いつき

お香・和雑貨のウェブショップ『いつき』です。 素晴らしい日本の文化の一つであるお…

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お香・和雑貨のウェブショップ『いつき』です。 素晴らしい日本の文化の一つであるお香を、皆様に知って頂けたらと思っております。 ネットショップいつき:https://www.okou-ya.com/

最近の記事

お香の始まり ~お釈迦様が好んだ香り~

お香の歴史についてです。 「日本のお香の始まり」で記述した内容よりももっと昔の話です。 文献には載っていませんが、植物の薬効や体臭など匂いを消すことを目的に植物を体にこすりつけることから人間の香りの歴史が始まったと推測されています。 それは、動物が植物に体をこすり付ける行為と同じで本能的なことなのではと考えられます。 また、人間が火を扱えるようになってから、火を熾す際に植物を燃やす中で、木の樹脂など良い香りがするものなどが発見されました。 種類は様々で、レバノン杉や乳香、沈

    • お香の調合 ~五大香について~

      日本のお香の始まりは、インドのお釈迦様が沈香を焚かれていたことがルーツになります。 希少な沈香の香りをより引き立てるように、上質な生薬を組み合わせて調香するようになり、お香の調合が始まりました。 仏教伝来と共にお香の調合技術も中国より日本に伝わり、日本独自の香りの調合へと変化していきます。 その、調合技術の考え方の中に古来より伝わる「一木五香説」というものがあります。 当時の中国では、調合によく使用されていた香原料は沈香の木(一つの木)から全て取れるものとして「沈香木

      • 丁子とは ーお香の原料ー

        お香の原料で使用されれる丁子(ちょうじ)についてです。 丁子とは、インドネシアのモルッカ諸島を原産とするフトモモ科の常緑樹の蕾で、開花する間際に摘み取り、乾燥させたものです。 英名はクローブ(英語:Clove)で、丁香(ちょうこう)や百里香(ひゃくりこう)、鳥の舌に見える事から鶏舌香(けいぜつこう)と様々な呼び名が付いています。また、開花して実になったものを母丁子と呼び、実も漢方に使われます。 日本には、5~6世紀ごろに入って来たとされ、正倉院に当時の丁子が残っています

        • 安息香とは ーお香の原料ー

          お香の原料で使用される安息香(あんそくこう)についてです。 安息香とはエゴノキ科の樹脂で、木に傷をつけて分泌される樹液が固まったものを採取します。 英名はベンゾイン(英語:benzoin)と言い、シャムベンゾインとスマトラベンゾインの2種類があり、香りも異なります。 シャムベンゾイン(英名:Styrax tonkinensis)は、生産量が少なくスマトラベンゾインと比較するとバニリン(バニラの香りの主成分)の含有量が多く、香りとしても価値が高く、高値で取引されています。

        お香の始まり ~お釈迦様が好んだ香り~

          藿香とは ーお香の原料ー

          お香の原料で使用される藿香(かっこう)についてです。 藿香とは、東南アジア原産の熱帯地域で生育するシソ科の多年草です。 英名はパチョリ(英語: patchouli、学名:Pogostemon cablin)と呼ばれ、アロマテラピーなどをされる方には、パチョリまたはパチュリと言う名前の方が聞き馴染みがあると思われます。 藿香は精油やお香、漢方など様々な用途があり、インドやインドネシア、マレーシア、中国などの様々な国のプランテーションで生産されています。 葉が大きく、青みを帯び

          藿香とは ーお香の原料ー

          聞香 ~香道の始まり~

          聞香(もんこう)とは、香道で使われる言葉で香木の香りを聞くことをいいます。 香道の世界やお香を扱う業界では香りを「嗅ぐ」ではなく香りを「聞く」と言います。 日本で聞香が行なわれるようになったのは、公家社会から武家社会へと移り変わる鎌倉時代だと言われています。公家での薫物文化から一木の香りのみを深く感じ取る文化が武士たちの間で広まった事が始まりです。 武士たちは沈香を好み、海外から輸入される沈香を競ってあつめるようになりました。 その様子は、天皇が所有していた蘭奢待と言わ

          聞香 ~香道の始まり~

          練香とは ~六種の薫物~

          お香の種類の中に「練香」といわれるものがあります。 練香は黒い丸薬状で、中国から伝わったお香の一種にあたります。 直接火を付けるお線香と違い、間接的に温めて香りを広げるもので、香炉に火を熾(おこ)した炭を置き、火から少し離れたところに練香を置き温めることによって香りを広げます。または、聞香炉で銀葉の上に乗せて温めて焚く場合があります。 作り方は、沈香や丁子、白檀、貝香などの粉末を調合し、そこに炭の粉末を入れ混ぜます。 そして、あまずらや蜜でよく練り(梅肉を使うこともある)

          練香とは ~六種の薫物~

          日本の調香の始まりを推察

          前回の記事にある「鑑真和上による日本の調香の始まりとは?」について、更に推察してみようと思い、いくつかの文献を読んでまとめてみました。 1.鑑真和上が日本に調香技術を伝えたという推察理由なる情報① 私が拝読した『唐大和上東征伝』の一文に、船に積載するものとして香に関する香原料の記述がありました。 『唐大和上東征伝』より 「麝香廿臍沉香甲香甘松香龍腦香膽唐香安息香棧香零陵香靑木香薫陸香都有六百餘斤又有畢鉢呵梨勒胡椒阿魏石蜜蔗糖等五百餘斤蜂蜜十斛甘蔗八十束」 現代語訳 「麝

