン
ブン

「ひっでぇな…」

「ちょっと左で振ってみろ」
「手ぇ逆だろ💢」

ブン
ブン

「やっぱひでぇな…」

「どうせゼロから始めるんなら、お前は足も遅ぇし左で打て」

それが全ての始まりでした

それからというもの18時になるとバットを持って毎日監督家の裏庭にて素振りの日々。
本当に毎日。
雨が降ってても傘をさして行きました。
土砂降りなら帰らされ、振れる程度の雨ならびしょ濡れになりながら。
その内ゴルフ関係の仕事をしていた父親からネットを分けて貰い、監督が器用に電柱に括り付けティーバッティングに。

寒くなってくるとバットが握れず、ドラム缶で焚き火をする時用の1m以上ある鉄棒を手が血だらけになるまで振り込み
更に寒くなるとバットを持たずにサーキットトレーニング。
毎日サーキットトレーニングの時間を測り、それを記録して行く監督。

そして運命の日

季節は真冬になり、二月のある日
珍しく大雪の東京

それでも監督を訪れたら
「今日はなしだ。中に入れ」と言われ初めて自宅の方へ

~自宅の一室~
入るとそこには壁にN高のユニホームと【1】と【9】の背番号
となりにはA学院大学とN大のユニホーム
朝日新聞社の甲子園のパネル
甲子園の土
スパイクやグラブ

身体中に電気が走るというのは正にこういう感覚なんだろう。
旋律が走るってやつね。
魅せられてしまった瞬間でした。

後に分かった事
N高は50回大会から4年連続甲子園出場
監督は50回大会の三年生(エース)
その後A学院大学に進学

二つ下に弟さんがいて、当然3年連続甲子園出場
卒業後はN大に進学してキャプテン

文字通り【エリート兄弟】だったのです

弟さんが三年生の時の第52回大会

そこから私の夢は
【僕もN高に入って甲子園に出る】

今思うと完全に【洗脳】ですね。

当時まだ元気だったおばあちゃんが
「お好みくん。ココア飲むかい?」と持ってきてくれた温かいココアが美味し過ぎたのを忘れません。

きっとその中に洗脳に必要な薬が入っていたに違いない。

甲子園に兄弟で三年間も甲子園に出てる人達が近所にいる事をにわかに信じなかった父親も、本当だという事が分かり完全に監督兄弟に心酔。
少年野球にも手伝いに来るようになってしまいました…


毎日トレーニングは欠かしてなかった、もはや監督の申し子のお好み少年ですが
その一年間は、一度も試合に出して貰えませんでした。
野球はどんどん好きになっていく一方で、素人には違いないので。
まぁ、当然と言えば当然だったのでしょう。

そしてひと冬越えて6年生に学年が上がる3月

~グランドにて~

監督「今年のキャプテンはお好み」

「えー?!」
「なんでお好みが?!」
「ハハハ」

笑い声まで上がりました。
私もびっくり((((;゚Д゚)))) 

そしてその日に練習試合

「四番キャチャーお好み」
二度目の「えー?!」

実は私は聞かされてました。
冬の間
「来年はお前が四番キャチャーでチームを引っ張る」と叱咤されていたから。
そして監督からプレゼントされた木製バット
「お前は甲子園出るんだろ?金属バットなんか使ってたら上手くなんねぇ」

クリーム色の木製バット。
最後まで使った思い出のバットは私、お好み少年の代名詞にもなりました。

一年間続けた監督との二人三脚
と言えば聞こえは良いけど、まぁシゴキ笑
次の一年間も続けさせて貰いました。
下手くそは他人の10倍やってやっと追い付く
毎日聞かされた呪いの言葉

卒業間際には165cm65kgになっていた私は、野球が上手い下手に関わらず体格差で活躍したのでした。

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