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AIが書いた小説『スカイフック』第12話 アメリカ兵の謎の暗号「ヨヘ17」

「おい、生きているぞ」

一人の兵隊が叫んだ。

それは、とある偶然から発見された。

墜落の衝撃で後部銃座ごと放り出されて、死んでいる米兵を数人で回収した内の一人が、その元の座席のあったであろう機体の後部を調べた時に、奇妙なものを見つけ出した。

ひしゃげた鉄の棒が絡み合っている、その下に真っ白い板が括り付けたてあるのを見た。

隙間から見ると、何やら文字らしきものが書いてある。

それは、部隊名や作戦に使用する標識である可能性がある。軍としては何としてでも調べないといけなかった。

応援を呼び、溶接機で絡まった鉄の棒を丁寧に取り外して、何とかその白い板を取り外すことができた。

「ヨへ17」と書いてある。

部隊名か?もう一人の兵隊がそれを逆さにした。

「LIVE」

何かの暗号かも知れないということで、立ち去ろうとしたとき、その白い板があった場所の地下から、締め付けられて軋むような音が断続的に聞こえてきた。

兵たちは、この持ち去ろうとした板が卒塔婆のようなものであり、祟りが来たのだと思った。

勇敢な兵隊が、地面に耳を当てその音の正体を突き止めようとした。

「これは、人間だ。多分泣き声だ」

さあ大変ということで、数人でそこを掘り出した。

それは防空壕があったらしく、入り口は崩れてしまっているが、中までは崩れていないようだった。すぐに土まみれで防空頭巾を被った女の子が助け出された。

湯浅節子3歳だった。彼女は、泣き疲れている上に、急に周りが明るくなったせいで、状況が読み込めずきょとんとした表情だった。

ずっと泣きつづけたのだろう、頬には泥で縁取られた何本もの線が走っていた。

節子は防空壕の中で一人だけ残されたのが幸いして生き残りことが出来たのだ。

彼女は兵隊に抱きかかえられて、村雲小学校の校庭に連れてこられた。

それと同じくして、その校庭で僧侶がお経を読み始めている最中だった。

校庭には、北を頭にして四つの筵を被された遺体があった。

湯浅源一郎、その妻トメ、嫁の梅乃、その子良次。節子だけが、防空壕に置き去りになって助かったのだ。

幼い子とは言え、さすがにそれを見せるわけにはいかず、節子は近所の家に取り敢えず引き取ってもらうことになった。

校庭には、大小様々な部品が綺麗に列をなして並べられている。

一方、校庭の東側の隅に、使い古したマネキン人形の様なものが折り重なって積んであった。

まさしくそれは撃墜された戦略爆撃機B29『teaser(いじめっ子)』の搭乗員の死体だった。

兵隊たちは、首から下げているのが認識票とは分かっているが、戦地に赴く男子が、首飾りをつけるのはけしからんという理由だけで、身元も確認しないまま積み上げられていたのである。

それは、どう言う訳か、11人いたはずの搭乗員の9名分の遺体しかなかった。

守備隊は、捕虜は収容するが、遺体は引き取らないという。

処分に困っていると、物知り顔の校長先生がやってきて、遺体の山の前に立って、
「君たちは、罪もない我々を無差別に傷つけた。そして、罪のない多くの人々の命を奪った。君たちの犯した罪は大きい。君たちの国では、悔い改めれば罪は許されるかもしれないが、この国では、許されない。子孫その末裔にまでも、その類は及ぶ。よって君たちは、虫けらのようにそこらに打ち捨てておいてもよいのだが、君たちは鬼畜と雖も、ここは武士の国だ。そこまではしない。君たちの国では土葬するらしいが、幸いにして君たちは、もう火葬されている。有難く思いながら、安らかに眠りなさい。アーメン」

訳の分からない祈りの言葉を投げつけて、アーメンと言いながら手を合わせて合掌した。

それにつられるように周りの兵隊も口々にアーメンと言いながら合掌した。

そして、徐に校庭に穴を掘りだした。

校長が何のための穴か念のため聞いてみると、遺体を入れる穴だと答える。

「だめだ、だめだ。こんな校庭のど真ん中に鬼畜の墓穴を掘ってもらっては困る。ここには、サツマイモを植える予定なのだ。食糧難なのだ。余計な土地などないのだ。捨てるのなら、校舎の便所の裏にでも捨てておいてくれ、そこだったら少々に匂っても気にならん」

兵隊たちは、そそくさと遺体をリヤカーに載せて、校舎の裏手にある別棟の便所方へ運び去った。

そして肥溜めの悪臭が漂う、昼間でも薄暗い便所の裏に人の背丈ほどの大きな穴を掘って、9体の遺体をそこに投げ入れたのだ。  

          つづく

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