          日本の調香の始まりを推察

          鑑真和上による日本の調香の始まりとは?~お香の歴史~

          和の香りが生まれた時期、日本での調香(※1)はいつから始まったのか? それは、奈良時代に鑑真和上(がんじん わじょう)が中国より日本にやって来たことが深く関わっていると言われています。 鑑真和上は日本の文化に欠かせない人なので、 なぜ日本に来たのかも合わせてお話ししたいと思います。 鑑真和上が渡日する200年程前に仏教が伝来しました。 その頃の日本の仏教では、受戒せずとも「私は僧侶である」と名乗れば 誰でも僧侶になれました。 受戒をざっくり説明すると、仏教で守るべき規律で

          鑑真和上による日本の調香の始まりとは?~お香の歴史~

          沈香とスピリチュアル

          「沈香はスピリチュアルで使用されることがありますか?」と聞かれることがあり、沈香とスピリチュアルについてnoteでお話するのも良いのではと思い書くことにしました。 スピリチュアルは様々な意味を含む言葉です。 ですので、スピリチュアルの定義を「浄化、宗教や儀式、神秘的なパワー」として、お話していきます。 沈香は、総ての沈香の木にできるのではなく、数百本に一本の中で稀に木の中の樹脂成分が集まり、沈着凝集された物が時間の経過につれて”沈香木”になると云われています。 その沈

          沈香とスピリチュアル

          先月に続きネットショップでのコラムを書きました。 どの香木から始めれば良いか迷われている方へのコラムです。 香木初心者へのコラムの3部作の最後で、「香木について」「香木の焚き方」も合わせて見てもらえれば嬉しいです。 https://www.okou-ya.com/news/?id=1643705296-610256

          先月に続きネットショップでのコラムを書きました。 どの香木から始めれば良いか迷われている方へのコラムです。 香木初心者へのコラムの3部作の最後で、「香木について」「香木の焚き方」も合わせて見てもらえれば嬉しいです。 https://www.okou-ya.com/news/?id=1643705296-610256

          久しぶりにネットショップでのコラムを書きました。 香木の焚き方についてです。 内容は香道作法とは違う香木の焚き方です。 香木そのものの香りを聞いてみたいけど、どう焚けば良いのか迷っている方のお役に立てればと思います。 https://www.okou-ya.com/sp/news/?id=1642555552-907971

          久しぶりにネットショップでのコラムを書きました。 香木の焚き方についてです。 内容は香道作法とは違う香木の焚き方です。 香木そのものの香りを聞いてみたいけど、どう焚けば良いのか迷っている方のお役に立てればと思います。 https://www.okou-ya.com/sp/news/?id=1642555552-907971

          お香のメリット

          お香には10個のメリットがあると古くから言われています。 中国北宋時代を代表する詩書家である黄 庭堅(こう ていけん)が残した詩に“香十徳”(こうのじゅっとく)というものがあります。これは、お香の良いところを10個挙げた詩になっています。 日本では“一休さん”で有名な、室町時代の僧侶である一休 宗純(いっきゅう そうじゅん)が、この香十徳を広めたようです。 一休さんがいた大徳寺は香道の志野流と関わりがあったと言われています。また、仏教においてお香は重要であり、焼香や塗香な

          お香のメリット

          お香の推し活

           以前に「推し活」と言う言葉がテレビで取り上げられているのを思い出しました。  「推し活=好きなものを応援する活動」の事らしく、知人などに「自分は〇〇が好きでめっちゃいいよ~!」って昔からよくある、好きなものを広めることだなと思いました。  中には、推しメンのアイドルを多くの人に知ってもらうために、ファンが推しメンを宣伝するために自腹で応援広告のポスターや宣伝カーを走らせている人もいるらしく、これはもう、パトロンだなと思いました。  「自分の推し活は?」と考えましたら、

          お香の推し活

          臭いにおいが癖になる?

          少し前になりますが、海釣りに行った時に感じた事についてお話ししたいと思います。 釣った魚を持って帰るために魚を鷲掴みにして、クーラーボックスに放り込んだ時、 手が魚のヌメリでヌルヌルに・・・ ヌメリは手を洗えば取れたのですが、手のにおいを嗅いでみると 「くっさ!!!!!」 生臭いにおいが何度手を洗っても取れません・・・ なんなんや?このにおいは?と調べてみると ヌメリは魚の体を守るためのバリアのようなもので、 これや鱗がないと魚は菌に感染してしまうそうです。 ウナギが特

          臭いにおいが癖になる?

          わさびの香り~日本のスパイス~

          お香の原料はすべて海外で産出される動植物で、 その原料はスパイスの歴史と深く関わっています。 今回は、海外のスパイスではなく、日本のスパイスの一つである“わさび”の香りについて見ていきたいと思います。 わさびは古来より使われてきた、数少ない日本原産のスパイスです。 お刺身やお寿司、そばの薬味など和食に欠かせないものになっています。 わさびの歴史を遡ると、飛鳥時代の遺跡にわさびを扱っていた痕跡が見つかっていることや、平安時代に書かれた薬草辞典『本草和名(ほんぞうわみょう)』に

          わさびの香り~日本のスパイス~